その136 身体が土だらけになりました
クワを振り上げた俺の顔を目掛けてリーダーラビットが飛び上がる。
「うわぁ!」
流石に頭を貫かれたら即死の可能性があるため、体制を崩しながら攻撃を避けると、俺はそのまま倒れ込んでしまった。
「痛てて...」
倒れ込んだ俺に向かい真っ直ぐにリーダーラビットが突っ込んで来る。
倒れ込んだ拍子にクワを手放してしまったため、今の俺の手には武器が握られていない。
「やばい!」
リーダーラビットの攻撃を横にゴロゴロと転がりながら避ける。畑の土の上を転がったため、服には大量の土が付いている。
リーダーラビットは転がった先の俺を向けて飛び上がると、上空から俺を目掛けて角を突き刺そうとしている。
「駄目だ! 避けれない」
刺される痛みに恐怖で目を閉じたが、一向に痛みが現れない。
ゆっくりと目を開けると、俺の前には胴体から切断されたリーダーラビットの死体が転がっていた。
左の方に目をやると二アがこちらに向けて手をかざしている。おそらく二アがウィンドカッターを放ち、リーダーラビットを倒してくれたのだろう。
「シオンさん! 大丈夫ですか!?」
「ああ、ありがとう。俺は大丈夫だよ」
大丈夫とは応えたが、ニアは心配そうな顔をしながらこちらを見ている。それもその筈、リーダーラビットに刺された足からは止まることなく血が流れている。
「待って下さい! 今、回復魔法を掛けます」
「その必要はないから」
回復魔法を掛けてくれるというニアの気持ちは嬉しいが、なるべくMPを使わせたくはない。俺の傷は次の相手と戦闘を始めるだけで回復させることが出来るのだから。
一番近くにいたイートラビットに狙いを定めると、足の傷は最初から何もなかったかの様に消えていった。
狙いを定めたイートラビットをジャストアタックで倒した後、塀の方に視線をずらすが、新たにイートラビットが入って来ている気配はない。
リーダーラビットを倒したことで、イートラビット達が逃げ出すことはなかったが、新たに増えないのなら後は畑の中のイートラビットを全滅させるだけだ。
二アやシヴァと協力し、そこから2時間近く時間を掛けると、畑の中にいたイートラビットを全滅させることに成功した。結局リュートに関しては最後まで野菜を食べているだけだったな...。
結局俺達が倒したイートラビットの総数は、少なく見積もっても300匹は越えていた。




