表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

131/269

その131 ベジタリアンではないのですが

 男が小屋の扉を開けて中に入るのに続き、俺達も小屋の中へと入った。小屋の中は小さいながらもキッチンがあり、中央には小さなテーブルと椅子が2脚。部屋の隅にはベッドも2つ置いてあった。普通にこの小屋の中だけで生活することも出来そうだ。


「料理が出来上がる頃には丁度良い時間になっている筈だ。適当にくつろいでいてくれ」


 俺と二アが椅子に着くと、俺達の間にリュートがちょこんと腹を着けた。それから料理が出来上がるまで、1時間くらいの間、俺とニアは何気ない会話を交わしていた。この会話によってニアの好物が甘いものだと分かったので、いつか好きなだけデザートを食べさせてあげようと、俺には1つの目標が出来た。


 1時間程が経過して料理も出来上がった様で、男がキッチンからテーブルの上に料理を運んできた。


 野菜が大量に入ったポトフの様な食べ物と、野菜スープにサラダ。1時間掛かりそうな物と言えばポトフの様な食べ物を煮込む時間くらいだろうか。完全に野菜オンリーの料理で、他の食材が使われている様子は一切無い。何ならポトフの様な食べ物と野菜スープに関しては被っている気もする。


 野菜は嫌いではないが、ここまで野菜尽くめだとちょっとしんどいかも知れない。


「ほら。お前にはこれだ」


 そう言って男がリュートの前に置いたのは大量の野菜だった。


 明らかにリュートの身体よりも野菜の量の方が多い。もし、リュートが野菜を食べられるとしても、流石にこの量を食べきることは出来ないだろう。


「あれ? 貴方は食べないんですか?」


 テーブルの上に置かれた料理は明らかに2人分しかなく、男の分は用意されていなかった。


「俺は今から〖サーム〗に戻って、女房の作った料理を娘と一緒に食べるんだ。この小屋は好きに使ってくれても良いからな。イートラビットの討伐が終わった後、また眠るっていうならそれでも良い。それじゃあ、俺は行くから料理は冷めない内に食べてくれよ」


 男が小屋を出ようとした時、俺はあることを思い出した。


「あ!? イートラビットとの戦闘にクワを使わせてもらっても良いですかね?」


「クワ? 別に構わないが、旅人にクワを装備することは出来ないと思うぞ?」


「ありがとうございます。一応試してみます」


 前にニーナが、村人はクワなどを装備することが出来ると言っていたのを思い出した。イートラビットが速さだけのモンスターなら、武器を装備して攻撃力を上げるのは、かなり有効な気がする。


「それじゃあ、俺はもう行くぞ。クワは外に置いてあるのから好きなのを使ってくれ」


 そう言うと男は小屋を出て行った。今から[サーム]に戻って家族で食事をするらしい。


 俺もあっちの世界にいる時、夕食は家族で食べていたことを思い出していた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ