その130 ドラゴンって肉食ですよね?
「畑の人達でイートラビットを駆除することは出来ないんですか?」
「イートラビットは戦闘力こそは低いんだが、かなりのスピードでな。捕まえようとしたり、退治したりしようとしても逃げられちまうんだ」
なる程...。だったら俺でも役に立つことが出来そうだ。
イートラビットが速いだけのモンスターなら俺も同じくらいの速さになれる筈だ。後は1匹1匹倒して行けば良い。ニアに関しても、殆どの野菜が畑に密着しているため、ウィンドカッターを使えば畑に被害を出さずにイートラビットだけを倒すことが出来るだろう。
「あれ? でも畑は夜中に襲われるって言ってましたよね? まだ、夕方前の時間ですが...?」
「奴らは夜中にしか姿を現さない。あそこの小屋を使って良いから、夕食を取ったら仮眠しとくと良い」
そう言って男が指差した先には小さな小屋があった。この男の家という訳ではないが、畑の人間が泊まったりすることが出来る様だ。
確かに、夜中に戦闘をするなら、それまでに仮眠を取っておきたい気持ちはある。どれくらいの時間戦うことになるか分からないので、数時間戦い続ける可能性もあるだろう。
ただ俺達は食糧を一切持ってきていない。腹が減っては戦えないと言うし、一旦[サーム]に戻って夕食を取ってからまた来るか。
「それじゃあ俺達は[サーム]に戻って、夕食を取ったらまた戻って来ますね」
「それなら丁度、今日採れたての野菜があるから俺が作ってやるよ」
「良いんですか?」
「おう。畑の為に働いてもらうんだがら、畑で採れる野菜の味も知ってもらいたいからな」
あっちの世界でも採れたての野菜を食べた記憶はないな...。折角だし、ご馳走になろう。ただ、リュートの食事をどうするかだ...。肉食ってことは野菜は食べないんじゃないのか。
「何か、このドラゴンが食べることが出来る食事はありますかね?」
「そういやー、ドラゴンは肉食だったな。だが、安心しろ! ウチの畑の野菜は美味いから、ドラゴンだってきっと気に入る筈だ」
味の問題ではない気はするが...。まぁ最悪、リュートが野菜を食べなかったら、イートラビットを食べさせれば良いか。ウサギの肉なら食べることも出来るだろう。
「宜しくお願いします」
「おう。それじゃあ早速料理に取り掛かるとするか! アンタ達も料理が出来るまで小屋の中で休んで居てくれ」
男はそう言うと小屋の方へ向かい歩き出した。男の後を追うように、俺とニアも小屋の方へと向かった。




