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その129 ウサギは人参が大好きです

 男は頭に麦わら帽子を被り、両手でクワを扱い畑を耕している。おそらく見た目的に40代くらいだろう。


「すみません!」


 呼び掛けたことで俺達に気付き、男は手を止めると、額の汗を手の甲で拭った。


「兄ちゃん達。こんな所に何の用だい?」


「冒険者ギルドの依頼を受けてイートラビットの討伐に来た者です」


 男は俺達の姿を見て、不安そうな顔をしている。まぁ、17歳の冴えない少年と10歳の少女が依頼を受けて来たと言っても不安になるのは分かる。


 しかし男の視線がリュートに移った瞬間表情が明らかに変わった。


「おお! アンタ達はビーストテイマーなのかい? ドラゴンを従魔にしている人間なんか初めて見たよ! それでどっちがビーストテイマーなんだい?」


「えーっと...。俺達はビーストテイマーじゃありません。一応、このドラゴンは俺の従魔ですが、妹の二アも魔法の実力ならそれなりの実力を持っていますよ」


 それなりどころの話しではないが、一応こう言っておけば当たり障りはないだろう。極力ニアの力は人に知られない方が良い。


「そうなのか? その歳で凄いなぁー。それでアンタの職業は何なんだい? ビーストテイマーじゃないのにドラゴンと契約が出来るとか、余程凄い職業なんじゃないのか? 見た目は村人にしか見えないのに、人は見掛けに寄らないもんだなぁー」


 ...人は見た目に寄るんだよ...。村人は大正解だ。しかし、こんな言われ方をしてしまうと、正直に村人とは応えづらい...。


「...お、俺の職業は...旅人です!」


 旅をしているのは本当のことなので、嘘ではない筈だ。ただ、言ってから気付いたが、旅人も村人もそんなに大差ない気がする...。無難に戦士と応えておけば良かったか...。


「た、旅人...。そんな職業の人間が、この依頼をこなせるのか?」


「大丈夫です! 俺達に任せて下さい!」


 俺に任せてではなく、俺達と言ったのは決して保険を掛けた訳ではない...。うん。正直イートラビットがどんなモンスターなのかが分かっていない現状では、俺が役に立てるかは分からない。


「まぁ、そう言うなら任せるが、イートラビットのことは知っているのか?」


「いや、全く分からないので、教えてもらっても良いですか?」


「イートラビットというのは何百という数の群れで行動する小型のモンスターだ。ここの畑では主に野菜を育てているんだが、その中でも人参が奴らの大好物でな。毎晩夜中になると畑を荒らしに来やがるんだ」


 うん。それは完全にウサギだな! こっちの世界でもウサギが人参を好きなのは変わらない様だ。


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