表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

120/269

その120 ニアと兄弟ではないことがバレました

「シオンさん!?」


 二アが男に近付こうとすると、男はナイフの向きを横に変えた。このままスッと引くだけで俺の首は簡単に切れてしまうだろう。


「おっと! 近付くんじゃないぞ! 魔法を発動させようとしてもこいつを殺すからな。今、シオンさんと呼んだってことはお前達は兄弟じゃないってことか...」


 人前ではお兄ちゃんと呼ぶようには言ってあったが、この状況では咄嗟にそこまで頭が回らないだろう。


「お、お前の目的は何だ?」


「決まってるじゃないか! フェンリルの爪と牙だよ。フェンリルの爪と牙は高く売れるからな」


 そういうことか...。ギルドマスターもフェンリルの爪や牙が高く売れるなら伝えとくべきだろ。もしフェンリルを倒していたとしていても、牙の先を1本持って行って終わりだったぞ...。確かシヴァが牙は直ぐに生えてくると言っていたな...。シヴァに協力してもらえれば稼ぎ放題なんじゃないか? と一瞬思ったが、今はそれどころではないことを思い出した。


「兄弟じゃないなら、尚更お前が弱いことに信用が持てるってもんだ。Gランク冒険者とか初めて見たぜ! さぁ、死にたくなければとっととフェンリルの素材を出せ!」


 俺はこの男が今は俺を殺さないと知っている。何故なら、今俺を殺したら人質が居なくなり、二アが魔法を使うことが出来るからだ。二アが人間を傷付けるのを嫌うことをこの男は知らない。俺を殺せば自分もニアにやられると思う筈だ。


 俺はそう確信しているから、この男のナイフを恐れずに戦うことが出来る。先ずは今、自分が使えるスキルを調べてみた。


 この男が持っているスキルは1つだけだったが、今の状況にはかなり有効なスキルだった。


「冒険者のくせにこんなスキル持ってるなんてな。盗賊の方がよっぽどお似合いなんじゃないのか?」

『スティール!』


 スキルを発動させると、男の握っていたナイフは俺の右手へと移った。


「えっ!?」


 俺は直ぐさま奪ったナイフを男の首元に突き付けた。


「動かないでね。動いたら殺すから! スティールを使う素振りを見せても殺すからね」


 男はようやく状況が理解できたようで、突き付けられているナイフに怯えている。ナイフの攻撃力が0とは言え、流石にこのナイフを首に突き刺したら男は死ぬはずだ。


 どうする? 殺すか? 俺と二アが兄弟ではないと知られてしまったからには殺しておいた方が安全ではあるが...。冷静になって自分のやろうとしていることを考えると怖くなる。簡単に人を殺そうとするとか、真面ではない。それに人を傷付けるのを嫌うニアの前で、この男が死ぬところを見せたくもない。


 要はこの男が俺達のことを誰にも話さなければ良い。俺に1つの考えが浮かんだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ