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その110 ウィンドカッターって最強の魔法でしたっけ?

 地下への階段を降りた先は小さな小部屋になっていた。小部屋の壁際には剣や槍など多数の武器が掛けられており、部屋の奥にはかなり分厚い藁が巻かれたサンドバックにも似た円柱が立てられている。


 おそらくこの部屋は鍛練場の様だが、冒険者ギルドの地下に何故、こんな部屋が作られているのだろうか? まさか不正を確認する為だけに作られた訳ではないだろう。ヤブンの冒険者ギルドには鍛練場などなかった筈だ。


「この部屋は俺の趣味で作らせた部屋だ。ギルマスになった後でも、毎日の鍛練を欠かせたことはないぞ」


 なるほど。不審な者がいれば自分の趣味の為に作らせた部屋で実力を見極めようと言う訳か...。しかし残念ながらステータス表示には不正はしているかも知れないが、二アの実力は本物だ。確認されたとしても何ら問題はないだろう。


「それで妹は何をすれば良いんですか?」


「なーに。簡単な話しだ。あの藁で出来た円柱に魔法を放ってくれ。確か使える攻撃魔法はウィンドカッターだったな? あの円柱は2㎝程の厚さの藁が八重に巻かれているのだが、魔力が本物なら外側の四重部分までは切り裂くことが出来る筈だ」


 どうやらあの藁は八重層で出来ている様だ。二アの放った魔法が外側の五重層部分まで進入できなければ、魔力を偽装していると扱われることになる。


「シオンさんどうしますか?」


 二アがギルドマスターに聞こえないくらいの小さな声で呟いた。相変わらず不安そうな顔をしているニアに、難しいことを頼みたくはない。


「ニアの全力のウィンドカッターを放ってくれ。間違えなく4重層は切り裂ける筈だ」


「分かりました」


 本当は少し抑えて放った方が良い筈だが、今のニアの状態で微妙な調整をさせるのは危険だ。それだったら何も考えずに全力で魔法を放ってもらった方が二ア的にも楽だろう。


「それでは魔法を発動させます」


 二アが両手を円柱の方へ向けると、両手に魔力が集まっていくのが、こんな俺でも感じることが出来る。二アの魔力はそれ程凄いものなのだろう。

 

『ウィンドカッター!』


 大きな風の刃が円柱へと向かって行く。風の刃が通った後には、かなりの風圧が巻き起こっている。


「な!? 何だと...」


 風の刃は円柱へ直撃すると、円柱を貫通して後の壁にめり込んだ。壁からパラパラと破片が落ちると同時に、円柱の上部分が床へと落下した。


 円柱の断面は藁が八重層になっていて、確かに一層が2㎝くらいの厚さになっている。驚きなのは中心部に鉄の棒が入っていたのだが、二アの魔法は鉄さえも切断している。


 俺が以前に使ったウィンドカッターとはまるで別物だ。その威力に俺は恐怖さえ覚えていた。


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