その106 Gランクはある意味レアです
「と言うか...初めてここで、Gランクの冒険者の方をお見掛けしました...。従魔契約を希望するGランクの冒険者なんて居ないと思っていたので、何の為にこんな決まりがあるのか不思議だったのですが、実際に居るんですね...」
男はGランクの俺を前に、サラっと酷いことを言っている。Gランクの冒険者がモンスターを従魔にするなど、普通に考えればあり得ないことなのだろう。
「何とかして、従魔契約をすることは出来ないんですかね?」
「お客様がランクを上げて、Fランク以上になって頂ければ契約をすることが出来ますよ。もちろん契約が成功するかどうかは分かりませんが...」
ランクを上げればか...。それしか方法がないのなら仕方ない...。まぁ、Gランクだったら、少し依頼をこなせば直ぐにFランクに上がれるだろう。問題はGランクの依頼があるかどうかということだ。
「分かりました。それでは隣の冒険者ギルドに行って来ますね。ランクを上げることが出来たら、その時はお願いします」
「了解しました。またお待ちしていますね」
男の前を離れて、従魔登録所の入口に向かおうとしていると、二アが申し訳なさそうな顔をしている。何故なのか、俺には全く心当たりがないのだが...。
「シオンさん...ごめんなさい...。私、シオンさんがGランクだって知らなくて...」
なる程...。そういうことか。ニアは、従魔契約をするのにFランク以上じゃないと出来ないと知っていたんだろう。それを俺に伝えなかったことで、俺が恥をかいたことを自分の責任だと思ってしまっているようだ。
「二ア。気にしなくて大丈夫だよ。Gランクなんていうレアなランクの俺が悪いんだしさ。何か依頼を受けてランクを上げれば良いだけだし」
「...そうですね。シオンさんなら直ぐにランクアップ出来ますよ!」
「じゃあ隣の冒険者ギルドに行くからニアも付いてきて。人が聞いている前では、俺のことはお兄ちゃんと呼ばなきゃ駄目だよ」
「はい!」
俺達は従魔登録所を出ると隣の冒険者ギルドに向かった。
冒険者ギルドはヤブンにあった冒険者ギルドよりも少し小さく、入口には扉が付いている。扉を開けて中に入ると、室内には受け付けカウンターに2人の職員と、7人の冒険者らしき人間の姿があった。冒険者達はリュートの姿を見ると、何かヒソヒソと話しを始めた。
カウンターの職員は1人が40代くらいの男性で、もう1人は20代くらいの女性だ。俺は迷わずに女性の前へと向かった。




