その10 命懸けでスライムと戦います!
何か武器になる物はないかと、辺りを見渡すと木の枝が落ちていた。
「こんな物でも何もないよりはマシか...」
木の枝を拾いスライムの前まで行くと、枝をスライムの前に突き出してみた。スライムからは全く反応がない。そもそもスライムともなれば、知性のないモンスターなのだろう。
枝を前に出しつつ攻撃の届く位置まで行く為、ゆっくりとスライムに近付いていると、突然スライムが跳ね上がり、こちらに向けて突っ込んで来た。
「痛てっ!」
スライムの身体が俺にぶつかると、身体に痛みが走った。ブヨブヨな身体のクセに、攻撃を食らえばそれなりにダメージは受ける様だ。
やられたままではいられないとばかりに、木の枝をスライム目がけて突き刺した。
枝は当たったが、ブヨブヨな身体に衝撃を吸収されて、ダメージが入ってる様には思えない。
「駄目だ...スライムってザコモンスターの代表だけど、実際にあのブヨブヨな身体にダメージを与えるとなると想像が沸かないじゃないか!」
今の俺の攻撃方法は木の枝を使った攻撃と、殴るや蹴るなどの打撃攻撃しかない。そんな攻撃があの身体に通用するとは思えない。そんなことを考えていると、スライムは先程の様に跳ね上がり、こちらへ突っ込んで来た。
「痛ってぇぇ!」
先程よりも勢いがあり、ぶつかった衝撃で尻餅をついてしまった。2回攻撃を食らってしまったが、俺のHPは大丈夫なのだろうか。
「ステータスオープン」
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シオン・ヨシカワ
男性 年齢17歳
人間 職業・村人
LV1 HP10/30
SP0 MP0
力10 技10
速さ10 魔力0
防御10 幸運10
[加護]
炎G 風F
土F 水F
雷F 聖F
光F 闇F
[スキル]
村人の一撃
[ユニークスキル]
五十歩百歩
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ん? なんか若干強くなってるぞ? ただSPは何もしてないのに0になってる。まぁ、どの道20なければ5でも0でも変わらないんだけどね...。てか、HPがヤバイ...後、一撃でも食らったら死んでしまう気がする。
転移された世界で死ねば今度は異世界転生されるかも? とは一瞬頭に過ぎったが、恐すぎてそれを試す勇気はなかった。
死にたくない一心で、ひたすら木の枝でスライムを叩きつけた。10回近く叩きつけるとスライムは動かなくなり、そのまま溶けて消えてしまった。
ブヨブヨなスライムの攻撃が俺にダメージを与えた様に、効いてる様には見えなかった俺の攻撃も、スライムにダメージを与えていたらしい。
「やった! 俺はスライムを倒したんだ!」
スライムを倒して喜ぶ姿が、まさにモブキャラ感を漂わせるが、俺にとっては本当に嬉しい勝利だった。




