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自死出来ない理由。

作者: あれん。


あの人にもう一度逢いたい。

もう一度逢いたいから生きている。


突然奪われて、目覚めた時には触れる事も出来ない石の下。

冷たい墓石(身体)を抱き締めて、最初は泣く事も出来なかった。

ただ一日中そこに居て、寄り掛かり、もしかしたら貴方に逢えるのではないかと。。


世界に色は無くて、

「愛してる」

貴方の最期の言葉だけがリフレイン。



こんなに悲しいのに涙もでない。

病室で目覚めて思い出し叫び泣いて色と共に消えてしまった。


季節がいくつか過ぎた頃、貴方のご両親から一通の手紙と小包。


あたたかい言葉と共に、もうお墓には来てはいけないと。

迷ったが形見として、、。


包みの中身は貴方のスマホ。

ガラスだけ直してあるけど、傷だらけ。

電源を入れてみる。

画面に表示されたのは1つだけ。


動画?


誕生日のお祝いにと連れて行かれた向日葵畑。

迷路になってて探し回りながら、あの後で独りになってしまうとは想像もしてなかった。

映像の最後に映し出された見覚えのある文字。


来年も、再来年も一緒に

I will love you forever


ポツリポツリと画面に雨粒。

小さな円に大きな円。

混ざって滲んで、、、

空を仰いで貴方の名前を叫んだ。


涙が溢れて止まらない。

現実()を受け入れられなくて、自傷を繰り返す。


「今回は本当に危なかったですよ」

「また、、」

「何度でも救いますよ」


何度目かに目覚めた時、私を見下ろす先生の瞳が揺れていた。


「自死ではあの世(向こう)で彼に逢えませんよ」


そんな迷信じみた事、、、

笑い飛ばしながら、、


「逢いたいんです、、」


それでも、どうにもならない恐怖で自傷を止める事は難しく。

ただ、、、


「死にたいわけじゃないだろ」

「・・・逢いたいだけ」


逢いたいだけ。

逢いたい。


めぐる季節は少し残酷。

次の誕生日で貴方と同じ歳になる。

形見にといただいたスマホが起動不能になった。


これが最後。

色の無い世界で鮮血は漆黒。

死にたい(信じたくない)

でも、もし。。。


「愛してるの、、」

「だれを?」


どうして、どうして!(愛してたのに)

きつく閉じた瞳に触れる温かい指先。


「誰を?」


前作で削った部分でもあります。


読了ありがとうございます。

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