3話 力で制す者 人脈で制す者 side:愁
今回は愁のストーリーが大きく動きます
少々長いですが、生暖かい目で見てやってください
【side 河上 愁】
「な....なんだ...なんなんだよこれはあああ!!!」
俺は目の前で起こった事がわけがわからず、叫んでしまった。
目の前がグルグル廻る...やばい。具合悪い!!
何時間廻ったのだろうか...というぐらい感覚がおかしい!!
そして真っ白な世界から一変し、目の前には今にも崩れそうな屋敷が現れた。
いや、俺らがその前に現れたのか?
俺は先程のいた場所とはまったく違う場所に飛ばされ、ただ驚いていた。
というか、気分が悪すぎて...吐きそう...。
「お...おぇぇぇぇ...ぐはっ...おほっほっ」
というより、既に俺は吐いていた。
何も最近食べていなく、出てきたのは胃液だけだった。
その姿をみたレイトリスは情けないと小言を溢し、後ずさるように引いていた。
「だから言っただろ。慣れてない人間は...立つのもやっとだと」
やれやれといったポーズをしながら、俺から少し遠ざけていた。
お前のせいだろうが!と言いたいところだった。
「いや、言ってねぇだろ!むしろ言うのやめたじゃね...おぇぇえええ」
だが俺はレイトリスに反論しようとしたが、そのまま履き続けた。
盛大に吐き散らかしてる。 情けねぇ
「まぁ外にいても意味のない。もう夜だ。
中に入ろう。手を貸すか?」
レイトリスは俺に近寄り左手を差し伸べてきてくれた。
涙目になりながら、その手を弾いた。
「いや、いいわ。
自分で歩く。大丈夫だ。」
俺は無理やり身体を起こし、前に歩き始めたレイトリスを見た。
周りを見渡すと、どこかの森の中なのか木々が生い茂っていた。
そして、ポツリと童話に出てきそうな屋敷がある。
窓は割れ、門は錆きっていて屋根には大きな穴が開いている。
おいおい、こんなとこ住むのかよ。
勘弁してくれよなぁ。
俺はため息をついてる時にレイトリスが扉の前で止まった
するとその場で右手の平を扉に向けあて、何か呟いた。
「ભગવાન આવે છે, તેને ખોલો.」
(主が来たぞ 開けよ)
また呪文めいた言葉を呟くと、扉がひとりでに開き始めた。
なんでもありだな。
「...今のは呪文か何かか?」
俺はその現象がなんなのか気になり、聞きながら
千鳥足になっている足でレイトリスに近づいた。
「そうだな。まぁ結界のようなものだ。追われてる身だからな。
念の為に...というやつだな。」
そしてレイトリスが屋敷の中に入っていく。
てか、追われている?どういうことだ?
まだ色々と聞かないといけないことが多そうだ。
というか全然説明がないけどな。
そんなことを考えてると目の前にいたレイトリスがいなくなっている。
というよりレイトリスの姿が屋敷の中を覗いても見えなくなった。
俺は首を傾げながら、おぼついてる脚で扉の前までいった。
真っ暗だが、中もボロボロなのは見えているただ肝心な姿が見えない。
「...おいどこいった?...おーい」
俺は家の中に向け声をあげた。
すると何処からかレイトリスの声が聞こえてくる。
「何をしている?早く入って来い。」
何処だ?周りをキョロキョロしていると
前の扉から声が聞こえた。
「....う..うわっ!?はぁ!?首だけ!?」
姿が何もなかった屋敷の中からレイトリスの首だけ急にヒョコっと出てきた。
「だから結界のようなものだって言っただろ。早く来い!」
首だけ出ていたところから次は左手も出てきて、俺を家の中に連れ込んだ。
俺らが部屋の中に入ると扉が自動的に閉まり、明かりがついた。
「な...なんだこれ!?すげぇな...」
俺は目の前の光景を見て唖然としていた。
そこには...城の中にありそうな正面限界に左右にわかれている階段
騎士の銅像が左右に五体ずつ並んでいる。
...これが異世界かよ。
「ここは私が設計した、部屋だ。まぁ創造家に作らせたんだがな。」
創造家とはなんだ?職業か何かか?
俺はよくやっていたMMORPGのゲーム感覚があった。
ある程度魔法等もそのおかげでそこまで驚くことはなかった。
そしてレイトリスはそういうと右側の階段に進んでいった。
「はよ。来んか。食事にするぞ。
っと、その前にお前に部屋を用意してある。
そこの犬についていけ。」
レイトリスは横目で俺に指示をしながらそのまま歩き進めた。
そして、俺は首を傾げ呟いた。
「...犬?何処に...。」
俺は周りを見渡した。
ただ何処にも犬なんていない。
だが、その時に中年男性のような声が聞こえた。
「...こちらで御座います。お客様。」
後ろから声が聞こえ振り返ると
そこには人?犬?どちらとも言えない生き物がたっていた。
俺よりは背が高く執事服を着ている人物?がそこにはいた。
俺は流石に驚き、変な声が出てしまった。
「...ほへ?...って....えぇぇぇ!?!?」
この世界が異世界というのはわかっているつもりだが
流石に、獣人と遭遇すると驚く。
あまりにも不可思議すぎる光景に俺は後ずさってしまった。
「私はこの屋敷の執事をしております。ワンです。」
そしてその執事は口を開き簡単な自己紹介をした。
ありきたりな名前だな。
おいおい。もうどこから突っ込んでいいんだか...わからん!
「...といっても、この屋敷のみでしか存在できない魔法人形なんですがね。」
この屋敷の中のみ?しかも魔法人形ってなんだ?
どういうことだ?まぁ後で聞くか
俺は疑問に思い、ワンと名乗る者に聞こうと思ったが、続いて口を開いた。
「それより、お客様の部屋はこちらになります。着いてきて下さい」
ワンと名乗る人物に黙って着いていき
レイトリスとは真逆の左側の階段を歩いていった。
というか、この屋敷外から見たらただのボロ屋敷なのに中に入ると広いな。
しかも新品のようにピッカピカに床が光っている。
壁なんて大理石のような石で槍や矢なんて通りそうにもない。
掃除も大変そうだな。
そんなことを考えていたら到着した。
「こちらがお客様の自室で御座います。
レイトリス様からは自由に使ってよいと承っております。」
そういうとワンは扉を開け、部屋の中を案内してくれた。
俺はその後をついていき、部屋の中に入って行った。
「こちらがクローゼットになっております。好きな服を着てください。」
目の前のクローゼットの中には、紳士的な服しか入っていない。
もう少しラフな服が無いかと奥を探したが、見たらない。
俺は窮屈になるのを避ける為、今のままで良いかワンに伺った。
「...俺には合わないな...当分この服でもいいか?」
流石にこっちの世界に着てまで息苦しい服を着たくはない。
むしろ何かあった時が大変な目に遭う。
「それは私が決めることでは御座いません。主様とお話し下さいませ。」
あの頑固者と話すと正直精神が疲れる。
やれやれというポーズをし、クローゼットを閉めた。
面倒くさいと思いながら、ベッドに腰掛けワンの方を向いた。
「そういえばこちらの世界のことをあまり説明されていなんだけど
魔法とかって属性とかあるのか?」
俺は元の世界のゲーム同様に属性があるのか気になり質問した。
というか俺には未だ情報が少なすぎる。
初歩的な内容も含めある程度聞きださないといけない。
だが、何故かレイトリスは教えてくれない。
何を企んでいる?
するとワンが答えてくれた。
「そうですね。主様は面倒くさがりなので、説明していないと思いましたが
やはり予想は的中ですね。
では、説明させて頂きます。
この世界の魔法は...」
面倒くさいからといって説明しないとは、本末転倒だな。
自分勝手に召還して、自分勝手に物を言って...
本当に疲れる。
そんなことを考えているとワンは部屋の扉を閉めた後、淡々と説明してくれた。
ある程度この世界について理解ができた。
わかりやすい説明で俺はホットした。
レイトリス同様適当なヤツであれば、切れていたところだ...。
この世界の魔法について
この世界の種族について
魔法は基本的には四属性で特殊属性を合わせると六属性
俺はどんな魔法が使えるんだろうな?
かなり興味深く、気になる。
むしろ奈那を見つけ守る為には必ず力が必要だ。
中途半端な今までのような力なんていらない。
絶対的な力が俺には必要なんだ。
そして種族は、基本人族が少なくなり
亜人と呼ばれる種族の方が世界の人口をほとんど占めているらしい。
獣人、エルフ、ドワーフ、魔女
それと比例してモンスターの種類も多いとか。
ゴブリン、リザードマン、インセクト、悪魔
しかもモンスターには上位互換があり
基本三段階に変異するらしい。
ゴブリン→ボブゴブリン→ロードゴブリンのように序列が決まっている。
そしてこれらの最終段階のモンスターを基本的に魔族と呼ぶらしい。
それから、基本魔族を狩るのは勇者、英雄、王族の親衛隊、冒険者
そして英雄王と言われる五名らしい。
この英雄王というのは、冒険者のランクでは図ることができない程の
力や能力、それに準ずる武器を所有している場合
女神様からの恩恵により、選ばられるらしい。
その際に、ペンタクルのような物が身体のどこかに浮かび上がるとのこと。
そしてこの世界には冒険者と言い、冒険をしながら資金を稼ぐ連中がいる。
そしてこの冒険者達はランクと言い、強さを測るものが存在する。
一番最初は皆、Gランクから始まる。
クエスト内容や、魔族やモンスターの討伐数によりランクがあがるみたいだ。
今世界にいる冒険者の最高ランクはSランクで、確認されているのは四名。
英雄王が一人ネイル・シュヴァリエ。
俺を召還したロードエルフのレイトリス・アーヴァイン。
そして男性の勇者。
後一人はサタンの僕が制する城に行ったきり、帰って来てないということ。
そして亜人にも王族、皇族、平民など呼び方はそれぞれあるらしく
人族もそれぞれにわけられているらしい。
「ってことは、レイトリスはロードエルフということは王族なのか?」
亜人の王族はロードが名称の頭につくらしい。
そういえばレイトリス自分でロードエルフって名乗ってたよな。
「そうです。主様はロードエルフの最後の生き残りで御座います。」
最後?また意味深な説明をするな...。
まさかもうレイトリス以外のロードエルフは...。
「最後って事は家族は...」
俺はそのまま俯き気味でワンの方を向いた。
「ご想像通りで御座います。現在レイトリス様は...」
ワンが説明しようとしたら、部屋の扉が開いた。
すると元気よく入ってきたレイトリスがいた。
「何を油売っておる。食事の時間じゃ。はよ来んかい。」
ドカドカと部屋に入ってきては
ベッドに腰を掛けてる俺の右腕を強引に引っ張り部屋の外に連れ出した。
そして俺らは食堂に足を進めた。
「それでは頂くことにしよう。」
部屋を出た後長い廊下を渡り階段を降り反対側の階段に進んだ。
長い廊下には各部屋に繋がる扉が左右にあった。
その一番奥の扉を開くと長いテーブルと多くの椅子があった。
「そうだな。...いただきます。」
俺は手前にあった肉を葉っぱで包んである料理をフォークで刺した。
そして、周りにあったパンやスープ等色々なものを口へ運んだ。
俺はここ数日何も食べていないから、流石に腹が減りすぎていた。
「愁よ。もう少し上品に食えんのか
まぁ良い。 そういえばワンと何の話をしていた?」
レイトリスは自分の方にある食べ物をつつき、口へ運んだいる。
そしてワンと何を話していたか気になっていた。
「心優しい主様が俺を召喚したのに、この世界について
何も説明ないから細かく聞いていたんだよ。
魔法や亜人、それにモンスターや種族について」
俺はレイトリスから何も教えられなかった事に対し
ふてぶてしい態度を取り、飲み物で口の中のものを流した。
「お主は子供か。
まぁなら説明は不要だな。魔法について聞いているな?
それなら愁自身が何が扱えるか気になってるだろ?」
レイトリスはサラダを食べ、赤ワインのようなもので喉を流した。
そして俺の方を向いた。
「...んーそうだなぁ。奈那を探す上では物理攻撃だけだと不安だしな。
見てる限り魔法ってやっぱ便利だもんな。
使ってみたいという気持ちは大いにある。」
俺は膝の上にメイドに敷かれた布で口の周りを拭いた。
そしてレイトリスの方を向き目が合った。
するとレイトリスは隣にいるワンの方を向いた。
「そう言うと思ったわ。
仕方ないの。ワンよ、アレを持ってきてくれ。」
レイトリスが命令した瞬間ワンは一礼し部屋を出た。
そして扉が閉まる音が後ろから聞こえた。
「何かくれるのか?」
もしかして、魔法騎士とかに使える剣か!?
もしくは、杖とかか!?
すんげぇ楽しみだな!
俺はここに来て初めて目をキラキラ光らせた
初めておもちゃを貰う小学生のようだ。
「そう慌てるでない。あげるつもりもないがな。
なに、愁の魔法適正を目視できる物があるから持ってこさせるだけだ」
えぇ...くれねぇのかよ。
まぁでも自分が何の属性使えるかは気になるな。
炎とか強そうだしな。
ただ闇や光は特別だから無理そうだな。
元々こういうのがあるのはわかっていた。
漫画とかアニメでよく見たことあるしな。
アレだろ?
異能力など使うときに使う紙切れとか水晶とか
そして俺は思った事をそのまま口に出した。
「やっぱそんなものあるんだな。」
そんなことを口に出した後、ワンが後の扉を開け
俺の前にいるレイトリスの元へと行った。
「主様。持ってきました。どうぞ。」
ワンはレイトリスに一礼をした後に木箱を渡した。
そしてレイトリスがその箱を受け取り俺を見た。
「よし、愁よ。ここだと使えないからの
場所を移すとしよう。腹は膨れたか?」
レイトリスはグラスに入ってた残りのワインを飲み干し立ち上がった
「しょうだ...な ムシャムシャ あらかた...ちゃべ...終わる」
租借音を出しながらレイトリスの方を向かずテーブルにあった飯を食べ終えた
「汚いの...本当に礼儀がなっておらん。
これもみっちり教えんといけんな。」
呆れ顔でレイトリスが扉の方に歩き始めた
「着いて来い。地下に行くぞ」
言われるがまま俺は着いていった
この屋敷は広すぎる...迷子になっても仕方ないぐらいに
色々な部屋の場所を説明受けながらようやく目的地まで辿り着いた
「では、愁よ中に入って来い。」
先に部屋の中に入り準備があるから外で少々待てと言われ5分程たった
中からレイトリスの声が聞こえ扉を開けた
そこには...
「なーーーーんだこれ!うぉおおおお!すんげぇぇ本の数!」
無数に広がる本があった
「これらは世界のありとあらゆる情報を我が父とその家来が集めた書物だ」
すると中央あたりまで連れてかれた
中央には丸い陣があり、中心に成人女性と同じくらいの高さの台があった
「なんだこれ。これがいってたやつか?」
「そうだの。魔法適正を図るためには、私の屋敷だとこれぐらいしかないのじゃ
普通であればもっと楽に確認できるものがあるのだが、如何せん私はここ数十年
街はおろか村にすら出向いてないからの。追われる身は辛いの。」
話しながら中心のところに行き、木箱を開けた
「...色々大変なんだな。 ん?本?」
その中からは真っ白な本が一冊出てきた
「そうだ。
これはお主が魔法を流したらその適正にあったページに飛ぶようになってる
こちらに来い。遠くて声を張るのが疲れる」
「お、おう。わかった。」
俺は言われるがままに中央の陣の中に入っていった
「では、その本に触れろ」
閉じている本に上から手のひらを置いた
「どうすればいいんだ?何も起こらないぞ?」
「だから、焦るな。説明する
まず魔法をイメージしろ 魔法というのは自分の身体の中に眠る秘めたる力だ
自分の中でこれが自分の魔法だ!と思い、イメージを膨らますのだ。
例えるなら、火なら自分の周りに炎纏わせるイメージ
水なら水を纏わせるイメージだ。 それでは目を瞑って想像せい」
「よくわからないけど、とりあえず火を想像してみるわ」
説明通り自分の周りに火を纏わせるイメージを作ってみる
「......。」
「......。」
何も起こらない。
「なんだこれ?火は俺の適正じゃないってことか?」
「そういうことみたいだの。他にも挑戦し続けてみ」
言われるがままに想像してみる
水
何も起こらない
風
何も起こらない
土
何も起こらない
「.....なんで四属性全部何も起こらないんだよ!
これ本当に使えるのか!?壊れてないか!?」
俺は何も起こらないことにその場で地団駄を踏んだ
「そ、そんなことない!魔法陣だって問題ない!その本だって問題ない!
...まさかお主魔法適正ないのか?」
「そんなことあるのかよ。」
「...ここの書物を見る限り世界に今まで歴史上で一人しかおらん
ただそいつは...」
「な、なんだよ。その真剣な顔は」
俺は考えているレイトリスの方を向き冷や汗が出ている
何だよ。何があるんだよ。
「魔法適正が無い事に研究材料にされ拷問を受け続けた
その腹いせで悪魔と契約し王国を破滅へと追いやったんだ。
しかも人族のただの平民がな」
俺は一気に寒気がした
ただ、俺が同じ目に遭うなんて...
「まぁ絶対無いと思うが、最後に光と闇属性を想像してみ
光は必ず無いと思うが、闇は稀におるからの
まぁ人族で持っておる輩は魔女族の英雄王ぐらいだけどな
基本は亜人族が使えるからの」
「英雄王ってなんだよ...
んーもうどうでいもいい!やけくそだ!光も闇もどっちも想像してやる!」
俺は左側を光で右側を闇で想像した
「そんな無茶をしたところで、何もかわらな...なぬ!?」
レイトリスの驚いた声が聞こえ、目を開けた
そこには台の宙を浮く本があり、何ページにも渡ってひとりでに開いている
「...な...本が動いてる!できたぞ!おい!!」
俺は歓喜のあまりレイトリスの方を向き、ピョンピョン跳ねた
「...有り得ぬ。そ...そんなことは...」
口が閉じないぐらいに驚いている
なんだ?そんなすごい事なのか?いや、まぁ説明通りだと
光属性は神の加護や慈愛が無いか魔女族でないといけない
闇属性は産まれ持った才能か悪魔に魂を売らないといけないとか
え?...ってことは...
俺すごいんじゃね?
「...なんだ。お主は何者なんだ。」
「そんなこと言われても...俺もさっぱり」
「...本当に本当に異世界の人間は桁が違いすぎる。
ま、まぁ良い。では、本を覗かせて貰うぞ」
「...ど、どうだ?光と闇...どっちだ?」
本を覗くレイトリスに問いかけてみた
「...っちもだ。」
声が小さく聞こえない
「...ふぁ?なんて?」
「どっちもだ!!!有り得ぬ!本当に有り得ぬ!
これは...新しい...いや一度だけ...一度だけ書物で見たことがある
御伽噺だとてっきり思っていた...本当に実在するとは」
レイトリスは本を手に取りじっくりとその本を眺め
俺のほうを向きなおした
「え...どっちも?...そんなことあるの?人族で。
ただの人族が二属性も?」
「そうだな。いやそうではない 厳密にいうとだ。
二属性であり、二属性ではない。」
「なんだよ。もったいぶって。早く説明してくれよ」
俺は新しいゲームを貰った小学生のようにはしゃいでいた
「...お主の属性は...。」
ゴクリ
俺の唾を飲む音が聞こえた
「...混沌だ。 混沌属だ。
光でもあり、闇でもある。」
俺は口をあけながらジャンプした
「っしゃああああ!!!
ってことは俺回復もできながら強力な魔法も使えるってことだよな!?」
ただレイトリスは驚きの後悲しい顔をした
「いや、そうではない。
どちらも使えないのだ。」
俺ははしゃいでいた刹那に聞こえた言葉が幻聴だと思い聞き直した
「へ?...今なんて?」
次は奈那サイドを書きます
基本1話で一人一人の視野で書いていき1話完結させる予定です




