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番外編 俺の世界はこうして反転していた

こんばんは。番外編になります。

元生徒会長と元副会長の物語となります。


俺はどうしようもない奴だった。


クソみたいな奴だった。

学校は中退し、のうのうとフリーターとして生きる日々だった。


だがそんな俺にも想う相手がいた。


フリーターとして働いてた場所で同じ職場の女だ。

だが俺は見てしまった。

駅のホームにいた俺は、その女が、俺の知らない男とキスしてしまってるところをな。


あぁなんだこれ、死にたい。



この俺、音羽海斗はそう思った。


虚無の日々を送っていた俺は駅のホームに俺はいた。

このまま電車に突っ込めば楽になれるか?

なんてことを考えて一歩踏み出したら

「自殺はだめですよ」

そんな声が俺に響いた。

振り返るとセーラー服を着た藍色の髪と瞳を持った女がそこにはいた。

「え…?ちょっと待ってくれ。自殺ってのはなんだ?」

「今音羽さん、電車にぶつかろうとしたじゃないですか」

「いやしてないが…」

何故か名前を知られている。

「フラれたからって自殺なんて考えないでください」

「いやフラれてもないが」

「いいえ、目の前でキスしているのを見たのでしょう?だったらそれもうフラれてます」

「はぁ?見てたのか?」

「はい」

即答された。

「どこから」

「ずっとです」

「は?」

「自殺するくらいなら私と付き合ってください」

「なぬ」

「私なら音羽さんの彼女になれます。音羽さんの望むだけの都合のいい彼女にもなれますよ」

頭が痛くなってきた。

「いや、悪いんだがいきなりそんなことを言われても」

「じゃあ今日は帰ってください。送っていきますから」

家までバレていた。

俺と女は電車に乗り込む。

「家は近いのか?」

「音羽さんの家と隣のマンションですから。降りる駅も一緒ですよ?」

「………。あー、けど寄りたいところがあるんだ」

「じゃあこれ私のIDです。帰ってきたら必ず私に連絡してください」

そう言って女は俺が降りる駅で降りていった。

『帰ったぞ』

と入れておくと。

『良かったです。おかえりなさい』

すぐさま返事が来た。

俺はその文面が妙に新鮮に感じ

『あぁ、ただいま』と送り…ふと思い…

『おやすみ』と入れた。

そしてすぐさま返事が来て

『はい、おやすみなさい』

と会話が終わった。


これが俺と月島果夜の出会いだった。


彼女はいわゆる、俺をストーキングしていたのだ。

いつからだったのかは…不明だ。

電車も仕事先も把握されていた。

電車に乗り、よく辺りを見渡すと月島がいた。

今までなんで俺は気付かなかったんだ。

「よう」

「…あ、はい。おはようございます」

「??おはよう。どうした」

「いえ。まさか声をかけてもらえるなんて思ってなかったので」

「そりゃ掛けるだろ。知り合いなんだからよ」

「___。そうですね」

俺は見かける度に声をかけるようになった。

月島は俺を見つけてもどうやら俺をずっと見つめているだけだった。

見つめられる視線は気になるからな。

まあかわいさにかけては月島のが圧倒的な感じで上だが。

いやフラれてねぇから。

けど彼女は嘘を付いていた。

まず家は俺の住む近くじゃないこと。

そして本当は俺の家の場所を知らないこと。

これは話していて何となくわかったことだった。

しかし彼女は言う。

「音羽さんのせいです。音羽さんが悪いんです」と。

何のことだかさっぱりだった。

ちなみに彼女の学校生活はあまり芳しくないようにも感じていた。

セーラー服ということは中学生だ。学年は三年。

つまり受験生だ。受験は?と聞くと

「高校はもう決まってますから」とだけ。

頭が滅茶苦茶いいらしい。

彼女から遊びませんかということで一緒に出かけたことがある。

「美味しい!」

普通のファミリーレストランだったが彼女はそれを楽しそうに言っていた。

ただのよくあるレストランなのに不思議や奴だ。

「少し寄り道しませんか?」

彼女は言うので付き合う。

そこはちょっとした公園だった。

ブランコを漕ぐ彼女は言う。

「音羽さん、私をそろそろ彼女にしませんか」

「しない」

「えー何でですか」

「お前もっと自分を大事にしろ」

「してますよ」

「してないようにしか見えないんだが。何でそんなに拘る」

「音羽さんが自殺するからです」

「いやしてないから」

「けどフラれて自殺しようとしましたよね」

「そもそもフラれてないんだが」

「どう考えてもどう見てもあれフラれてますから。だったら私があの女の彼氏さん寝取りましょうか?」

「いやしなくていいから」

「けどそうすれば音羽さん、死にたくなくなるでしょう?」

「しなくていい」

俺の声が低くなったのを分かったのだろう。

彼女は少し躊躇うように口を開く。

「…どうしてですか」

「お前にそういうことをしてほしいわけじゃない」

「………音羽さんが悪いんです」

これである。

ブランコを降りた彼女は夕陽の太陽でキラキラと金色に輝いていた。


魔法……


頭にそんなことがよぎった。


あまりにも変な輝きだったからだ。

「お前、魔法使いなのか?」

そう尋ねた時も彼女はお決まりのように言った。

「音羽さんのせいなんです」と。

自分の代わりに自分も傷つきますみたいな彼女の考え方は嫌いではなかった。

だが申し訳なさもあった。

彼女は決して俺に対して好意があるわけじゃないんだろう。

単純に俺に自殺させないため。

もしかしたら他にも何かあるのかもしれないが。

だが魔法使いならそんな悩みなんてない気がした。

ないだろ?

理解ができない。

俺は普通の人間なんだから。

相容れない。



仕事の帰り道。

「あー、だいぶ遅れちまったな」

空はすっかり夜だった。

だが俺はそこで出会っちまったんだ。

赤い花を持った人間が誰かを傷つける瞬間を。

「な、おい!」

俺は呼び止めたがそいつは振り向き様に何かを飛ばしてきた。

頭を伏せてギリギリかわす。

「おいおいおいおい洒落になってねぇぞ」

見たところ金絡みの事柄だったらしい。

「…ま、魔法で強盗とは魔法使いってのは野蛮だな」

しかし何回かかわせてる。

けどこれは

「お決まりの…見られたからには」

「生かしておけない」

「だよなあわかってますよいやだな…見逃して」

「………」

「くれませんねわかってましたよ」

どうにもぶっ殺す宣言だった。

そして俺の運もここまで。

魔法の弾丸は俺を捉える、かと思った。

光にかき消された。

「音羽さん、こんなところで何をしてるんです?」

彼女がいた。

「……それ俺のセリフ。だが…助かった。尾いてきたのか」

「はい」

悪びれずにいった。

「…ご苦労なこった」

こんな遅い時間にまで。

学生が出歩く時間じゃないぞ。

「ありがとうございます」

いや褒めてない。

「ちなみに聞くがどこから尾行してたんだ?ここまで来るのに大きな道があったはずだ。お前の姿はなかった…。参考までに教えろ」

「電線の上を歩きました」

「ありがとう。ちっとも参考にならなかったな」

ちなみにだがその魔法使いは彼女が対処した。

あっさりと。

「強いんだな」

「いえ…」

「そうか」

どうやらそれ以外何も言わない俺に居心地が悪いらしい。

「森宮学校だったんだな」

「はい。え?…それだけですか」

「それだけだ」

「そうですか。…えっと…この時間帯は気をつけてくださいね。ああいう人達がたまにいますから」

彼女はその魔法使いを容赦なく光を筒にした剣で一刀両断した。躊躇いなく。

俺はその異世界の光景にあぁやっぱ魔法使いって別次元の生き物だと感じたが…彼女の表情は険しく凍ったような顔だった。

その時、悟った。

魔法使いも結局は人間なのかもしれない。

俺は魔法使いの印象を変えることにした。


そうして俺に転機が訪れたのはこの時だ。

「お前、森宮学校の生徒になれ」

唐突に現れたドレス姿の金髪の女と耳の長い銀髪の女がやって来てそう言った。

ちなみに最初は逃げた。

が逃げても逃げてもその二人は俺の目の前に現れた。

なんとか家に着き、安堵の息を吐けるかと思ったのだが、こいつら二人して俺の家で茶飲んでんだよ。

死ぬかと思ったわ。


で、だ。


「森宮ってあの?」

魔法使いが通うあの学校か?と聞こうとしたら銀髪が頷く。

「うん、あなたには魔法の素質があるって分かったから」

「俺…中退してるが。というか」

俺は留年していた。何よりもう学校に通う年齢じゃないんだが。

そう言おうとした。が金髪の女は手をかざすとその手は輝くが萎んでいった。

「魔法を打ち消す魔法がお前の力だ。いや…あらゆる力を消すのがお前の魔法か。正直これほど厄介な魔法はない。ゆえにお前に拒否権はない」

「な!?」

俺はその無茶苦茶についていけず、思えば月島と出会ってからなぜか無茶苦茶になった気さえした。

だがそういうもんかとも思った。

俺は降参して、森宮学校へ入ることに決めた。

逃げまくって疲れてたし。

高校の卒業の証が貰えるなら行って損はない。

彼女といつものように会い話す。森宮学校に通うことになったと…言ったら驚かれた。

学校見学は顔見知りということで彼女が案内してくれた。

案内が終わり、駅のホームで俺は改めて聞いた。

なぜ俺に声をかけたと。


彼女はゆっくり口を開いた。


「自殺したかったのは私です」

「…どういうことだ」


「音羽さん、覚えてませんか。私に声をかけたこと」

「いやないな」

俺にとっては大した出来事じゃなかったんだろう。

覚えてないから。

「私は勉強することしかなかったんです。だけど勉強嫌いなんです。なのにみんなは私をガリ勉だとか真面目だとか言うんです。私はこれでもやれることをやってきたんです。勉強だってその一貫でした。

だけどガリ勉だって言われて、あぁ私はそれしかないんだなって思ったんです。誰も私の頑張りは見てなくて何もないんです私。自暴自棄になって」


それで学校行くのが嫌になって駅にいたんですよと彼女は言う。

聞けば彼女は中学の二年の春に両親を失っていた。

何もかも無くなった少女だったという。

「そして俺が声をかけたと」

「そうです。自殺するつもりだったのに音羽さん…余計なことまでして」


いわく、俺は彼女に声をかけて、駅員やら警察やら呼んだらしい。

彼女はおかげで「い、いいです、大丈夫です。これから学校向かいますから」と学校行かなきゃならんくなったとか。

「マジで?」

「マジです。それを考えてると音羽さんしか考えれなくなるんです」

だから音羽さんのせいなんですと彼女は言う。

「レストランで食べたご飯、今まで食べたご飯で一番美味しかったんです」

「普通にファミリーレストランだったが」

「音羽さんが一緒だったからです」

「……」

「あなたといると落ち着くんです。痛みがスッって消えるんです」

「大したこと多分してないぞ」

「大したことないからですよ」

「そうか。……」


ここまで言わせて、何も言わないというわけにはいかない気がした。


「なんかできることあるか?俺に」

「じゃあ…キスしてください」

言ってからこれだった。頭が痛い。

しかし彼女は本気なんだろう。

藍色の瞳は俺がどうするか、俺を見ていた。

俺は口を開く。

「最初に言うぞ。俺は理想の彼女なんて求めてない。お前の思うお前でいい」

「あ、はい」

……キスな。すりゃいいのな、すりゃ。

俺は彼女に彼女は俺に。彼女は小さく背伸びしてそれを受けた。

ほんの一瞬でそれは終わった。

熱のあるものだったと思う。

俺と彼女はお互いにそう思ってるだろう。

二人で気恥ずかしい空気になっていた。

そして何かヒソヒソと声がした。

「「あ…」」

ここは駅だ。

それを忘れていた。

その視線の先には彼女と同じくらいの女子達がいた。

「あれ…前の中学の」

「あー…知り合いか?」

「えっと…はい。一緒のクラス、でした」

俺は何を言えばいいか悩んだ。

言葉を選ぶって大変だな…。

だが今は悪くない。

「……ガリ勉だって思われてた奴がキスしていたことが意外なんだろう」

「そう、かもしれませんね」

しかし歳の差、そこそこある気がするなぁ。

見た目だけならわからんかもしれないが。

ま、気にしたってしょうがない。


これは俺だけの物語だからな。


「学校はいつからですか?」

「ん?来週だ」

「じゃあ中学三年生からですか」

「なんか聞くとやだなそれは」

「年齢はあまり気にすることはないと思いますよ音羽さん」

「なんでだ?」

「来週、来ればわかります。これからよろしくお願いします」

そのよろしくは入学したらしたらよろしくなのか、この関係のよろしくなのか。


「あぁ、よろしく月島」

「はい」


どっちにしろ彼女、月島果夜は嬉しそうに笑っていた。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

今回は二人の出会いを書かせてもらいました。

どこまでイチャイチャ書けるか楽しくやりとりできるかと書いてましたね。

不思議な出会いも数多くあるオレワタの世界ですが意外にも今回はもしかしたらあるんじゃないか?というような内容になっています。後半から魔法ネタ入れちゃいましたけど、いずれこの二人の個人話も書けたらいいなと思っています。

では今回はここまでです。

ここまで読んでくれてありがとうございました。

次回の番外編もお楽しみに

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