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番外編 霊と対話する少女の話

こんばんはおはようございますこんにちは

番外編です。今回は姫野桃という死霊術を使う女の子の話です。

それにしても12月になりさらに寒くなりましたね。

防寒しっかりしよう

これは私のお話、甘いような苦味のあるようなお菓子のような話だよ。


私の家は普通。お金持ちでもなんでもない。父母私だけの暮らしだ。

私は人見知りだった。

人見知りな私は魔法に目覚めてしまった。

それも小学3年生の時に。

魔法に目覚めた私の力はお化けと対話ができるという物だった。

人には見えないそれらと私は話ができていた。

わからない人にはさぞかし不気味だろう。

石をぶつけられ遠巻きにされる日々の毎日。

そんな帰り道、新しい洋菓子店が出来た。

家族に連れられて行ったそのお店のお菓子達に私は目を奪われた。


将来、お菓子を作りたい。


しかし家族に話してもそれは応援されない。いいよとも言ってはくれなかった。

けど

「にゃ」

真っ黒な猫が私にすり寄る。

名前はある。

「私ね。将来お菓子を作りたいんだよー。でも許してくれなかったんだよねなんでだろーねー」

「にゃぅ」

「そうなの?応援してくれるのはお前だけだねー」

唯一私のことを理解しているのがこの猫だった。

唯一この猫にだけはなんでも話せた。

そうして変わらない日々が続いた。

中学生になった私は今日も口を開く。

「…今日喫茶店に行ったんだけど、そこの紅茶が美味しかった」

「にゃ~」

「…食べてみたいの?お前は無理だよ。だって」


「桃、誰と話してるの?」

「………。別に。」

母に呼びかけられ返事が冷たくなった。

「喫茶店に行ったの?」

「うん」

「友達と?」

友達?何それ??

「…………。うん」

「そう。よかったわね」

母は再びリビングへ戻っていく。

「にゃ~」

「…。なんでもないよ」

最近家族と話すのが億劫になってきていた。

将来の夢を否定されていたから。

けどそれでも良い家族だった。


この時までは。

「にゃあ」

「…うん。それでね。今日図書館で」


ガシャン。

「…!?」

お皿が割れる音に振り返ると、青い顔をして私を見る母がいた。

「何してるの…?」

「…何も」

「何もって今あんた喋ってたじゃない」

「………………」

「桃…なんで何も無いところに向かって喋ってるのよ…?」

母は私を見て後退りをした。その顔はもう私に石を投げる奴らと一緒だった。


既に気づいているかもしれないね。


猫なんて家にはいないんだよ。


最初から。


「にゃあ」


その声は部屋に響き渡る。


私は部屋に戻る。

もう何もかも壊れてしまえばいい。

そう願った。

そして家族は何者かに惨殺された。

唯一私だけ残されて。

警察が来た。私は沢山質問をされた。

私はこれから施設に預かることとなる。

でも私はこの場所から、この街から出ていこうと決めていた。

そう思った時。

「にゃ~」

「…ついてくるの?」

「にゃあ」

思えば、この猫は私のそばにずっといた。

どうしてだろう?

「それは君が、その猫と契約をしているからだろうね」

「…誰?」

唐突に現れ、見えない猫のことを指摘した。

金髪の男は私と、そして猫を見た。

「見えてる?」

「もちろんだとも。儚くも死を司る力を持つお嬢さん」

「死を…司る?」

「あぁ。君はこれから養護施設に預かるとあるが既に僕が行き先を変えておいた」

「…え?……」

私は男を見た。

背格好や体格を見る。おまけにこの男は私がお化けと話せることを知っているらしい。

逃げることは出来なかった。

「…どこに…連れていくの?」

「少なくとも今よりはずっと住みやすい場所だ。何より君の力についてある程度検討がついている。僕と来きてくれるかな?」

その提案に、私は従うしかなかった。

「…いいよ」

「契約成立だ…」

「え?」

「なんでもないよ?」

そして私の首に首輪を取り付けられた。

「…?」

その時の私はなすがままだった。

「…これ」

「あぁ直に気にならなくなるよ」

「……」

首輪……まるで私がこの男の猫みたいだ。

不思議と嫌ではなかった。

「さぁ行こうか」

「うん…」

ファルシ・リキストという男と初めて出会った。

そして着いた場所が、この森宮の街だった。

首輪は気づいたら無くなっていたことを私は忘れていた。


今思えばあの首輪は私に何かを降ろさせるための契約だったような気がする。


この街には森宮学校があり、私はこの学校に通うことになる。

家も学校が作ったマンションでそれはもう豪華だった。

そして好きなことをして過ごしていいらしい。

私のように力がある者達はみんな魔法使いと呼ばれていた。

私の力は死霊術。魂と契約することで様々な恩恵を受けることができる。ということがわかった。

「にゃ?」

この猫が私の契約獣らしい。

この猫は魔法使いには見えているらしくとても可愛がられた。

石をぶつけられることも無くなった。

少なくとも自分の周囲に迫る火の手と煩わしさは無くなったんだと感じた。

嬉しいのに悲しかった。悲しいのに嬉しかった。

森宮では充実していた。

けど充実すると不満もあった。

魔法の授業で私はいい結果が出せなかった。

力が足りないという言葉を受けた。


…力………か。


私は図書館で洋菓子の料理本を持って教室に戻ろうと廊下を歩く。隣には猫も付いてくる。

「にゃ~」

「…不満な顔だって?当たり前……。」

そんな時はお菓子の料理本を眺めていると落ち着いた。

だけど物足りない。どうしてか…。

その時、私は誰かとぶつかって尻餅を着いた。

私の道を阻むとは。

「あぁ、わりぃな」

「ん…」

ずいぶんと態度の大きい人なようだった。その外見はもう学生には見えなかったけど制服を着ているから学生なんだろう。

これが私と音羽海斗の出会いだったりもする。


それからしばらく私はその男と見かけたら喋るようになった。

それは放課後だ。

「よっ」

「…うん」

「お前いつも一人と一匹だな。友達は?」

「余計なお世話」

「へいへい」

友達…なかなか上手くできないのが悩みだ。

「よし、俺が友達になってやろう」

「は?」

「にゃ?」

私と猫の声が重なった。

「…うっとしいって言われたことない?」

「あるな…………レインに」

「………」

「で、今日暇か?」

「……まぁ」

「じゃあ来てくれ」

「えぇ…?」

勢いのまま私は彼に手を引かれる。大きな手だ。

なぜだか不思議と嫌いじゃない。

「…どこに行くの?ここ…街だよ?」

「あぁ…着いた」

私の目の前にあったのはホテルだった。

変態だこの男は。

「帰る…」

「ちげぇよ!?どこ見たんだ」

「………。ホテル」

「ちげぇよ!?まぁ場所はたしかにホテルなんだがな。まぁ騙されてくれ」

「………ぅぅ」

猫に攻撃命令を出していたのに、この男には猫は攻撃しなかった。


~~~~~~


私は驚嘆していた。

「え、ここって…ぇぇ」

連れてこられたのはたしかにホテルだったが、ホテル内にある洋菓子店だったのだ。しかも

「…なんで…?」

「なんでってお前よく菓子本持ってるだろ?そのメーカーの」

「………」

私の好きなお菓子のメーカーが経営してるブランドの洋菓子店だったからだ。

「あ、海斗さん。来てたなら言ってくださいよ」

コックコートを着た女性店員が彼に話しかける。しかも知り合いみたいだ。唖然とする。

「悪いな」

「今日、手伝ってくれるんです?」

「あぁ、こいつが大丈夫ならってところだけどな」

「……………」

「な、なんだよ」

「…桃。こいつじゃない」

「悪い…あー…桃?」

「……………うん」

「えっと桃が良きゃ、ここで菓子作ってみないかって話をしたかったんだよ」

「え?」

私は冗談か?とも思う。でも冗談じゃないようだ。

「まぁ学生だからバイトみたいな感じになるだろうがな」

「………」

私は迷った。

「なんで?」

「なにがだ?」

「…なんでここに連れてきたの?」

「嫌だったか?」

私は首を左右に振る。

「そうか。てっきり菓子でも作りたいのかって思っただけ。そんだけだよ」

「………そっか」

この人の行動は偶々だ。けどその偶々が私にとっては嬉しいものでもあった。

やれなかったこと、否定され続けたことを後押ししてくれたんだ。

「やってみる」

「そうか」

こうして私は不本意な初めての友達のおかげで洋菓子店でバイトするに今に至っている。

でも友達という言葉では片付かない思いも芽生えてたのもたしかだった。



この時の私はまだ気付かない。




~~~~


「…………」

私はここの学校で、この学校らしい悩みを持っていた。

魔法によるテストだ。

魔術による成績はまあまあでも個人が持ち一人一人違う力、魔法は難しい。

私の魔法は死霊術。

魔法と魔術の違い…、魔術は体に巡る魔力を描いた魔法陣に流して魔法と同じような力を生み出す。

魔法は自らが持つ個別の力とも言われている。一人に一つ。同じ力を持つ魔法使いはいないとされる。大気や体に流れる魔力を自分の体や、空間、適材適所に放ったり使ったりと様々な現象を起こす。


「あれ?あなた不思議な生き物連れてるのね」

そんな時に私は出会う。

白銀の髪に長い耳、銀の瞳を持つ魔女。魔法国、西の国魔女王。ネメシス・アファシス。

彼女は私が何に悩んでいるか知っていた。

「私の国にある大陸の跡地に行けば、あなたが求めるモノがあるよ」と。

私は学校に世界異動の許可を取りそこに向かうことにした。

あっさりと許可が降りたことにあの時、私は疑問をもたなかった。


たどり着いた場所はまさに跡地だった。

ここはかつて壊世かいせい戦争と呼ばれる人と人ならぬ者の戦争があったのだと聞いた。

戦争中に、空から沢山の悪意が降りてきて種族関係なく死んだと。

私はその中で見つけた。

巨大な遺骨を。

遺骨は私の魔法に反応し霊子の状態で私の前に姿を現した。

大きな悪意を持っている怪物…化け物だとわかった。

どんな姿で何をしてきたか、頭に流れてきた。

けど私に危害は加えない。

契約を持ちかけられたのだとわかった。

でもわかっていた。この怪物と契約したら、今一緒にいる猫とはさよならだと。私のこの魔法は複数の霊とは契約できない、同時に同性とも契約ができない。


私は……さよならを選んだ。


強くなるために。

「にゃあ」

猫はただ鳴く。なんて言ったかもう聞かなかった。

「…バイバイ」

それだけを言って、私はこの怪物、名をバロムと呼び契約し私の魔法は覚醒した。


それからの戦いは圧倒的な力でみんなをひれ伏させた。



そうして生徒会の三番にまで上りつめたのだ。


ネメシスに再び会った時「いい当たりを選んだね」と言われた。


音羽海斗に再び会った時だ。

一瞬陰りが過った感じもした。

「あの猫どうした?」

「…契約解除した」

「…そうか。あの猫今はあそこで一人か…」

その言葉はあえて無視をした。

その後、時が経ち、ファルシは事件を起こして消失。

生徒会は解散した。

私を含む会長と五番の人はファルシに悪魔降ろしに利用されていた。

思えば、初めて会った時に妙な首輪を付けられていたのが悪魔降ろしの必需品だったのだろう。契約成立だとか言っていた気がする。

ちなみにその事件の際に解決に当たったのが高等部一年生の人達。

チーム巫凪だ。

私達悪魔降ろしを受けた三人は魔法国の魔導病院に入院。

色々検査され大変だった。

でも私達は憑き物が落ちたようにスッキリしていた。


退院した日、自由時間を使って私は再び跡地に来ていた。


「……いる?」

呼びかけても返事はない。

「よっ」

代わりに返ってきた返事はこの男、音羽海斗の返事だ。

「…台無しだよ」

「いやすまん」

「…カイトは霊を怖がらせるから、絶対来てくれないよ」

「悪かったって」

「……」

「ここでその怪物と会ったんだな」

「…うん。……怪我はいいの?」

「あぁこの通りな」

「………」


「行くか?」

気遣うような声。

音羽海斗はファルシが起こした事件で死ぬくらいの怪我をした。

私が私じゃなかったとはいえ酷いことをしたのは事実。でも私を…三人を責めたりも怒ったりもしなかった。

いつも通りヘラヘラしていた。

だから謝るに謝れない。

ズルい人だ。

再び気遣うような声。

「行くか…?」

「……うん」

私は頷き跡地を後にしようと帰りかけた時だ。

もう二度とここには来ないだろう。


「にゃあ」


「…………………………………………」

私は恐る恐る振り返る。

そこにはあの日、別れたままの姿をしたあの猫がいた。

いてくれた。

私はゆっくり近づく。声をかけた。

「……元気だった?」

「にゃあ」

「そっか、よかった…」

「にゃあ」

「……ごめんね」

「にゃーご」

いいよと言っていた。

「……うん。……」

「にゃ?」

「…何しに来たかって。…。迎えに来た」

「なゃ?」

私は一つの箱を取り出した。

「…ソウルコアって言って…魂を持ち運べるの。一つだけだけど…。あなたは地球の猫。置いていってごめん…だから帰る場所に一緒に私と帰ろ」


猫は頷き迷わず箱に入ってくれた。

「カイト…終わったよ」

「そうか。よかったな」

「…うん、終わった」

「そうか」


そして私は森宮に帰ってきた。

帰って来てもここは賑やかでうるさい。

新たに創設された新生生徒会の案件で学校と街は騒いでおり、さらにうるさくなった。

でも、このうるささは好きだ。

ソウルコアに入った猫の魂は森宮の街で開けて解放した。

「にゃあ」

とお決まりのように言って消えて行った。ゆらりと尻尾を変に揺らして。あの猫も何か少し逞しくなってる気がした。

この話を、新生生徒会の副会長に話したら

「年単位ですけど…数年そんな魔力に包まれた場所で過ごして生きて…いや死んでるのか。でも過ごしてたらあの猫も何か力を付けたかもしれませんね。もしかしたら猫ではなく妖怪みたいな存在になってるかもなので、きっと大丈夫っすよ」

とか言っていた。

誰も心配なんかしてないし…。まぁいいけど。


そして私は、再び…いや、新たに結成された新生生徒会に入った。

何かが楽になったのか、状況が変わったのかわからない。友達と言える人もそれとなくでき会話もするようになった。

今は新生生徒会11番としていつも通り過ごし、皆を支えている。



これで私、姫野桃の物語はおしまい。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

今回の話はどうだったでしょうか。

12月初の投稿となりました。

珍しい感じの物語になったと思います。この物語はいわば彼女の経緯になります。

こういうことがあり、こういう風になったという話です。

若干な無理やり感もあるかもしれませんが無事ハッピーエンドで終われたと思います。

今回はここまでです。

次回もここでは番外編を描いていきます。

お楽しみにしていただければ幸いです。

オレワタ×東方、オレワタその2もまだまだこれからもよろしくお願いします。

ここまで読んでくれてありがとうございました

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