番外編 オレワタ式体育祭
お久しぶりです。今回は番外編となります。
10月、秋らしく体育祭です!
「それもうちょっとこっち~!」
誰かが大きな棒や玉を運ぶ声と姿があった。
何をするためにこんなのを運ぶかって?。それはもちろん体育祭のためだからだ。
10月は文化祭、ハロウィン、に続いてこの学校はたてて続けに行事を詰め込んでいる。
そして今日は体育祭である。なのに
「まだ準備中ってどういうことなんだよ、しかもなんで朝の四時半から準備なんだよ眠いぜ」
「そうじゃないと間に合わないってコーチ言ってたよぉ~…」
「おおカオルも眠そうだな…」
「うん寝たいよ~」
「だな…」
「二人ともきびきび動きなさいよ終わらないわよ?」
「なんでパトリシアお前はそんな普通なんだよ…」
「この時間なら普通でしょ」
「いや、いやもういいです…」
パトリシアを筆頭とする異世界人もとい人類とは言わない種族達。彼女達は睡魔というものにはあまり縁がないのかな?と考えた。
いやたぶん見慣れないから気分が上がっているだけだろう。
それはともかくだが、体育祭前の一週間という準備期間、日程や競技を行うために準備や時間内容のプログラムを作りあとちょっとってところだったのだが季節外れの台風により準備ができなくなってしまったのだ。台風が過ぎ去り本日は快晴らしい。結果、こんな時間に準備している。
この学校の競技形式はクラス対抗戦ではなく個人による個人対抗戦である。
つまり一人一人が得点を得て一番点数の高い人が優勝らしい。
中学校はクラス対抗戦とか部活対抗とかだったがここでは部活対抗はプログラムの一つでしか含まれていない。
そもそも運動部少ないからな…。
女の子が多いからか男の子が多そうな野球部とかないし、サッカーもないし、あるのは女子ソフトボール部か女子フットサル同好会だ。
ちなみここの運動の部&同好会は女子ソフトボール部、女子フットサル同好会、、バスケ部、テニス部、水泳部、卓球部、剣道部、チアリーディング部、バトルアクト部、ブレイクダンス部、空手部くらいだ。
「しかし個人対抗戦となると順位や審査が大変だなどうするんだろ」
と知らない同級生が通りすぎていく。
「たしかにどうするんだろな」
「あ、おはようございます。皆さんおはやいですね」
「あ、結城先輩おはようございます」
カオルも挨拶した。
ちなみにパトリシアは作業に戻ってしまってここにはいない。
「相変わらず執行委員は大変っすね」
「そんなことありませんよ」
「そういえば聞きたいことがあったんです」
「はー、なんでしょう」
先程の個人対抗戦について聞いてみたら
「開会式のお楽しみです」
とウインクされた。
「あ、そろそろ行きますね。またのちほど」
と結城は去っていく。
「ああ、俺達も準備手伝うか」
グラウンドへ向かい準備を手伝う。
すると余語がいた。
「志郎~!」
「やぁ龍太、桜ちゃんおはよ」
「早いな」
「まぁ準備の指揮は僕らの役目だしね」
「そういえば執行委員だったなお前は」
「まあね。そういえばバトルするグラウンドも競技に使うらしいから、なんか校内のそこかしこで種目するんだって。まさに体育祭だね」
「ええ、まじか」
「うん。ここはもう人足りてるから龍太達はバトルグラウンド見に行ったら?」
と言われ俺達はバトルグラウンドへ向かう。
向かう途中でも準備の光景が見られた。
「ほんとにそこらじゅうでやるんだな種目…俺達準備すること、としか伝えられてないしな」
「中学の時はどうだったの?」
「中学の時?普通だよ。朝に椅子もってグラウンドに並べて体育委員ってのがなんか線とか引いて、スタート」
「へぇ~わたしも似たような感じだったな」
「ここじゃ椅子なんて持たないのな…楽だけど代わりに準備がキツいな」
「あちこちでだもんね」
「うん、バトルグラウンド着いた。客席がでかいから何かでかいことするんだろうか」
「あー、一番の目玉かも?」
「かもしれないなってなんか作ってる?」
「あ、そこ二人手空いてる?」
「え、ああー…」
準備手伝いたくないなめんどいなとか思ってた矢先
「あ、わたし達!!空いてまーす」とカオル。まじかよ。
「じゃあこれやって~」
と何か紙みたいなのを書かされた。
何に使うんだろうか。聞いてみたら「私もわからんっすわ」と返ってきた。
何をするかもわからないのに動かされている不思議さを感じた。
これはまた都市伝説か何かにみんな動かされているのかな?。やれやれ。
そんな感じで森宮学校は朝の5時30には準備を終えた。
学校集合は10時となり皆一時帰宅。俺とカオルは飛んで帰った。んで寝た。
ちなみに数時間だからということで一緒に起きるために一緒のお部屋で寝ることになった。
マジか。
九時に起き、俺達は準備をして学校へ向かう。
学校に着くとグラサン女にでくわした。
「おはよう二人とも」
「「おはよーございます」」
「きちんと寝れたか?…いや巫凪お前寝たか?」
「あー…それなりには」
カオルが隣で寝てるんだぞ。まともに寝れるわけないわ。
俺の理性はパーリーピーポーハッハハだった。
「台風さえ来なければ準備に時間はかからなくて済んだがな」
「そっすね。文化祭とどうちがうだろうか」
「少なくとも学生の模擬店はない。があるのは地域の方が出してる店舗のいくつかが出張出店している。学校の外にそれぞれ構えているから、あとで見ていくといい」
「おおそれはすごい」とカオル。
「まぁあとはクラス対抗戦ではなくここの体育祭は個人対抗戦だ。一人一人の成績、小学生が高校生と競技することも有り得るかもしれないな」
「ええ、ありなんすか?」
「ありだ。ここはそういう場所だ。強さも弱さも魔法使いなら関係ない」
まぁごもっとも。
「とはいえ、有利なのは上級生だということには変わりはないがな。お前達は高校生だ。立場的には小学生と中学生には上級生には間違いない。存分に腕を奮うといい。怪我せずがんばるといい」
と言ってグラサン女は歩き去っていく。
「小学生にはきつい祭りになるかもな」
俺はそう呟き校門を潜る。
今回は学校ジャージだ。
この格好で一日過ごすのは体育祭くらいだな。
グラウンドに全校生徒が集まる。いや生徒会の何人かはいないらしい。まぁあの辺がいないのは今に始まったことじゃないが。
開会式前には皆に会えた。
「カオルおはよ」
「パティちゃんおはよ」
「龍太もおは…ちょ貴方隈がすごいけど寝た?」
「あ~ねたよ~」
という似たような会話を皆に言われた。
そして開会式が始まる。
『ただいまより開会式を行います。体育祭の進行は放送委員と実行委員と執行委員が務めます。よろしくお願いいたします』
壇上に結城が上がり拍手があがる。
『ありがとうございます。では改めて、体育祭の開会式とルールを説明します。
この学校の体育祭はチーム対抗でもクラス対抗でも部活対抗でもありません。
あ、部活対抗はプログラムに含んでありますので時間になりましたら、グラウンドに集合です。
では改め、この学校敷地全体で体育祭を行います。
生徒にはそれぞれ番号の記したカードを配ります。
同じ番号はありません。
それが参加資格となります。そのカードを学校全体にいる競技担当の人に見せてかざすことで参加ができます。
参加種目は自由ですが同じ種目で連続でることはできません。
チーム戦や個人戦といった数多くの競技を用意してあります。
一番ポイントの高い生徒が優勝です。優勝商品は7位まで用意してあります。
100万円の価値がある品をを用意してあります。
奮って参加してください。
あ、もちろんですが魔法使用は禁止です。そして種目を5個以上参加しなければ不参加とみなし居残り補習、学校の階段掃除を一ヶ月です。
体育祭中やむをえない事情や体調に不調が起きた場合は直ぐに執行委員へお越しください。
そしてカードですが初めて持った方が三分間経過しているなら持ち主と認識し帰ってくる仕組みです。
なので盗難損失はありません。 そしてカードを持っている間、生徒の居場所は直ぐに把握しています。
安心してください。
では説明を終わります。これより学校全体地図と体育祭種目場所の表を張り出します。確認してください。
なお、今年は保護者の方も大勢見られます。くれぐれも来場者の迷惑のないようお願いいたします。
では生徒や一般来場者の皆様にプログラムを配布します』
あーつまりこのカードは魔法で作ったカードなのか。
盗難損失だけじゃなく無理矢理取られても帰ってくるから暴行をされるリスクの可能性を潰して徹底してるな。居場所が分かるってのは、もしかしたらこれはカオルへの配慮かもしれない。カオルは過去に誘拐されたことがある。そんなことが起きないように配慮してくれたのかもしれない。
妄想でしかないがありがたかった。
そして競技はそれぞれ好きにやれと。同じ競技は連続ではできないから移動しなきゃならない。プログラムは一般の学校がやるような行事が書かれているが一般や保護者が楽しめるようにそういう人達も参加できる競技が多く書かれていた。ちゃんと景品もあるし、まぁ景品は公平に決めるみたいだが。
ってか、楽できないなこれは。
サボれない。徹底しすぎて。
「龍太くん龍太くん龍太くん」
「お、おお?カオル」
「このカードすごいんだね」
「まあ、たしかに。ってか、あ、もう張り出ししてるのか」
「そうだよ?もう体育祭スタートだよ。どうしたの?なんかボーッとして。お熱ある?」
カオルが自分のおでこと俺のおでこにくっつけた。
「…うーん」
「……」
俺はちょっとドキドキした。
「熱はないね」
「あー、ないよ大丈夫」
寝不足なだけである。
ああ、カオルが近い。いいね。なんて浸っていたら
「ちょっと龍太にカオルちゃんなにしてるの~!こんな人の中で愛のモニュメントになるの~??」
リセリスのわざと大きな声が入り
「「あ、愛のモニュメント!?」」
と俺とカオルは二人で叫んでいた。
ちなみに俺の番号は119番。救急車じゃん。
カオルは135番
パトリシアは2番
余語は?と思ったがあいつは執行委員メインで活動しなければいけないらしく参加してないらしい。
カオルはいさごだ~!と言っており、パトリシアは1番がよかったのかむすっとしていた。
今回は委員会も教員も大変だな。
さて、それじゃやりますか。まずはどれから回ろうかな?
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「ハッ!ハッ…!」
ピーっ!と笛がなる。
「135番1位。5ポイント。119番5位。2ポイント」
「やったぁー!」
トテトテとカオルが戻ってきた。
「龍太くん、一位になったよ!」
「幸先いいな。俺もなんとか最下位にならず済んだよ」
俺とカオルはまずは100m走に目をつけた。
カオルは一位となり俺はまぁ、ぼちぼちな滑り出しだ。
「カオルはこれと他のスポーツやれば優勝するんじゃないか?」
「うーん…でもわたし同じスポーツするのはちょっと苦手で。特に得意なスポーツとかはないし」
「あぁ、作業っぽいもんな。よし次に行こうか」
「うん!」
俺とカオルは次へ行く。
にしても校内にまで競技があるのか。やりすぎだろうとも考えたがみんなは楽しそうだ。
そうして俺達はできそうなジャンルをこなして成功したりしなかったりとだが点数を重ねていく。
「はぁ…」
とそこにいるのは霊峰三珠だった。
「霊峰どうしたため息なんて」
「ん?龍太にカオル。いやぁ」
「「??」」
俺達の疑問に霊峰は苦笑して「あれ、やってみてよ」
と指を指して言った。
トランポリンだ。
ルールは至って簡単で高く跳べると最高得点がもらえる。らしい。
「意外に列が多いねトランポリン…」
「でしょ?私は穴場かなぁって思ったんだけどね」
「ほう?」と俺。
順番が回ってきた。
「次119番」
「うっす」
俺はトランポリンを跳ぶ。
「119番、9ポイント」
周りから拍手が起こる。
「次、135番」
「はい!」
とカオルがトランポリンに乗り、そして跳ぼうとしたが俺は気付いた。
あ、これもしかして
「カオル!飛ぶな!跳べ!」
思わず叫んだ。
だが遅かった。カオルは飛んだ。
「ふぇ?わわわっ、と?」
カオルは着地する。
「135番、魔法使用により0ポイント」
「ええええ…」
トランポリンを終える。
「0ポイント…うう」
「なるほどな」
「うう…どういうこと?」
「この体育祭は本当の意味で魔法を使ったらダメなんだなってことだよ」
「でもわたし跳んだよ?」
「いやカオルは飛んだんだ」
「へ?」
「私も飛んだ、で0点」
霊峰はやれやれと言いながら笑う。
「つまり魔力の強い人達は無意識に魔法に頼ってるところがあるんだよ。トランポリンはジャンプだけど日本語で跳ぶ跳ねる。だけど飛ぶのは英語ではfly。人間は本来空を飛べない」
俺は地面に漢字で書いて説明した。
「あ、なるほど…。よくわからないけど、わたしは魔法使って飛んじゃったんだ」
「まぁ、そういうこと。多分異世界出身の人達は身体能力高くてもこういうのには苦労するだろうな」
「これが当たり前だったからね」
と霊峰が言う。
「そういえば霊峰、今ポイントは?」
「私?25。二人は?」
「俺は23」
「わたしは39だよ」
思ったよりやっているがカオルがこの中で一番高いな。
だが最高点数を取るには体力がまだまだなのかもなぁとも思う。
三珠と分かれ俺達は回る。
思ったよりきついのか木陰で座る生徒が多いな。
走幅跳びの種目を発見した。
「へぇ、あんなんもあるんだ」
「龍太くんはあれ得意?」
「いや普通だよ。あれ?リセリスじゃん」
「え。ほんとだ」
リセリスはふっと、走幅跳びを跳び終えてポイントをもらっていた。
俺達は近づく。
「あら龍太にカオルじゃない?走幅跳びやりにきたの?」
「いやリセリスがいたから声をかけにな」
「うんうん」
「あらありがと。珍しくパトとは一緒じゃないのねん」
「まだ見かけてなくてな」
「へぇ、私は今日はあの人と行動してるのよ?」
あの人?って。
「あの人って」
「ああ…」
文化祭、リセリスが気にしていた人物だ。
「…告白したのか?」
「ちょ…まだしてないわよ…!」
「まだ? 」
「と、とにかくやらないなら今日はあっちいってなさい」
「ああーわかったわかった
」
俺達はリセリスに押し出される。
「まさか一緒だなんてな」
「だね。告白したの?」
「まだらしい」
「ほぇー」
「ま、俺達はベストを尽くしてポイントを取りに行こう」
「だね」
ってことで俺達は体育館にやってきた。
ガコン!とバスケットボールがゴールに入る音が聞こえた。
「あ、志郎」
「お?龍太に桜ちゃん。話題のバスケットボールに来たのかな?」
「話題の?」
「そう。ここはチーム組んで3on3でバスケをする。フリースローは連続10回様々な角度から決めれば5ポイント。一本でも外れれば0ポイントさ」
「でも何が話題なの?」
「話題の小学生チーム。高校生に3on3で圧勝してさ。フリースローも近いしですぐにまた3on3でバスケットボールしているんだ彼女達」
「へぇ…って話題のって部分はお前が考えたな?んで バスケットボールの3on3は」
「たまには話題の定評者になりたいものさ。あ、勝てば7ポイント貰える負けたら1ポイントだよ。試合時間は10分ね」
思ったより長いな。
まぁポイント取り放題にしないためか。
「つまりここの体育館は今バスケットボールのガチの集いになってるってわけか」
「まぁうん」
「またおねがいします!」
と会話途中に女の子達が余語に言っていた。
「君たちは一旦休憩だ。ちょっとは休んで。水分はちゃんと取りなさい」
「…。わかりました」
意外にも聞き分けよく余語の言葉に頷き去っていく。
「ということなんだけどね」
「フリースローと3on3を回ってやってたってことかあの子達」
「まぁそういうこと」
ポイントいっぱい持ってそうだな。
「龍太達やらないかい?、あー、一人いないのか」
「ああ、だからフリースローだけ」
「わかったよー」
とはいえ、俺達に連続10本は無理だったので1ポイントである。
次にやってきたのは
「あ、パティちゃんいるよ」
「おー、ほんとだ。あれは卓球か?」
だが俺達が見たのはパトリシアがラバーラケットに炎が灯り、自分のコートに来た球を身長の低いパトリシアはそれを活かして腕を上から振り下ろし球は炎に包まれ相手の顔面目掛けて飛んでいく光景だった。
カツーン!と音を響かせ相手をノックダウン。
「2番、魔法使用により0ポイント」
「あああああ…またやっちゃったわ」
難しそうな顔をしたまま次へ行こうとするパトリシアにカオルと俺は呼び止めた。
「あら龍太にカオルじゃない?」
「卓球やってたんだね。さっきのすごかったけど惜しかったね~」とカオル。
「ああ…見てたのね」
「見てた見てた。ラケットが炎に包まれたところもしっかり」
「意外と簡単かと思ったけど私って思ったより普段から魔法使ってるのねと実感しているわ。つい魔法使っちゃう」
「まぁ…楽だしな」
「ところで二人は何しにきたの?」
「なにかないか見に来たんだ」
「へぇ~、あ、今ポイントどのくらいなの?」
「今40ちょうど」
「わたしは47。パティちゃんは?」
「34…」
思ったより魔法使って失点しているパトリシアである。
「とにかく!ここから挽回するわよ!」
と言ってパトリシアはずかずかと歩いていってしまった。
「いっちゃった」
「だな。じゃあ俺らも卓球やっていくか」
「やろー」
とまぁとりあえずポイントは入手できた。
卓球後に次へ行こうと思ったが
「お昼食べようよ!」
とカオルの声で俺達は学校の外に並ぶ屋台で食べることにする。
「学校の外が歩行者天国になってるとは」
「今日だけみたいだよ~」
「まぁそりゃそうか」
さて、なに食おうかな
「いらっしゃいませ~…」
と思ったら知った声が聞こえた。クレープの屋台だ。
その屋台車の中にいたのは姫野桃だった。
「あ…」
「あ?」と俺。
「い?」とカオル。
「う、じゃなくてだな…。先輩なにしてるんすか」
「え…?。バイトだけど…」
「おぉ…いや、わかりますけど今日は屋台にいたんですね」
「勝手でしょ…私が何しようが。体育祭は興味がないし参加しないから代わりに出店することにした」
俺はメニューを見てみた。
「キウイにバナナに、チョコに…いろんな種類ありますね」
「……クーポンあるからよかったら宣伝して。そのほうが儲かるし…」
「結局は儲けに繋がるのね…」
「こ……。…。……」
「どうしたんすか?」
「…。…。なんでもない…。決めた?」
「決めました。わたしこれにします」
カオルはもう決めたらしい。んじゃ俺もこの屋台にしよう。
「俺はじゃあこれに」
と俺達は姫野のお手製のクレープを食べることにした。
「あんなに美味いともうプロだよなぁ」
「だね~。次はどこにいく?」
「次か。あ、それならグラウンドに戻ってみようぜ」
グラウンドに戻るとプログラムの保護者や一般参加者が玉入れ合戦真っ最中だった。
「うわぁすげぇ」
グラウンドは人で埋まり盛り上がり様はすごいの一言だ。
「これが終わると次は綱引きか?」
「龍太にカオル」
不意に呼ばれると
「紗奈ちゃ~ん」
「やほ~カオル」
「紗奈も参加してたんだな」
「そりゃ参加するよ。でさ突然で悪いんだけど、三人一組のやつ出たいんだよね。協力してくんない?」
3対3、思い付くのはあそこしかない。
俺達がやってきたのは体育館だった
。
だがさっき来た時とは違って空気が張り詰めていた。
「何かおきてるみたいね」と紗奈。
中に入るとバスケで点数稼いでいた小学生の女の子と高校生であろう女子達が一触即発みたいな状況になっていた。
余語が割って入ってなんとかこの状況にしたらしい。
なんとかこの状況にしたらしいということはだ、ついさっき余語が止めるまでは何かあったということだ。
「あの三人知ってる?」
「どっちの三人?」
「いや、大きい方の三人」
「あたしは知らないかな?多分先輩でしょ?カオルちゃんは?」
「わたしも知らないかな。龍太くんも?」
「ああ、じゃあ先輩達か…。にしてもなんかギャルいな…」
最後の言葉は小さく呟いた。カーストランク女子みたいなそんな三人である。
とりあえずあのままじゃ運営に関わるだろうと考える。
「誰か委員の人を呼ぶか?」と思ったが紗奈がカオルを引っ張って余語達の方へ行ってしまい声をかけていた。ギャル女子にギロリと睨まれた紗奈は知らん顔だがカオルは「ひぃぃぃぃぃ」と内心を露にしていたのがわかった。ああもうと思い俺も行く。
「あぁ龍太も来たのかい?」
「他の委員の人呼びに行くかと考えたんだがその前にこの状況にの雰囲気に紗奈もあっちの先輩達も口より手がでそうだったし」
「そこは激しく同意するよ。あー…ルール上、この子達の方が勝利しているわけです。先輩諦めろとは言いませんが負けは負けです。潔くしてください。あとさっきのことをきちんと謝ってください」
と余語がペコリと一礼する。仕草から見るに余語もめんどそうだなこの仕事。小学生の女の子達を見やると一人の女の子と目があった。小さく会釈を返された。
「あたし達がなんで小学生に頭下げなきゃなんねぇのさ!!」
ああやだなぁこの状況。小学生の女の子達からしたら真面目にやってたのにいい迷惑だろうな。
「ね、余語。さっきのことって?」
「え?ああ神崎さん達が来る前にこの子達に手を上げようとしてて」
「してないわよ!」
その先輩達の言葉にスッと紗奈が反応し左手を後ろに隠しニヤリとしたのがわかった。
「へぇじゃあんたらも同じ目を味わっモゴモゴ。ちょっ龍太なにすんの」
「ばかおまえ油注ぐな…!」
「まだ何もしてないっての」
「しようとしたろ左手」
「気のせいよ」
「ったく。先輩達はなんでこんなことを?相手は子供達っすよ?」
「点数」
「点数?」
「バスケで勝てば点数いっぱいもらえるじゃん?うちらはこの子達に他のもやれよって言っただけ」
「と、言うが君たちは」
「私達はバスケでいくって決めたんです。順番もちゃんと守ってます」
「は?他のスポーツもあんじゃん」
「ああ、はいはいそこまで」
余語が止めに入る。
うーん。女の子の言い分はまぁ正しい気がする。問題は先輩達か。なんか勝ちまくって点数稼いでいることとを良しと思ってない気がする。ここのバスケは思ったより人気で人が多い。
さて、どうするか。
「おーおー、楽しいことしてるな」
と闖入者がやって来た。
音羽海斗だ。彼がやってきた瞬間、彼を知ってる人が畏怖を示すような素振りが周りに起きた。
「あー…音羽先輩、もしかして参加してます?体育祭」
「いや~したかったんだがダメだと怒られてなぁ~…。で、問題起こしたのは、って、なんだお前らか」
先輩の女の子達と音羽は知り合いらしい。
まぁ同学年っぽかったもんな。
「今さら生徒会二番手様が何か用ですか~?」
「んにゃ小さい子ども達って案外侮れんぜよって言いにな」
「なんか妙に実感こもってますね」
「まあな。でだお前ら三人と、そうだな。桜と神崎と…うーん。ほんとは巫凪にするかと考えたんだがこれは女の戦いらしく俺を呼んできたあいつに頼むとするぜ」
「あいつ??」
俺の言葉と同時に出てきたのはパトリシアだった。
つかつかと彼女はこっちへやってきた。
「パトリシア来たんだね」と余語。
「もしかしてパトリシアが先輩を呼んだのか?」
「まぁ放っておいても私には関係ないけどたまたま見かけてね。というか呼んでおいてなにするわけ?」
「3on3のバスケをするんだ。これでお前らが負けても文句言うなよ?そして謝れよ?」
「な、は?」
音羽は俺達の言葉と先輩女子の反論を一切取り合わず
「余語準備だ準備」
「あ、はい」
とまさかの試合をすることになった。
部外者はコート外に出される。当然俺も試合には出れないから出る。
「俺もでたかったな」
と呟く。さっき目があった女の子に聞こえたのかクスクスと笑う声が聞こえた。
コート上にカオルと紗奈とパトリシアが立つ。
立ち位置が完全にバトルする時のポジションなんだけど大丈夫かな?今回俺が立つ場所に紗奈が立っている。
先輩達は流されに流され位置に着いていた。
というか言質とか取るべきだったろうか。なんて考える。
「バスケちゃんとルールわかるっけ…?あ、体育でやってるか…」
そして試合が始まる。
10分というのはあっという間だった。
勝者はカオル、パトリシア、紗奈のチームだった。
先輩チームは「チクショーー!!」と叫びながら出ていってしまった。謝りの言葉は結局なかったが小学生ズからお礼を言われた。
「ま、わかるやつらではあるから大丈夫だとは思うぜ」と音羽の談である。
ちなみにパトリシアはドリブルはしないが投げるだけならプロも驚く超遠距離シュートをこなし、紗奈はわりとまともなバスケをしていた。カオルはとりあえずパスを回すという感じだったかな。
俺達は体育館を出る。
「さて、次はどこ行くかな」
「あ、わたしあそこがいい!」
とカオルは俺達を引っ張って来た場所は
「51番、魔法使用により0ポイント」
「えええええええ」
サッカーゴールにウォータードラゴンを蹴りこんだシャルルがいた。
「サッカーか。っか超次元サッカーをこの目で見たきがする」
シャルルは俺達に気付かず次へいってしまった。
「世話しないわね」
とパトリシア。
「あ、やば。ごめん三人とも!あたしそろそろ行かなくちゃ!」
「ああたしかプログラムの障害物競争の実況だったか?」
「そう~!そんじゃまたね」
と紗奈は走り去っていった。
「あ、忙しないと言えばリセリスどうしてんだろう」
「そういえば幅跳びから見てないね」
「リセリス?なんでよ?」
「あー実はな」
俺は話す。聞いたパトリシアは「へぇ~…」と言って
「おもしろそうじゃない探しましょうよ」
となった。
俺はやめてやれ~…なんて考えたがパトリシアとカオルが乗り気だったので着いていくことにした。
とは言え、学校は広い。
昼飯か、あるいはどこかの競技をしているのか。
「いないわね?」
「いないね~ってかパティちゃん」
「私はパトリシア。で、なに?」
「いやこう探してるけど競技とかはいいの?」
「まぁいいわよ?。一位なんてほしくないし別に誰が勝とうがいいでしょうし?魔法使って0点ばっかとか言われても気にしてないわ」
「」
「」
俺とカオルは一瞬真顔になった。
実は気にしてるよね?。
とは言わないでおいた。
「じゃあわたしと龍太くんが探すからパティちゃんなにかやってくる?」
「え?いい…いいわよ?別に?」
「あ、ほら?ハンドボールやってるよ」
「あ、ほんとね。人も少ないし、じゃあ仕方ないわね。頼んだわよ~」
とパトリシアは行ってしまった。
「さて」
「どこから探そうね」
「え?マジで探すの?」
「うん」
「マジか。ってもなぁ。あ、とりあえずもっかいグラウンド行くか」
「うん!」
と向かった。そこには
「「いたー!」」
と二人でハモる。リセリスとその隣にいる人が話していた。
二人はとりあえずいったん分かれるのか別々のところに行く。
「なんて言ってるんだ聞こえん」
「クラスの人に挨拶をしなきゃって聞こえたよ。あの男の人、追ってみよ?」
とカオルが言うので追いかける。
なんだか素行調査してる気分になった。
男は校内へと目指し入っていく。
「校内種目なにがあったかな」
俺の言葉に
「階段ダッシュとかお祭りにありそうな射的とかそういうの多かったよ」
「ほぉ」
カオルが答えてくれたので俺はちょっと驚きながら答えた。
あとをついていくとリセリスと一緒にいた男は女の子と話していた。
意外とかわいらしい女の子だ。
「あれがクラスの人?」
「た、多分」
え、これはどういうこと?。 暫く見てたい気もしたが
「あーあ…やっぱりそうだったのねぇ」
「「!?」」
後ろを振り返るとリセリスが俺達の真後ろにいた。
「リ、リセリスちゃん」
「…あの人、私といるより楽しそうな顔をしてるの」
あの二人のこと結構前から見てはいたんだけどねぇと
リセリスは言う。
表情と声は笑っているが悲しそうに見えた。
「やっぱり…ってことはわかってたのか?」
「私の能力があまり効かないなと思った時点で…ね。
私は夢魔種。能力は魅了。だけど弱点があってね。まず同姓には効かないわぁ。異性には、その異性には思う女性がいれば効果は薄いのよん。
だからぁ、もしかしたらとは思ってたわぁ…。でもそのもしかしたらはもしかしたらだったわ。こういうのは仕方ないわねえ」
「…」
俺とカオルは無言になってしまった。
「じゃあ私、戻るわねぇ」
「…え、いいのか?」
「いいわよもう。一人の女がフラれた。…元々フラれていたそういうことだっただけよ。じゃあねぇ」
リセリスは去ってしまった。
「龍太くん」
「うん?」
「パティちゃんになんて言おう。リセリスちゃんあれ気にしてるよね?」
「多分な。あいつ…ああいうの自信家だし」
俺たちは彼女に対して言葉をかけることができなかった。
多分だが俺達は何も言わないしパトリシアも何も聞かない。そんな気がした。
現在俺の点数は42。カオルは55だ。
あれからまたいろいろ挑戦したが二人揃ってバテてしまった。
なんやかんやで疲労で休んでいる。
「最初から飛ばしすぎたな…」
「だねー」
「カオルまだ行けるか?」
「無理…」
この体育祭…、自己体力も考えなきゃならなかったことを忘れていた。そのせいか午前中に休みながらやっていた生徒がちらほらと動きだしていたのだ。終わる頃には点数はほぼ俺達と大差はないだろうな。
「巫凪さんに桜さんじゃないですか」
「ん」「んお?」
「こんにちは。お疲れ様です」
「結城先輩、休憩…ですか?」
「はい。中々抜け出せないので。今だけこっそり。お二人はもう参戦しないんですか?」
「参戦したいけど疲れました先輩」とカオルの言葉を聞いて結城は小さく笑う。
「既に巫凪さんはお気付きなようですが今回の体育祭は戦略性と体力を重視しているようなものですからね」
「ソーサリーズバトルならなんとかなるが長期戦になるとまた考えなきゃならないっすからね」
「長期戦か~」
「はい。でしたら最後に定番の生徒種目、綱引きと玉入れご参加してください」
「まぁ」
「それなら~」
「ありがとうございます。ではまた」
結城は小走りは去っていく。
「玉入れと綱引きって最後辺り?」
「ん、あぁ最後辺りだな」
「場所って学校のグラウンド?」
「バトルのグラウンドだな」
「人いっぱい来そうだね」
「だな。んじゃいくかバトルグラウンド」
他のスポーツに目を向けながらグランドに向かう。
バトルグラウンドはソーサリーズバトルをするための専用場所だったりもする。
学校のグラウンドとバトルグラウンドはややこしいのでグラウンドとバトグラとで呼び方が分けられたりもしている。
「着いたな」
「だね。いつみても大きいよね」
「そうだな。どこか客席で座って休んでるか?」
「いいよ?ちょうどリレー中だしね」
「だな」
とまぁ俺達は身体を休め、まずは玉入れだ。
グラウンドに行くと、人だらけだった。
「うわぁお、人だらけだ。なんでだ?」
『これより玉入れを開始いたします。制限時間は10分。魔法による使用、妨害攻撃はなし。玉1つにつき点数が1が入ります。ルール違反者には点数が入りません』
だから人が多いのか。点数稼ぐチャンスってやつだな?。
運動会体育祭定番の玉入れだが異常なのはこの大集団である。
さぁいったいどんな幕開けになるか。
『それでは参加者は位置について始め』
………。
「え?今ので始まったの?」
あまりに抑揚のない合図に誰かがツッコミを入れた。
だが火蓋が切られた。
「と、とにかくスタートだ!」
わぁぁ!と叫びながらの気の抜けたスタートを切った。
俺は人にもみくちゃにされながら玉を投げる。
カオルも「ひぇぇぇ…!」と言いながらトライしている。
玉を拾おうにもすぐに誰かに拾われる。
これは…どうする?
考えている間に時間は過ぎ周りは玉を入れ点を稼いでいる。
ようやく玉を一個手にしたが…。
そもそも玉入れは紅白に別れて入れて多いほうが勝ちなはずだがここじゃ玉を入れた人だけにポイントがはいる。
情けない話だがこれは俺は活躍できそうにない展開だった。
だからといって手を抜くわけにもいかないのでとりあえず玉を投げ続けた。
しかし驚いた。
この大勢に柔軟に適応し、確実に点数をいれている奴がいた。
南の国時期魔女王候補、シャルルだ。
軽いフットワークで着実にカゴに入れていく。
人に当たりそうになるもまるで背後が見えているように避ける。
というか反射神経がやばいな。
ちょっと真似てみるか。
付け焼き刃だがないよりはマジだろう。
玉入れ終了後。
「ああぁ足が痛い」
そう言ったのは俺である。
俺の隣にはカオルがいて、その隣にはシャルル、パトリシア、リセリスがいた。
「できない動きをやろうとしたからよバカね」
「いーや、ちょっとならできたね!」
「そして足ひねっちゃうなんて…龍太くんってば」
「う、面目ない」
「やぁーでもボクと同じ動きをしてくるなんて驚いたよ!。追い付かれると思ったもん」
「おまけにちゃあんと終了までやりきっちゃうしねぇ~」
そう俺の点数は104でカオルは80。カオルを追い抜いていた。
だがまぁ玉入れトップは間違いなくシャルルだっただろう。
「龍太くん最後の綱引き参加できそう?」
「参加だけならな」
「最後は主人公あるまじき他力本願ね」
「パトリシアうるさいぞ」
言うと彼女はやれやれとジェスチャーする仕草をした。
とは言え、何気にこんな終わり方も悪くないとも考えていた。
「けどぉ、そろそろ移動よねぇ?歩けるの~?」
「なんとか歩けるよ」
足の痛みの引きの回復が早い。
「リンク対象が常にカオルだからね。相性もいいし、そりゃ多少早いでしょ」
俺の考えを読んだようにパトリシアが続けて「立てる?」と言った。
「あぁ」
「よかった。はい!」
とカオルを手を差し出した。
「しょうがないわね」
パトリシアも手を差し出した。
俺は「ありがとうぉ」と二人の手を取って立ち上がる。
最終プログラム、綱引き。
チームを組んで引っ張るのだろうかと考えたが違った。
首にでっかな鎖と縄が着いた大きな白いワイバーンが鎮座していた。
「ワ、ワイバーン?!」
声をあげたのはパトリシアである。
曰くワイバーンは異世界ではそこそこ有名な生き物らしい。
『ルールを説明します。ワイバーンを地上に降ろし旗にすれば綱引きは終了です。ポイントは縄に設定され引っ張った力の分ポイントに加算されます。尚ワイバーンが飛び立ち縄が完全に浮いたらワイバーンの勝利となります』
「つまりこのワイバーン誰かのペットなのかな?」
「いやカオル、ワイバーンをペットにって聞いたことないわよ…」
「ひぇ」
かなりの大人数が集まり縄を握る。縄も十分長い。
ここには怪力魔女がたくさんいるからな。なんとかなるだろう。
ワイバーンが飛び立てばスタートだ。
全員が構える。
ワイバーンはジロリと俺達を見て、不敵に笑ったように見えた。
その瞬間俺達は宙に浮きかけた。
「ヤッベェェェェェェ!!!」
全員が悲鳴をあげる。
「みんな引っ張れーー!!」
ワイバーンは既に空中にいた。
「ちょちょちょ!ワイバーンこんな力強かった?!」
パトリシアの叫びは皆の叫び声にかきけされる。
しかも風圧で飛ばさそうになるし。
ゆっくりと地面にワイバーンを近付けるが一羽ばたきするとすぐに地面から離される。
「ぜ、全然地面に落ちる気がしないんだけど」とシャルル。
俺もそう思います。
「手が痛くなるわぁ~」
リセリスの言うとおりだが俺は足がまた痛くなりそうだ。
ともあれ最前列はもう足が浮きそうになっていた。
みんなで力を合わせなきゃこいつは地面に降ろせない。
「みんなー!!せーので引っ張るぞー!!」
誰かがそう叫ぶがそれができてる人とそうじゃない人がいた。
「こいつは重いなあ」
「そうだねぇ…!大きなカブだよ~!!」
「「え?」」
「え?」
カオルの言葉に反応したのは俺とパトリシアだった。続く「え?」はカオルだ。
「え?ってパトリシア知ってるのか?」
「えぇまぁ…来たばかりの時にね」
「龍太、大きなカブってなんなのさ?」
シャルルの疑問に俺は大きなカブという童話を話す。
「なるほど……」
「けどもしかしたら」
「もしかしたらって龍太、あなたまさか」
パトリシアの言葉を無視し
「カオル!!ちょっと頼めるか?」
「任せて!」
「よし」
俺は足を軽く引きずりながら縄から離れる。
さすがにその行動は引っ張る人から見たら奇異に映ったことだろうな。が
「大きなカブだぁぁぁぁ!!!!!!!」
俺は叫ぶ。
そのアホな叫びは全員に聞こえたらしく、こっちを見た。
「いいか!!あのワイバーンは大きなカブだ!!うんとこしょ!どっこいしょ!って言いながら縄を引くぅけぇぇぇぇぇい!!」
半ばヤケクソ気味に叫ぶとみんなは「え、あ、おぅ…」みたいな返事が返ってきた。
半分アホを見る目だったが
「ちゃんと合図もするからなぁぁぁぁ!!!!おら!いくぞぉぉぉ!!せーのっ!!!」
全員
「うんとこしょーー!どっこいしょー!!」
「それでもカブわぁぁぁぁ!!??」
俺のこの言葉の元ネタを知っている人達はそれに反応した。
「抜けませぇぇぇぇぇぇん!!!!」
だが微かに笑い声が生まれた。
「というか龍太、あんな場所で音頭取ってたらポイント0よね?いいのかしらん」
「まぁいいんじゃないのかな?」
リセリスとシャルルのやり取りは俺には当然聞こえなかった。
「大きなカブ、私今大きなカブをやっているわ…!」
「パティちゃんパティちゃん落ち着こ?とりあえず落ち着こ」
「いくぞぉぉぉ!!せーのっ!!!」
全員
「うんとこしょぉぉぉ!どっこいしょぉ!!!」
「それでもカブわ!?」
全員
「抜けませぇぇぇぇん!!」
すると一人の女の子が手を挙げ「友達呼んできます!!」と言いグラウンドを後にし、数分後。連れてこられた友達も一緒に縄を引っぱる。
友達が友達を呼び知り合いが知り合いを呼ぶ。
ついに何度目かの音頭にワイバーンが地面に向かって初めて大きく動き、みんなは歓声を挙げる。
だがワイバーンは顎を開き、何かを溜め始めた。
「おいおいおいおいおい!なんか吐いてくるぞあいつ!」
誰かが叫ぶ。
「くっ!この空間、魔法が使えないわ!」
パトリシアが叫ぶとみんな「な、なんだってぇぇぃ!!!?」と全員オーバーリアクション気味に反応する。
お前ら演劇できるだろ…。
とかみんなでワイワイやってる間にワイバーンは吐く準備が出来たらしく、俺達に向かって破壊光線を吐いてきた。
全員「も、もうだめだぁぁぁ!!!」
そんな叫びをあげた瞬間、陰陽の形をした障壁が俺達の前に現れた。
「あれは!?」
バチン!と障壁と共に派手に吹き飛び地面にビタン!と転がる少女。
「三珠!」とパトリシア。
「あら。パトリシアじゃない。珍しい。ワイバーン退治?」
「え?えぇまぁ…。というか綱引きなんだけどね」
俺としては霊峰三珠は魔法を使えない空間で魔法を使いやがったことに底が知れんと感じていた。
「あのワイバーンをどうするの?」
全員「地面に降ろす!!!」
「そ、そう。わかったわ」
強力な援軍の登場に俺達は気合いを込める。
「よし!いくぞぉぉぉ!!
せーのっ!!!」
全員
「うんとこしょぉぉぉぉ!!!よっこいしょぉぉ!!」
「それでもカブわぁぁぁぁ!!!?」
全員
「抜けませぇぇぇぇん!!!」
ワイバーンは大きく地面に向かって動き歓声が挙がる。
この綱引き、もしかしたら全校生徒が参加してるんじゃないだろうか?そう思えるくらい人がいた。
「まだまだだ!!いくぞぉぉぉ!!せーのっ!!!」
「うんとこしょ!どっこいしょ!!」
「それでもカブは!!」
「抜けませぇぇぇぇぇぇぇん!!!!!!」
ワイバーンがさらに大きく地面に近付いた。
「あとちょっとだ!」
「後少し!」
「龍太くん!!!」
カオルの声に俺は頷く。
「よっしゃぁ!ラスト一発で決めるぞ!!!!せーのっ!!!」
「うんとこしょぉぉぉぉ!」
「どっこいしょぉぉぉ!!」
「それでもカブわぁぁぁぁぁぁ!!!?」
全員はこのラストに託し叫ぶ。
「抜けませぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!!!!!!」
ワイバーンはついに地面に降り立ち眩い光を放ち大きな旗となっていた。
一瞬の静寂後、俺達は大歓声を挙げたのだった。
綱引きのポイントで俺は縄に触れてすらなかったので0ポイントだ。カオルに点数はバッチリ抜かれていた。
三珠は魔法を使ってしまっていたので0ポイントだったらしい。
「タダ働きした気分だわ」と愚痴を溢していたが「仕事じゃないだけよかったじゃぁない?」とリセリスの言葉に「それもそうね」とあっさり機嫌を直した。
そして体育祭で優勝した人物は俺達の知らない人だったというオチ。
パトリシアは知っている。というか旧知なようだったが。
まぁ…こんな幕引きも悪くないかもしれないな。
『ただいまをもって森宮学校体育祭を閉幕します。お疲れ様でした』
アナウンスの声に拍手と歓声が挙がる。
『保護者の皆様は忘れ物のないようお気をつけてお帰りください。模擬店を出している皆様も片付けと撤収の準備をお願い致します。生徒の皆様は片付け、掃除、備品の手入れのご協力をお願い致します。
繰り返します。保護者の皆様は………』
「片付け始めるか」
「だね。行こ!」
「あぁ」
こうして俺達の体育祭は無事に終わった。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
体育祭編を書きました。
今回は結構な文字数となっています。
1回でまとめるってなかなか大変でしたがやりきれたと思っています。
魔法使いらしい体育祭ができたと思います。
10月と言えばハロウィンもありますがハロウィン編は既に投稿をしていますのでよかったら読みに来てください。
では今回はここまでです。
ここまで読んでくれてありがとうございました。




