番外編 余語とパトリシアの恐怖の鍵当番
こっちのほうでは久しぶりとなります。
最終回の時に後書きと活動報告で話した通り、番外編です。
夏ってことで森宮学校の鍵当番
通称森宮式、学校の怪談です。
今回は余語志郎とパトリシア・ユピテルです!
余語とパトリシア恐怖の鍵当番。
これは私達が高校一年の頃、そしてチームを組んだばかりの話よ。
「私と志郎が鍵当番?」
「ああ。と言ってもお前なら簡単だろう?」
「理事長。簡単に言わないでほしいわ。一人ではないんだし」
「そうだな。だが少しばかり前に巫凪と桜と言ったか。あの二人は見事に、こなしたそうだぞ。金次郎に追いかけられかけたと言ってたがな」
私はため息。
この学校は元々廃校だったと聞いていた。
理由は廃校になる前、この学校にはお化けが出るからだと噂があった。
しかし実際に出てしまったので学校は廃校となった。
取り壊しも行う予定だったがその度に事故や天災に見舞われ取り壊しは見送り。
だがどうしても取り壊しがしたい理由があった。
それは学校敷地と建物があまりに広くでかい規模を持っていたから。
無理矢理に取り壊しを行おうとした次の日に現場にいた人全員が行方不明となった。
事態が重大になり慎重に、この学校を調査すると学校の敷地内の奥地に荒れた祠が見つかったことで取り壊しは無しとなった。
今ではきちんと手入れされ祠も綺麗になっている。
が、怪談現象は今でも続いている。
当時、魔法使いは居場所がなかったそうだ。
力があるだけで差別され恐怖、侮蔑の対称だった。
また迫害、人身売買、拉致、誘拐なども起きた。
魔法使いはそれだけ金になった。
そんなある日、二つの世界が繋がった。
魔法の世界と地球が繋がった。
これによって状況は一変する。
異世界からやってくる数多の魔法使い達に日本は焦り手を打った。
魔法使いを守るために、育成するための機関が作られることになった。
手の打ち方が早かったことにはびっくりしたが地球の魔法使い達は自分の安全が保証されたことに安堵していた。
その選ばれた場所は、この森宮の街。
そして森宮の街内にあるこの学校。森宮学校。
小学部、中等部、高等部と存在し、大学院を森宮市内に建て魔法使いを支援する街となり現在落ち着きを見せている。
それを為した人物の一人が今私の目の前にいる。
彼女は廃校だった森宮学校に何をしたのかわからないが学校を買い取り理事長になった。
ちなみにここは理事長室。
ソファーベッドで優雅に横になり露出の多い格好で更に溢れんばかりの胸が私を挑発している。
「はぁ。…"お母様"仕事はしているの?」
「ん?ああしているさ」
そう、私の母である。
名前はアリシア・ユピテル。
夜を支配する永遠の魔法使いであり、魔法国北の国の魔女王だ。
いろいろな噂と話題を持つ母だがわかることがある。
私の母親は、超めんどくさがりだった。
「しているさ」とか言いつつ結局していない。
いつものことかと考える。
「それで鍵当番だったわね。どこの施錠を?」
「ここだ」
言われて私は頷いた。
___________
夜になり校門前
「あ、お~い」
呑気に手を振ってくる余語が見えた。
私は少し早足で着いた。
「待たせたわね」
「ううん。大丈夫だよ」
「そう。忘れ物はないわね?」
「うん」
「じゃあいきましょ。鍵はもうあるから直接向かうわよ」
「了解。場所はどこになるんだい?」
「放送室と第3家庭科室みたいよ」
「また変わった場所だなぁ」
「この学校変わったところしかないじゃない」
「うん?大きいからね」
いやそうじゃなくてねと考えたが飲み込んだ。
都市伝説はなめてかかると死ぬと聞いた。
無駄話はできない。
「ん?」
「どうしたのよ?」
「巫凪からメッセージだよ」
「あいつから??なんて?」
「今日どこ鍵するんだ?だって?」
「ふうん?。なんでそんなこと聞くのかしら?」
「さあ?とりあえず放送室と第3家庭科室って送ったよ」
「そう。入るわよ」
「了解って、もう返事来た」
「とりあえず鍵締めが終わったら見ましょうか」
「そうだね」
私と余語は校内に入っていく。
今のところは順調だ。
夜の学校は昼間とはまた別の顔をしていた。
うっすらと廊下を照らし灯りもない。
二人の足音だけが響く。
「ここ第3家庭科室だね」
「そうね」
私達は家庭科室に入る。
「施錠する場所は窓だったけ?」
「そうよ。それ以外は閉めてはいけないわよ」
「わかった」
余語が窓に手をかけた次の瞬間、逆方向から何かが光った。
「志郎!」
「え?うぐっ?!」
私は反射的に余語の頭を押さえつけてその光を受け止めた。
「え、なに?どうしたのさ何があったの?」
「見て」
「え?」
私の手には包丁が握られていた。
「包丁?!飛んできたの?!」
「そうみたいね」
私は周囲を見渡す。
シンとしている。
気配もない。
さしずめ家庭科室の殺人包丁かしら?。
私は包丁を凝視する。何の仕掛けもない包丁。
けど多分この包丁に刺されたらいや刃に当たるだけで死ぬだろう。
そういう怪談だ。
そう言われた気がした。
「士郎、そこの窓の鍵しめなさい。見ておくわ」
「わ、わかった」
余語は急いで鍵をしめた。
「次は」
「あそこだよ」
「あそこね」
入り口から一番遠い場所だ。
「さすがに志郎はこれは厳しいわよね?私に任せてもらっていいかしら?」
「あ、うん。わかったよ。無理しないようにね」
無理?別にしてないけど?。
適当に頷き私は歩く。
包丁は私を目掛けてどんどん飛んでくる。
気配がない。
誰もいない。
だけど包丁は飛んでくる。
私はそれを器用に受け止める。
「芸がないわねぇ~」
私はニヤリと笑う。
「すごい…」と余語の声が聞こえた。
ちょっと調子に乗りたくなったがやめた。
あと少しで到達ね。
バシャ!と足元に何かが広がった。
私は反射的に足元を見た。
赤い何かをバケツでこぼしたような感じだ。
さっきまでなかった。
つまり
「いいじゃない。私専用の赤絨毯かしら?」
あえて挑発してやった。
そして四方八方から包丁が飛んできた。
私の身体は紅蓮の炎に包まれる。
飛んできた包丁の刃は紅蓮の炎によって溶け消えた。
「私の勝ちかしら」
受け止めた包丁を全部持って、ケースに仕舞っていく。窓もちゃんと施錠する。
再び振り返り足元を見ると赤い何かはなかった。
包丁も、もう飛んで来なかった。
「じゃあ次は放送室だね」
向かう途中。余語は手放しに私を褒めていた。
ちょっと照れくさい。でも悪くなかった。
放送室に着き中に入る。
私は何かが入ってこないようにすぐに施錠する。
「夜の放送室ってこうなってるんだなぁ」
「私は放送室は初めて入ったわ。ここでお昼の放送してるのね」
「うん。パトリシアは綺麗な声だから放送したら人気でそうだね」
「ないわよ。そもそも興味はないから」
一瞬、何か違和感があった。
気のせいだ。
片付けをして出る。
「放送室閉めるわよ」
「いいよ」
ガチャンと放送室を施錠する。
何もなかったわねと考え――キーン…
「……」
「………」
「何、今の?」
「さ、さぁ?」
『フフフ』
「「ッ!?」」
校内スピーカーからなにかしら笑い声が聞こえた。
「女の声…?…?なんなのよ」
「…とりあえず出ればいいかな?」
私達の意見は一致、校門まで行けば大丈夫だと判断した。
ペタペタ。
「な、なんだろう?」
廊下から何か聞こえた気がした。
ペタペタペタペタペタペタペタペタと音はどんどん近付いてくる。
ペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタ。
その音の姿がついに姿を見せた。
頭の位置に足があり、胴体の部分に頭があり骨やら臓物が飛び出ていた。
目玉らしい何かが私と余語を写――――
「っ!!」
「ぐえっ!」
す前に私は余語の襟首を持ち片手で担ぎ風を切る勢いで走る。
「ちょ!パ…ぐるじい!」
「今は逃げるわ!!」
私は余語を担ぎながら走り階段を乗り越え一気に下まで飛び降りる。翼を一羽ばたきさせ着地し、着地した反動を利用し床を一気に蹴りあげる。
しかしそれでもペタペタペタペタとこっちを追いかけてきていた。
時速なんキロかってくらいの速さで走ってるはずなんだけどね。
「もう仕方ないわね」
魔法で炎を。魔術で水を生み出した。
パン!と合わして廊下は白い蒸気に包まれた。
「あ、パトリシア!校舎は中等部から出たほうが近いかも!」
「了解よ」
ペタペタ音はやっと聞こえなくなった。
と私は余語を降ろす。
「ごめん」
余語が突然そう言う。
「なにがよ?」
「あんまというか足引っ張ってるからさ俺」
「しょうがないわ。あなたは初心者だもの。これから勉強しなさい」
「了解です」
「でもこれは多分私のミス」
「え?どれが?」
「道よ。多分ちょっと遠回りしちゃった。逃げ道もう少し考えるべきだったわね」
「しょうがないよ。パトリシア、夜の学校初めてだったんだし」
「志郎はあるの?」
「まあここじゃないけど、あるかな」
「そう。ならお互い様ね」
「うん」
校舎出口が見えてきた。
私達は無事に鍵当番を終えた。
「そういえばあいつからなんか来てたでしょ?」
「え?ああなんだったんだろ?」
余語はメッセージを見ると
《一応知識だけ持っていってくれ。家庭科室は不意討ちの"飛ぶ包丁"に気を付けて。放送室は入ったら施錠せず掃除をする時に流す音楽を流しながら片付けをして学校童っていう怪談が四回ノックして来たら出て施錠をすれば安全に帰れるはず。まぁ参考までに》
「「………」」
私と余語は黙る。
「最初に、これ見ればよかったかしら」
「かもしれないね。お礼言っておこ」
「…そうね。しかし参考までにって言い方なんかちょっといいわね」
「確かにね。今日ありがとう。助かったよ」
このメッセージ…あえて今日私達が見た存在を書かない辺り私と余語に気遣いをしているのだろう。
お節介だ。
そしてこの男もだ。
メッセージを見るのは私が後にしようと言って見ることができなかった。
自分が命に関わる大変な目にあったというのに私のことを責めもせず「ありがとう」とお礼を言った。
優しい人だ。
私達は言葉少なに帰路についた。
この時、まだ二人は何でもない"私"と"僕"だった。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
恐怖の鍵当番いかがだったでしょうか。
いつものネタバレですが、今回出てきた怪談を紹介します。
家庭科室の包丁
無人の家庭科室で包丁が飛び回るというものです。
無人の放送室
放送室が無人にもかかわらず、突然、校内放送がある。
これらは学校怪談でありながら都市伝説の分類になります。
語られれば語られるほど知られれば知られていくほど都市伝説というのは強くなると言われています。
もしも万が一、万に一つ出会ってしまったら大変です。
彼らはルールに則り動いています。
今回の家庭科室などは、対象が見事に全て避けきると包丁を意地でも当てに来ます。
刺されば死にますが、当たっても死にます。
包丁を受け止めるのは正解ですが、その包丁には物理エネルギーがあり得ないくらい加わっているらしいので片手でリンゴをぐしゃりと握り潰すくらいの腕力がないと難しいかもしれないとかなんとか。
放送室ですが、無人の学校、はたまた夜の学校は、彼らお化けにとっての学校の時間であります。
昔の学校では掃除の時間には掃除だー!という感じの音楽が流されたそうです。
これが未だに根強く残っているところがあるそうで、音楽を流しながら掃除をする。ということは放送室はかなり安全な場所なのかもしれない。
そして放送はいつも高学年が行うことから「掃除が終わったよ!」と低学年の子供達が高学年のお兄ちゃんお姉ちゃんに知らせにくることもあり掃除の終わりを告げるのは子供の声というのが残っています。
鍵当番であった二人はそれを無視してしまったことで、なんか変な怪異に怒りを買うことになりますが、正直あれあら逃げきるのは不可能ですが、今回の登場したパトリシアと同等な力がある人物なら逃げきれるかもしれないですね。
本来は、
家庭科室は、というより包丁は夜に包丁を子供に見せると危ないから握らせないため、夜に包丁を使うと包丁が飛び回るぞと伝えたかったのかもしれませんね。
放送室は、きちんとちゃんと掃除をしないと、夜な夜なお化けが怒って悲しむということを伝えたかったのかもしれませんね。
それでは今回はここまでです!
ここでの次回はいつになるかわかりませんがまたいずれ話したいと思います。
ここまで読んでくれてありがとうございました!




