最終回 俺と私の交換日誌《アカシックレコード》
飛びたいの!誰よりもずっと!キミと一緒に!」
これは少年少女の巣立ちの物語。
その物語は交換日誌のように埋められていく。
今1つの翼へと。
わたしはここに綴る。
冬休みはすっかり明けていた。
空は快晴だ。
「雪すっかり溶けちゃったね龍太くん」
「うむ、積もるなら潔く」
「積もらないなら?」
「潔く降るなと言いたい」
「変なの~」
三学期の始業式は相変わらず誰が話してるかわからなかったが
「いい空だとは思うけどね」
「だな」
授業放課に俺達はいつも通り四人で喋る。
「みんな聞いてくれ」
「いきなりどうした志郎」
「俺は、いや俺達はあのキグルミンの謎を一年かけて調べ調査し正体を探った」
「ああまあうんそうなそれがな」
「だが!!」
「あ、あぁ…」
「生徒会になった今でさえキグルミンの正体は謎のままなのだ!」
「たしかにあの着ぐるみの中身は気になるわね」
「え、パトリシアまじで?」と俺。
いつのまにかパトリシアは余語に触発されていた。
「あのキグルミンと特訓した時はわたし簡単に投げられたなぁ」
「あいつめ!いったい何者なんだ」
「まぁ…ならまた調べてみるかキグルミンを」
「…」
「…」
「…」
「え?なに?どったの?」
俺の言葉に三人は固まっていた。
いやまさかまさかこのパターンは…。
思いながら振り向くといたよキグルミン目の前に怖いから!
「よ、よぉ。悪魔襲来事件お疲れ様だ…ったな」
ということを苦し紛れに言ったらキグルミンは何も言わず頷きもせず去っていった。
ちなみに今回は人気のハハッ!ていうキャラの着ぐるみだった。
「相変わらず不気味よねキグルミン。すごいけど」
パトリシアの言葉に俺達は頷く。
普通みんな気付くだろあんなでかいのいたら。
「生徒会で思い出したパピーちゃん」
「なに?そして私はパトリシア」
「ダークマターって結局どうしたの?」
「使ってはいけない禁術として記載されるわよ。でも膨大な魔力がいるからそもそ使える人が少ないから大丈夫よ」
「そっかよかった!」
同時にチャイムが鳴り響く。
みんなはわーわーと教室へ戻る。
しかし俺達は気付いていなかった。去ったと思ったキグルミンは俺達の真上の天井に張り付いて俺達をジーっと見ていたことに。
そしてキグルミンはゆっくりと頭を取った。
その姿を見たものはいない。
___
生徒会室には俺とカオルの二人。
「あー終わった…」
二人で資料の山を捌いてやっと終わった。
パトリシア達、異世界の出身者たちは1度自分達の世界へ帰っていった。余語も世界異動の許可が降りて彼女達と共に異世界に渡った。
世界異動には星座の形をした指輪を所持しなければ異動の門が許可をしない。余語は指輪を持っていたから異動できたようだ。
彼女達いわく、来年度ギリギリまではこっちには帰れないとのことらしい。
きっとめちゃくちゃ強くなって戻ってくるだろう。
紗奈は広報活動と来年度の入学生のために葉山と県外へ出た。こいつらも三月辺りまでは帰らないだろうな。
二年生の生徒会達四人は任務で異世界へ赴いている。
以前カオルを誘拐した連中は異世界、森宮学校、及び政府の内部の深くまで根を張っているらしくリセリスが行くと警戒されてしまうらしい。四人はその残党を狩る任務らしい。完膚なきまでにするとか言っていた。音羽と月島が。普通にこわいわ。
ちなみに音羽、月島、姫野、結城はなんとチームを組んだのだ。リーダーは音羽らしいが。チーム名は「明けの明星」
「なんで俺の回りにゃめんどくさい女ばかり集まるんかねぇ…」とか音羽は言っていた。
よくよく考えると音羽の回りは女の子が多い気がした。まぁあいつらも当分帰ってこない。むしろ
「先輩達も力つけて戻ってくるだろうなぁ…」
「うん」
「俺らも負けてられないな」
「だね!バトルいっぱいしないと!」
「マジか…でも対戦者いるのか?」
「いるよ~!見てよ!龍太くん、これ!」
「…なにその紙の山…めっちゃあるんだが…」
「てってれー!果たし状~!♪だってさ」
「……Wow」
なぜか英語で答えた俺。
あれから事件後、理由は様々だろう。魔法使いの間でソーサリーズバトルが流行りだし半覚醒者が増え始めた。
政府に申請が殺到し以前は事件直後で許可すらしてなく勝手に処理されていたが校長の一声で許可が降りた途端、溢れるようにバトル申請が殺到し押しきられ大変らしい。政府はソーサリーズバトル担当機関を置くことが決まったとかで学校の卒業生で担当を募集していた。
いわゆる就職者募集みたいな感じだ。
政府は魔法使い達と仲が良いわけではない。互いに良い距離を作るためにいろいろしているようだ。
魔法使いを敵に回すと大変ということかもな。
まあそれはさておきだ。
「ま、受けるか。俺らも強くならないとな」
「だね」
「よし、んじゃ帰るか」
「龍太くん」
「ん~?」
「よかったら」
「よかったら?」
カオルは空を見る。
「一緒に空、飛ばない?」
____
「見てみて!!海が見えるよ!山が見えるよ!街があんなに小さく見える!夕陽もあんなに地平線にそって沈むんだね~!」
「そりゃ地平線見えるくらい飛んでるからな~」
「いろいろあったね」
そのカオルの表情は真面目だった。
「…。いろいろあったな」
太陽が夕陽に輝いて俺は思った。
ほんとこの一年、いろいろありすぎたな。
入学式で初めて出会って初めて一緒に戦った。一緒にチームを組んで。初めてバトルして一緒に負けたな。
最後の一人を捕まえてチームを結成した。事件に巻き込まれたりしたな。アイドルのPRに巻き込まれて公式ソーサリーズバトルをした。引き分けだったが負けた。 いろんなやつと交流始めたと思えば異世界東の国が攻めてきてそれを解決して、星降る夜を一緒に見た。いろいろ一緒に出掛けたりしたな。
異世界のチームとの再戦前に思いを伝えあったりして覚悟決めたと思ったら事件が起こって、頭どうにかなりそうだったが無事になんとかなってよかった。あの時ほど嫌な思いした気持ちはないな。でも無事に助けれてよかった。
バトルにも出られて、ようやく勝った。
文化祭じゃミスで大変なことになって奔走したな。
楽しかったな。
ミスをどうにかできたと思えば審査員やらされたし。上手くいってよかった。
最後は学校内部の大事件だ。命狙われた時はビビったぜ。まぁみんな操られてただけだし、いいけどな。最後は解決できたし。
まぁ終わったと思えば生徒会就任と。
「ほんといろいろありすぎたな」
「うん、でもわたしは楽しかった」
「いろいろ振り替えって考えるとそうだな。楽しかったな」
辛い思い出も痛い思い出もあった。でも楽しい思い出と幸せな思い出のほうがいっぱいだ。
だから、楽しかった。
それはカオルも一緒だろう。
「龍太くん」
「カオル?」
突然カオルが切なく見えた。
「龍太くん…」
彼女はまた俺を呼んだ。
前にもあった気がする。
前にもこうして名前を呼ばれた。
「?」
「龍太くん」
カオルってこんな声だったかな?今まで聞いたことのない、なぜか初めて聞いた。そんな感じがした。
彼女は綺麗でかわいい。知っているのに知らなかった。そんな感じだ。
「こうして名前を呼ぶとね。なんだか気持ちがポカポカするの。どうしてだろうなって考えてたんだけど、それがわかりました」
「?」
「わたしね…。巫凪龍太くん、あなたのことが…大好き、です」
「………」
心臓が跳ねた。
多分カオルも同じように跳ねているかもしれない。
今までもしかしたらと思うことは何度もあった。でもうぬぼれかもとも考えた。
「カオル、ごめん」
「……」
俺の謝りの言葉にカオルは、くしゃりと表情を歪めた。
嬉しいけれど申し訳なさもあった。
なぜなら
「その言葉を先に言わせてしまって」
「…え?」
「俺も、俺も大好きだよカオル」
「…!」
カオルよりも先に大好きだということを言えなかったことを。
カオルがほろほろと泣き出す。
「嬉しい…」
カオルは言った。
「うん…俺も嬉しいよ」
それしか俺は言葉にできなかった。
カオルは何度も頷いた。
そしてなにを言えばいいのかわからなくなってしまう。その俺の表情に何を見たのかカオルは笑った。
「かっこわるい、かな…俺」
俺はそんなことを言ってしまう。ああ俺もカオルの涙につられそうだ。
カオルは首を横に振る。
こんな時、気の利いた言葉を言えたらカッコイイだろうに。
でも俺にはそんなこと言えないし出来ない。
恥ずかしいのと俺はそれを言葉にする勇気がなかった。
カオルは俺を呼ぶ。
「龍太くん。もう一度、聞きたいです。もう一度…言って?」
俺は頷き、言う。
この思いを、目の前にいる大好きな人に届けるために。
「カオル。好きだよ。大好きだ」
カオルは泣き出す。
ここが空の上だということも俺達はすっかり忘れて。
俺も涙が出る。
俺はカオルに近付き、ぎゅっとその身体を抱きしめた。
しばらくぎゅぅ~と抱き合ってようやく口を開く。
「えっと、よろしくカオル」
「こ、こちらこそ、ふつつかものですがよろしくお願いいたします龍太くん」
1月30日の夕暮れの地平線に広がる大空が俺たちを祝うようにキラキラと光った。
~~~
数日後、俺とカオルはある場所で向かい合っていた。
「わたし達、一緒に戦ってきたりいろんなことしてきたけど」
「ああ」
「戦ったことはなかったね」
「そうだなぁ」
俺とカオルが立つ場所はソーサリーズバトルを行うグラウンド会場だ。
「時期的に観客はいないけど」
「ちょうどいいだろ」
ニヤリと笑う。
カオルも笑う。
お互いに杖を構え、俺は光玉を纏い、カオルは風を纏う。
一対一の真剣勝負。
「手加減しないでね?加減なんかしたら後で怒るよ~?龍太くん」
「それは俺の台詞だぜ?加減無しで全力で来いカオル」
きっと誰もが1度は見たかった戦いなのではないだろうか?
そう考えると観客いた方がよかったんじゃないか?なんて考えた。
まあでもいいかな。
俺とカオルだけの世界って感じでいいしな。
そしてお互い同時に地を蹴り二人きりのソーサリーズバトルが始まった。
___________
これでわたしたちが一年生の時の物語はおしまい。
厳しい道のり。
楽しかった道のり。
これからどんな苦労や結果が待ち受けているかも、わたしたちにはわからない。
いつか大人になった時、話す時が来た時、辛かった思い出を話すことはしないだろう。
素敵な道のりがあったことを伝えたい。
楽しく生きてきたことを教えたい。
わたしたちが描いてきた「俺と私の交換日誌」のような時間はきっとこれからも続いていくから。
End
俺と私の交換日誌
こんばんはおはようございますこんにちは。
10章act10、正しくは最終回です。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
ただいまをもちまして2019年6月14日にて俺と私のアカシックレコード、略称オレワタは最終回を迎えることができました。
とても長く、あっという間な感じな気分です。
まず今回は少し喋ろうと思います。
この物語には実は起源が存在しています。
その起源は夢が元になっています。ドリームですよドリーミー。
自分が寝ている時に、異世界がこの地球と繋がっていたり、ある廃校が本当に都市伝説の巣窟になっていたりと。
日本が魔力という物質で満たされ一部の人達が魔力を宿し魔法を扱い。その魔力は架空の存在も生んでいたりと。
大まかに言えばそんな感じで。
足りない部分はイメージと想像で。
やっぱり夢なので所々覚えておりませんですはいすみません。
目が覚めた時に、これをベースにしよう!ということに至り、オレワタのコスプレをしたり(あ、写真はTwitterとやらに多分載ってる)CMとかもnanaとかでやりましたね。
自分とカオルがやっています。よかったら聴きに来てやってください。
まぁそんな感じでオレワタは作られました。
自分とカオルは省きますが夢の中で出会った他の人物が四人、物語に出てきています。
パトリシア・ユピテル。余語志郎。
神崎紗奈。葉山光代。この四人です。
番外や本編物語にもかなりの回数出てきた人物です。
こうして彼ら彼女達を物語に出せたことを嬉しく思います。そんな自分達と彼ら彼女達の絡みには人が必要だった結果、いろんな人達が出てきましたわ。しかもやたら一癖二癖のある魔法使いばかり(後悔はしてない。反省はちょっとある)。がライバルとか仲間とかと一緒に戦いながら強くなる人達いいよなぁと思った辺り反省もないと思われます。
と物語の試行錯誤をして、ようやく物語が終わりを迎えました。
ありがとうございますありがとうございます。
さて、喋りもここまでにしたいと思います。
では本題に入ります。
本来はこの部分で完結する予定でしたが、実はまだ番外編を書いてなかったりする人物が何人かというかそこそこいるのですよねぇ。
なので!この『俺と私の交換日誌』これからは番外編を書いていきたいと思います。不定期になったりするかもですが、着々書いていく予定です。
活動報告にも書いておいたほうが良さそう…ですね。書いておきます。
それでは、ここまでです。
いや…今回はここまでです
またお会いしましょう
ここまでまで読んでくれてありがとうございました。
またいずれ




