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10章番外編

こんにちはこんばんはおはようございます。

久々の夕方投稿となります。

今回は番外編となります。

10章の番外編となっております

俺達は光に包まれた。

包まれ降りた場所は、俺の部屋だった。

しかも

「あつ……い!」

時計と日付を見る。

日付は完全に過去に来たことを示していた。

夏前のあの日だ。

時刻は朝だ。

多分俺とカオルはちょうど登校中だろう。

「うう、あついよぉとけちゃうよぉあついよぉあついよぉあついよぉ」

カオルはもう暑さで負けそうだった。

「ほら、カオル、アイス食っていくぞ」

「え、いいの?」

「いいよ俺の部屋だし」

「いや、だってここ過去でしょ?ばれない?」

「ひとつふたつくらいならわからんよ。そもそもあの日まで誰も部屋にはあげてないしな」

俺達はそうして外に出る。

東国の襲撃時間は今日の昼だったはず。

その間に俺達は異界の扉を探さなくてはならない。

「あ、ちょっち、お前らそんなとこでなにしてんだ?」

「え?」

「うりゅ?」

それは音羽だった。

やばい!いきなり会ってしまった。

早速ヤバい予感がした。

「もうチャイムがなるぞ?サボりはよくねぇな。人のこと言えんけど。ってか服装も冬服だし、ほんと生徒か?」

俺とカオルは頷くも言葉に詰まる。

何も言えない俺達に

「…何か焦ってるな?」

「え?」と俺。

「時間がねぇ、ってそんな顔だ」

音羽からは口調と変わって真剣さがあった。多分だが。

その真剣さに信じてみようかと思った。

「音羽先輩、異界の門はどこにありますか?」とカオル。

「お前らに…名乗った覚えないがな」

が、名前を言ったのはやばかったらしい。さらに疑惑の目を向けられた。

このままじゃ、失敗する。

切り抜けなくては。

考えた。考えに考え抜いた結果、それは押し通る。だった。

「先輩、今は…黙って答えてください」

「あ?」

「異界の門はどこにありますか?」

俺の言葉に音羽は俺をまっすぐ睨んできた。

やがて大きく息を吐いた。

「……ここからずっと向こう。森があんだろ?立ち入り禁止の札がある。それを越えていけ」


「「ッ!ありがとうございます」」

俺とカオルは揃って礼をした。

「あー俺からもいいか?一つだけだ。お前ら…俺と会ったことあったか?」


俺とカオルは顔を見合わせる。

音羽からはさっきまでの警戒さはもうない。

全部は言えないが一つだけ俺達にも言えることがあった。

「未来で会いました」

俺はそう答えた。

その答えは音羽が納得いくものだったのか

「気をつけていけよ」

ただ一言、そう言って音羽は学校のほうに向かっていった。

俺とカオルはそのまま駆け足で向かう。

森に入り、立ち入り禁止区域を抜けた。

そこに空間から、目映い赤紫の光があった。

この先からは異世界か。

「待ってた」

「「っ!!?」」

レインがいたのだ。

「レイン?だよな?どうしてここに?」

「私の力は時間移動、移動した時間の記憶も保持できる。だから…二人がここにくる。ずっといたここに。…待っていた」

言葉の意味はわからない。だが

「見送りにか?」

「それもある。でも違う。…二人にはもう一度、ここから時間移動をしてもらう」

「理由は?」

「霊峰詞葉が死んだという情報が完全に溢れたのは今日。…でも実際に死んだのは二年前……。あの日、説明しなかったのは時間の経過が経ちすぎたのが理由。事件が起きたのは二年前でそれを二年間は抑えることができていた。でも今日になって抑えがはずれる」

「でも行くよ。わたしたちここまで来ちゃったし」

「そっか。うん」

レインは小さく笑った。 初めて見た笑顔だった。

「二年前に飛んだら地図が置いてある。それを持って異界へとんで東へ向かって。…なんとかして彼女達が住むところまで向かって」

キラキラと瞳が輝き俺達は再び飛ばされる。

目をあけると、もうそこには俺とカオルしかいなかった。足元には地図と携帯食料が置いてあった。

拾い、前を見る。

赤紫の鮮やかな光が射し込んでいた。


「……いこう」

「うん」

俺とカオルは歩き出す。


異世界へ。


でだ。


「ああああああああああああ!!」

「ひあああああああああ!!」


潜り抜けた先、俺達は悲鳴をあげていた。


出たら空だった。

雲を突き抜け落ちていく。

そして見た。

ここはもう地球じゃないということに。

太陽の輝きと空の景色が、まるで違うのだ。

俺は一瞬で感動した。

(すっげぇぇぇ!これが異世界か!)


「っていうか、飛べばいいじゃん。カオルー!!とべー!」

「ふぇぇぇぇぇぇぇ!…ふぇ?」

カオルもようやく飛ぶ。

とりあえず俺達は作戦会議を始めた。

二人だけの作戦会議だ。

「東の国を目指そう」

「うん、ちゃんとローブもあるよ!」

「それはレインに感謝だな。ここじゃきっと制服目立つだろうしな」


そもそも、東の国って名前あるんだろうか?

俺達は風を切り近くまで行く。

道中カオルは空を見上げて呟いた。

「地球のほうが元気な気がするなぁ…」

「なんだって?」

「ううん。地球とここは全然空気が違うなって思ったの」

違いか…光景は違うのはわかる。だが空気はわからない。きっとカオルにしかわからないことがあるんだろう。


近くの森まで降りると人が行ったりきたりしていた。

老若男女、見慣れた着物を着た人がいたり、ちょっと未来的な着物を着た人もいる。商人みたいな人もいる。

なんかSF和風な格好ぽくてかっこいい。

そしてかわいい。

「なんか里みたい」

俺達は人の波に乗るように歩き出す。

道中、様々な声が聞こえてきた。

「最近あいすくりんってのが導入されてさぁ…。南で人気でねぇ。あいすくりん始めてみるかって思ったんだよ」

「ええ?巫女様達許してくれるのかい?」

「あすこの大将は温情だと聞いたし大丈夫さ」

俺とカオルは商人達の話を聞いていた。

ふうれい?。巫女様達?。

ってかあいすくりんってアイスクリームのことでは?。ちなみに言葉は俺達の首には翻訳のネックレスが付いているから分かる。

門が見えた。

「ねぇ、龍太くん」

「ん?」

「二人きりの作戦の始まり、だね」

やたらと嬉しそうにカオルは言った。

今俺達は大変な状況なのにカオルこんなときも楽しそうであった。

俺は「そうだな。いっちょやりますか」と笑って返した。

~~


門のところで女の子が見渡しチェックしていた。

あまり見ない和装だ。

「これは」

「身体検査みたいなやつだな」

女の子はわざわざ荷台も確認していた。

和装のスカートが揺れるので俺は俺で気になった。

「龍太くん?」

「いや和装のスカートって珍しいなって思ったんだ」

「え?まぁうん?いや身体検査?どうするのって話をしたかったんだけどね。わたしもあれは気になるけど」

とりあえず見えそうだと指摘すべきか、と考える。

「はい、次~」

と出番がくるころには

まぁ流れに任せよとなった。検査に関してはいきなりしょっぴかれることはないだろう。

「あ、フード?とってもらえる?」

言われ俺達はしぶしぶフードを取る。

「……」

女の子は無言だ。

「魔法使い?」と口を開いた。

「あぁ、うん」と俺。

「なにをしにきたの?」

「観光みたいな?」とカオル。

「そうなんだ!」

カオルと女の子は軽いやりとりをし、俺達は門を通れた。

が俺は耐えきれず

「あと、やっぱり見えそうだから気をつけて…」

言ってしまった。

「は?」

「スカート、中」

「な!?や!?」

女の子はスカートをバッ!と押さえた。

いや、見えてはないからね?。背後から何か聞こえたが俺とカオルはそそくさと人波に紛れた。


「さて、霊峰の家はどこか」

「龍太くんあれみて」

「あれ?」

見ると人の姿ではあるが人間とは思えない感じの何かが歩いたりしている。

「亜人とか妖怪っていうのかもな」

その子供達が楽しそうになって一緒に遊んでいる。

「こうみるとこれから事件が起きるなんて思えないな…」

「うん、普通に旅行しにきたみたい」

京都や奈良を思い浮かぶ街並みに見えるが和風な建築をさらに濃くさせた感じな場所だ。

水と森と和風が混ざったような街並みだ。

「とにかく幻想的だ」

俺の感想だった。

「お腹すいたよ龍太くん」

「え?」

ちなみにお金だがレインからある程度この世界の通貨を貰っている。

この世界では銅貨、銀貨、金貨、王金貨、聖金貨という感じで価値があるらしく。紙幣は存在しないようだ。

「あそこで食うか」

「うん?うん!」

入った店は、まさかの丼物やさんだ。

看板だけみたら普通においしそうだった。

しかしこういう飲食店はここの国からしたらちょっとオシャレな感じらしく銀貨3枚以上の値段がほとんどだった。

ただ肉類がかなり高額だった。

「わたし達の世界だと丼って安いかな?」

「ん?まぁ一般チェーンを考えると安いかもな」

カオルが値段、値段…と呟きながら聞いてきた。

千円札で丼が買える世界と。銀貨3枚以上で買える世界。

地球は物が多い証拠だと改めてわかった。

出された丼を見て俺達は固まった。女中の人は礼だけして去っていく。

俺達は野菜の丼を食べる。

俺はまあまあだなと思った。

俺はカオルの顔を見た。

ちらりとカオルも俺を見てきた。

あ、わかった。美味しくないの顔だ。

店を出てカオルが言う。

「少ないのかな食料」

襲撃事件が起きる前のあの日、この国の事情をパトリシアから聞いていた。

『東の国はここ何年か、引きこもってて物資の貿易はしてないし他国の商人や客人を招いても帰さない。私達も使いを出したけど帰ってこなかったわ。まるで鎖国ね」

と言っていた。

霊峰詞葉はまだ死んでいないのにだ。

「どうなってんだこの国」

~~

街で得られた手掛かりは


1身体検査がある。

2謎の物資不足。

3パトリシアの話がたしかなら俺達は恐らくこの国からは出れない。


俺達は偉い人の家を訊ねる必要があった。

あったのだが

「それをしたら多分わたし達、捕まっちゃう」

とカオルは言った。

「ならどうすればいいのか」

考えた。…理論的に考えたらだめかな?なんて考え始めた俺だ。

つまり八方塞がりだ。

不意にカオルは空に手をかざしていた。

大気が動く。風がなびく。キラキラと木の葉が舞い、水がキラキラと跳ねる。

とても不思議な光景だった。それは周囲の視線を浴びた。

その光景はそのくらい不思議だった。

世界がカオルと会話をしているようにも見えた。

いや、これはまずいんじゃ…と考えた。

ぐっと手を下ろしてカオルは言う。

「御神木見に行こ!」

とカオルは子供のように言った。

そのはしゃぎっぷりに視線はすぐになんだ偶然かとみんなは思ったらしい。

だがカオルは何かわかったらしい。

俺達は迷わず御神木のある場所に着いた。

「神社?ここに何があるんだ」

「この神社の向こうにすごく大きな屋敷があるんだって」

「え?なんで?マジで?なんでわかったんだ?」

俺の疑問にカオルはちょっと困ったような顔をして

「ルール違反になっちゃうから言えない…で納得してくれる…?」

「わかった」

俺はあっさり頷く。

カオルは一瞬驚いた顔をした。けどすぐに嬉しそうになって

「ありがとう」と言った。

俺はカオルをなでなでした。

カオルは嬉しそうにした。

「そこの夫婦」

俺はカオルをなでなでした。

「そこの夫婦ってば」

俺はカオルをなでなでした。

「聞けそこの夫婦!!」

俺はカオルをなでなでした。カオルは嬉しそうにする。

「いやお前達のことだ!なでなでするな!見せつけるでない!妾の話を聞け!!!いや聞いて!!!??」


俺とカオルは飛びずさった。

「あああ、いたのか人」

「びっくりした」

俺達の言葉に

「びっくりしたのは妾だ!。神聖な場で何をするかと思えば、あんなことを始めるのは予想もできんわ」

「いやまさか人がいるとは思わなかったんだ」

俺の言葉に

「お主…外からきたか。参拝か?」

と聞いた。

「いや、なんで?」

と返すと

「妾は巫女じゃ!敬いをしない!敬語もない!むしろ小馬鹿にされている気分がする時点でそう思うだろう!」

「ああ、巫女か。そういえば巫女達って聞いたんだけど何人もいるのか?」

「だから敬語をしろ!敬え!と言っている!。巫女は妾の他にも22人おる!妾は王位継承者19位なのだ!位は下のほうだがお主らよりよっぽど偉い!」

「22人いるのか。なるほど。ってことはお前はあそこから出て来たのか」

「人の話を聞かんか!無礼者!妾はたしかにあそこから出てきた!というかなぜ他国の者が知っとる!?」

「あいすくりんってアイスクリームだよね?」

「お主ら!あいすくりんはアイスクリームだ!って違う!そうだが、ああ妾の質問にも答えぬか!」


憤慨しながらも質問に答えてくれている。

口が軽いのか、いい奴なのかわからないな。

でも多分だがいい奴なのかもしれない。

「なぜって、うーん」

カオルは迷った。ちらりと俺を見た。

俺はひとつ思い付いた。

「そこの木から聞いたんだよ」

「な、なぬ?お主、木と話せるのか?」

「伝わるって感じかな」とカオル。

少なくともルールを違反するとまではいかないくらいの曖昧な感じの言葉だろう

「………魔法使いなのだな?」

俺達は頷く。

「なにようで、きた?」

「これから起きることを霊峰詞葉に伝えたい。その娘さんには内密な話だ」

「内容次第と言ったところだ……来るがよい」

俺達は社の中を通される。

「なぁ、いくつか気になることがある」

「なんだ」

「街の物資不足と観光客や商人や使いを帰さない理由はなんなんだ?」

「…どこまで調べておるのだ?」

「物資不足は予想。街の丼屋を食べて思っただけだよ」カオルが言った。

「そうか」

「あ、お名前は?」

「…小馬鹿にするな女よ。御影と呼ぶがいい。お主たちは…いや」

「「?」」

「なんでもないぞ」

社を抜けたらまたそこは大きく広い場所だった。

「すげぇ」

「他の巫女は表にでておるがな。もうすぐ一人帰ってくる」

御影は襖を開けた。

「あ」

「あ」

「あ」

目が合った。

しかも

「もう帰ってきておったか」

「あ、ああ?!あなたたちは!!」

「あ、さっきの門の女!?」と俺

「なんだ?知り合いか魔法使い?」

「す、スカートの中見たやつ!!!」

「こんにちは~おじゃまします」とカオルはちゃんと挨拶した。

「賑やかになりそうだな」と御影は言った。


ここからどうなることやらだな。


「それで、なんでこんなことになってんだよ」

「…」

「…」

俺の疑問に二人は答えない。

ちなみに御影ともう一人。最初に出会った巫女は、王位継承者三位、霊峰弥生と名乗った。改めてよく見たら弥生は左右の目の色が青と黄色のオッドアイだった。

「そっちこそなにしに来たの」

「わたしたちは詞葉さんを助けに来たの。三珠ちゃんには内緒で」

「我ら天下人をこうも親しげに名を呼ぶなんて無礼な人達。でも呼び方が経験を語っている時点で嘘ではないことは理解するわ」

「ありがとう」

「まだ礼を言うのは早いな。どうやって助ける?何から助ける?」

「迫っている危機からだ」

俺の言葉に二人は押し黙る。

何か隠している感じだ。

「お前達は…死なす気なのかあいつの家族を」

「そ、そんなことない」

「じゃあ何を隠しているんだよ」

「話してもいいんじゃないの?その人達、敵の間者じゃなさそうだし」

「「え??」」と俺とカオル。

突然襖の奥から声が聞こえてきた。

そして襖が開かれる。

墨を塗ったような漆の真っ黒な長い黒髪に光を跳ね返すような金色の瞳と傷ひとつない肌。身長はカオルよりは低い整った女の子だった。

ただ威圧感と威厳が今まで出会ったやつよりも凄まじかった。

御影が頭を垂れた。

弥生も仕方ないように頭を下げた。

俺達を一瞥し二人を見る。

「御影は仕方ないけど弥生は似たような立場だし頭下げなくても」

「で、も、黒百合さま」

「いいって。王位なんてお飾りみたいなものだし。君もそう思わない?」

突然俺に話を振られ俺は考える。

「ま、まぁだけど立場は立場だからな…。だけどうーん」

好きにしたらいいと思うと思った。

という俺の思考をよそに黒百合は小さく笑った。

「やっぱりちょっとは思うよね。改めて初めまして魔法使いの二人。あたしは王位継承者2位、霊峰黒百合」

と、名乗った。

黒百合…その名前の意味は呪い。

いったいどういうやつなんだろう。

「それよりさ。二人に話してあげようよアレ」

「え、しかし黒百合さま。この二人は恐らく他国の者」

「御影は固いよねあたしが小さい時からさ。弥生話してよ~」

「え、と、う、うん」

「…」

黒百合は弥生の反応にちょっとむすっとした。なんか年相応な顔だった。

何せ服装も和装な二人と違って黒百合は洋風の俺らが着るような現代衣服だ。

弥生は口を開く。

「実は数年前、ある一通の文が届いたのよ」

弥生は文を俺に渡した。

俺とカオルは読む。

「…龍太くん読めないよぉ~」

「まったく…笑。仕方ないなぁ~」

「夫婦漫才はよいからさっさと読めぃ」

御影に急かされた。

漫才してるわけじゃないんだが…

~~


金色の儀より、東国の魔女の王、霊峰詞葉の首と身体を供物として捧げよ。

捧げなくば国は穢れの洗礼を神から受けるだろう


~~

「ってことはなんだ。黒百合…これ差出人は?」

黒百合はなんでか嬉しそうな表情になって答えた。

「ん、わからない。でも数年前からあったの。そしたらまた文が来たの」

「黒百合ちゃんそれ見れる?」

カオルの言葉に黒百合がまた嬉しそうにした。なんで?

「えっとね。あれ?」

「妾が取ってくる」

「ありがと~」

と、数分でそれを取ってきた御影は文を広げた。

~~


客、商人、他国の者を入れ、金色の儀、終演まで帰るべからず


~~

「あの原因がこれか」

「金色の儀って何?」


「この国のお祭りなのよ。夏の豊作と我らが王に感謝する。結構私達の間でも楽しみのひとつなのよ」


弥生はこういうの好きそうだな。

「黒百合、質問」

「はい、なんでしょう!」

「この文についてはわかった。だがさっきから王位継承者って言ってるよな。商人達は巫女と言っていた。そして22人いると」

「うん?」

「巫女のみんなは知ってるんだよな?」

「当然だよ」

「今ごろあちこちで祭りの準備と門のところで世話しなくなっているぞ。だから今はここには人がおらなんだ」

御影がそう答えた。俺は口を開く。

「そうか。それでお前達は霊峰詞葉をどうする気だ…?」


「反対意見もあったかな。でも大半以上が賛成意見だったんだよね。災いとかそういうのは案外バカにできないってのがこの国だしね」

「でも黒百合ちゃん。わたし達、助けにきたんだよ。そんなこと起こさせないように」

「それでその話になったんだね。そっかぁ…」

黒百合は考えるような表情をした。

「黒百合さまは賛成意見だったはずでは?」

「御影よく覚えてるね。なんで?」

「いえ、わざわざ悩むのが意外だと思い」

「そっか。ん、二人って他国から来たの?服装からしてあまり見ないけど」

俺とカオルは顔を見合わした。

「いや、外から来た」

「え?青から来てるの?」

「…。あぁ…」

その言葉に三人を息を飲んだ。

地球の魔法使いがこの世界になにかを成しにきたということだから。

「このままだと魔女王は死ぬ」

「…それで?」

「死んでも二年間はなんとか押さえ付けれるけど、押さえが外れてこの国は暴動が起き俺達の世界に戦いを仕掛けにくる」

「え、ええ?え、なに?あなた達は二年先の未来から来たの?」と弥生。

「しかし事実だとしても、それではどのみち暴動が起きるではないか」

「まあうん。あ、…そういうことか」

ふと、俺は思ったことがあった。

「あえて死んだことにするのか」

俺の言葉にみんなは

「は?」という顔になる。

「霊峰詞葉を死んだように誤魔化して本物の身柄を俺達が預かるんだ」

「つまり二年間はあたし達がどうにか凌げって言いたいわけ?暴動が起きるように操作して首謀者をそれまで騙しきる」

「ああ。手伝ってほしい」

いきなりの策略にみんなは黙る。

「私は乗ってもいい、かな」

「弥生よ。よいのか?」

「うん」

「ああー!あたしものるよ!二年間三珠をだましくらかせばいいんでしょ?」

「正確には民と妾達以外の者全員ですがな」

「おもしろいじゃない。なんとかなるでしょ」

俺は内心で息をついた。

なんとか内通者はできた、と。

これで魔女王の救助はしやすくなる。

王位候補の二位と三位が味方なのだ。十九位もいるから状況は把握しやすいだろう。

あとは金色の儀がいつなのかだ。できれば明日や明後日とかなら動きやすいんだがと考えていると弥生が口を開く。

「金色の儀は今日だから準備しないとね」

「え?!」と俺。

「なに?」

「いや…。いやまじか」

「だって確実に今日やばいのなんか起きるでしょ。未来から魔法使い。金色の儀式。この文だって今日を差している。だったら準備しないと」

「内密に、他の巫女には知られぬように動かねばな」

「手紙に関しては知られてるからあたしはそのことだけみんなに確認しておけばいいかな?」

「まぁそうだな」

「龍太くん、善は急げだよ」

「あー…わかったよ。考えるよ」


こうして俺達は行動することになった。


時間まで屋敷を散策していいと言われたので散策することにした。

祭りの準備で人がいないから安心して散策できる。

「あ、ねぇ。あの子ちょっと借りていい?」

黒百合の言葉に俺は「え」となる。

「ダメかな?」

多分カオルのことを言っているのだろう。

「ああまぁ大丈夫そうならな。何かするのか?」

「うん。そういえば名前は?」

「俺か?俺は…」

一瞬躊躇った。ここは過去。名乗っていいのかわからなかった。

その躊躇いも黒百合に伝わったのか。

「やっぱり今はいいや」

と言われた。黒百合はそのままカオルを誘って屋敷の奥に行ってしまった。

「どうするかなマジで…」

祭りの内容は聞いた。

金色の儀。

大まかに言えばお盆みたいなものらしい。

死者が還ってくるというのだ。

だが金色というのは魂というものも表現しているらしく大通りの大きな川に灯篭を流すのだそうだ。

豊作の感謝と死者と生者、先人の巫女達への祈りとして霊峰の1番巫女は舞を躍る。

そして死者を再び死へ還すために灯篭を流してしめやかに終わり最後にひときわ大きな灯篭を流す。

この大きな灯篭に供え物を入れるらしい。

大きな灯篭は、たしかに人が入るほどでかかった。

この中に

「入れて流すのか」

俺は街を歩いてみることにした。

~~~


街にでてみると舞台やら矢倉やらでて賑わいがあった。

「巫女舞は誰がやるんだろう」

思わず呟くと、

「そりゃ三珠様だぜ兄ちゃん」

となんか担いだ商人が話し出した。

「あそこ見えんだろ?真ん中の」

「ああはい」

「あの真ん中で巫女が舞を躍るのさ」

「へぇ…綺麗だろうな」

「そりゃもう!」

「今その巫女はどこにいるんでしょう」

俺は個人的に三珠のいる場所を聞きたかっただけなのだが商人は普通に教えてくれた。

「ああ、あっちの社さ。あそこで準備中さ」

「詳しいんすね。おじさんも外から来てるんですよね」

「まあな…。この祭りのために必ず来てるのさ。

おれたちゃただの人間は、巫女の力で生きていけるんだ。今でさえ4国は和平を結んでいるが…かつてはどこも争っちゃばかりだ。

だがここだけは違う。

ここだけは違ったんだよ。民のために巫女は血を流しただの人間を守るためにその時の当代の巫女が命を絶つこともあったのさ。他の国は弱肉強食ってたか?そんなだったさ。だからおれたちは感謝として来ているのさ」

商人の話を聞いて思ったことがあった。

ただの人間のために命を絶つこともあった、と。

金色の儀、手紙の内容は霊峰詞葉の命を捧げよと。

さもなくば災いをもたらすと。

多分だが詞葉という人物は命を絶つだろう。国のために人のために。

現に三珠の母は死んだと三珠から聞いている。

理由は立派だ。国のために死んだならそれは最高だ。

でも現代を生きる俺には嫌な話でもあって、どんなすばらしい理由でも、そんな人を死なせるわけにはいかない。


「…おじさん貴重な話ありがとうございます」

「お?おお良いってことよ」


俺は歩き出した。

絶対に助けださなきゃ。


~~

と気持ちを新たにしたのはいいが

「どうしようマジで」

なにも思い付かない。

俺は霊峰が所有する山へ来ていた。

ぽつんと小さな社もあった。

「…なんか社が多いな」

呟く。が何か動いた気がした。

「はぇ?…」

鳥かなと思ったが違う。

だが獣だ。小さな犬っぽかった。かなり小さい、雀くらいのサイズか?

「仔犬…っぽいなにか、か?」

特徴だけ言うと

犬っぽい。狐にも見えるが。色は銀色。瞳はルビーみたいに硝子のような赤。ちらりと尖った牙も見えた。小さな尻尾が四本あり額には赤紫の石…。

額に石…。どこかで…?。

その仔犬は俺を見た。数秒見て社を見た。

それを繰り返してきた。

あーお参りしろってか…?。

仕方ないな。

っても何を願うかな。

(今日、金色の儀だ。霊峰詞葉が危険な状況にある。どうにかしたい)

とりあえずそれしか今思うことがない。

目を開けるとさっきまでいた仔犬はもういなかった。

「ああ、こんなことしてる場合じゃない!」

俺は駆け足で戻る。

もう夕陽になっており俺は影法師が伸びる。


俺はこの時気付かなかった。

俺の影を追うように小さな影が俺の影へと入っていたことに。


~~~


「いやなんで巫女服になってんだよ」

「いやぁ、なんか特訓してたら着させられて?。…変?」

「かわいい。すげえいい。抱きしめた」

「あぅ、あ、ありがと…え、抱きしめたい…?」

「はいはい。で、そこの夫婦漫才、作戦は?」

弥生が聞いてくる。

「ああまあ考えたのは、俺もカオルもあの大きな灯篭に入る」

「「「は?」」」

「え?」とカオル。

「灯篭じゃと?」

「灯篭っても、あの大きな灯篭は人も入れるくらいの大きさだ。ギリギリなタイミングで俺とカオルが霊峰詞葉を助けてそのまま国を出るよ」


俺の言葉にみんなは黙り黒百合が口を開く。

「…灯篭を流す川の行き着く先は大きな滝だよ。滝の下は上から押し寄せる水が強くて昇れないわ。死ぬかもよ?それでも…?」

「…なんとかするよ」

「ならわたしも大丈夫」

言うと三人は顔を見合わせ黒百合は「わかったよ」と言った。

「あなた達二人は、詞葉を助ける。あたし達は二年間どうにかもたせる。その二年間詞葉をお願いね」

「ああ」

「私からも」

「妾からも頼んだぞ」

「うん、任せてくれ」


失敗ができない。

行き当たりばったりだ。だからこそ誰も予想ができない。

「じゃお別れ会しとこっか」

黒百合の言葉に俺とカオルは黒百合、弥生、御影と一緒に数時間だが一緒に過ごしたのだ。プチお別れ会をした。

~~~


「カオル見えるか?」

「見えるよ。舞もここなら隙間から見えるし」

しかしこの作戦上手く行くかなぁ。

「ねえねえ、たしか滝に落ちるまで話しかけちゃいけないんだったけ?」

「ああ、うん。確実に死ぬってところまで引っ張る必要があるんだ」

「でもそれまで暇だよね~」

「暇なのか…。なにもしないという意味では暇だが」

ちなみにカオルは巫女服から制服に戻っています。

「祭り、見たかったか?」

「ちょっとね。でもわたし達遊びで来てないからね」

外では祭り囃子の音とそこで楽しむ人達の声が響き聞こえてきた。

「夏だな」

「うん。でも風があるから」

「夏ではあるが過ごしやすい夏だな」

「うん」

そんな会話をしながら俺達は待つ。

やがて舞が始まり出す。

俺達の緊張感は高まる。

舞は見えなかったが無事に終えて灯籠を川に流し出す。

歓声と拍手が聞こえる。

ギシギシと突然音がした。

誰か来る?。

俺達は息を潜めた。

「さぁここに入りたまえ」

(え?)

「本当に私が死ねば、この儀式で私が死ねば、この国には何もしないのね?」

巫女装束を着た女性が言う

恐らくこの人が霊峰詞葉だろう。見た目は十代にしか見えないな。

だが何よりそれを答えた人物に驚いた。

「あぁもちろんだとも。僕は契約は守るからね」

(ファルシだぁ?!)

カオルも固まっている。

唖然という感じだ。

「わかりました」

「ではおとなしくここにいたまえ」

ファルシは詞葉に拘束の呪具をつけ天井につるし出ていった。

今すぐにでも出て助けたいが我慢しなきゃならない。

正直よくあいつに気づかれなかったなと思った。

ちょっとの音で気づかれると思った。

それぐらいあいつはやばいと知っている。

詞葉は何も言わない。というかこれ俺達に気づいていないんじゃ?。

実際こんな場所でカオルとモゾモゾしてたら気づくだろうに。

運がいい。お参りが効いてるのかな?。

「なに笑ってるの?」

小さくカオルに聞かれる。

俺は笑ってたらしい。

「助けれるチャンスがあるって考えるといいなって。あとラスボスはあいつだってわかったからな」

そう小声で返すと

「そっか、そうだね。ファルシ先生がラスボスなんだね」と言った。

そしていよいよ俺達が乗り込んだ灯籠船が流れ出した。

再び緊張感が走る。

「三途の川をわたってる」

なんてカオルが言うもんだから

「…渡ったことがあるのか?」

「ないよ」

無くていいけど例えが物騒だな。

俺達は詞葉が死ぬ手前で助けなきゃならない。

「あの呪具、一撃で破壊できるか?」

「できるよ」

即答。よかった。

「破壊は任せる。俺は脱出と多分船にも鍵かかってるだろうから俺はそれを壊す。詞葉が状況を掴めてなくても構わず三人ですぐに脱出するぞ」

「わかった」

そして船は滝に差し掛かる。死へと繋がる滝だ。


さぁ、俺達の行き当たりばったり作戦の始まりだ。


滝に落ちる。

「ま、まだ?」

「まだ」

カオルが焦りかけるも俺は止める。

滝に落ち、無重力になる。

「「っぅぅぅぅぅ!!!」」

俺はカオルを抱え重力でなんとか体勢を取る。

「ま、まだなの?!」

「まだ!」

この滝の下はどこに繋がってるのかわからないが本当にギリギリじゃなくちゃならない。

落下速度は滝に打たれてみるみる速くなる。

「も、もう無理だよ龍太くん!」

「まだ!まだだ!」

そしてそのタイミングは…

「今だ!!!」

俺は叫ぶ。瞬間カオルは一撃で拘束呪具を壊す。

「え?え!!」

詞葉が驚いている。

俺達の存在にやはり気付いてなかった。がそんな説明をしている余裕はない。

俺は扉を一撃でぶち破る。

俺はカオルの手を掴みカオルは詞葉の手を握っている。そして外に飛び出す。


「カオル!!!」

「いくよ!!!」

カオルは杖を構えた。

だが次に叫んだのは詞葉だった。

「だ、ダメです!この滝の下は魔法が!使えないんです…!」

「なに?!」

俺は絶句した。

でもカオルは意に返さず風を巻き起こした。

顔面を叩くほどのとんでもない勢いの暴風が巻き起こる。

俺達の身体はカオルの起こした風で飛ぶ。すさまじい速さで。

ちらりと足元を見る。

水だ。が、そこで見たのは異形な人の姿の形をした怪物達の大集団だった。

滝の下にこんな。こいつらはいったい。

わかるのはこいつらに捕まったら死だということ。

怪物は俺達が落ちてこないことに疑問を抱いているようだった。


だがカオルは気にする様子もなく瞳を空と海の色に輝かせて風を巻き起こし俺達を安全なところまで飛び続けた。

死のスレスレをだ。

「ほんとすごいなカオルは」

俺はそう呟いた。

詞葉は完全に言葉を失っている。

東の国からだいぶ離れただろうか。

最初は水だったがだんだん谷底になってきていた。

「カオル地上に!」

カオルは頷き上に飛ぶ。


地上に上がると森だった。


「ここまで来れば大丈夫だろう。カオルありがとうすごかったよマジ」

「うん、ありが…とう」

パタリとカオルは倒れた。

「カオル!」

俺はカオルを抱える。

「無理をしたからね」

詞葉がそう呟き「それで」と続ける。

「どういうことか説明してもらえる?」

「ああ、わかりました」

説明を終えると詞葉は「未来から…そう」と言った。

「事情はわかったわ。ならまだ誰にも見つかってないのね。ここからはどうす」

ふらりと詞葉は突然倒れた。

「え?詞葉さん?」

俺は辺りを見渡した。

しかし俺達以外は誰もいない。

が、ゴッという音が頭にした。

しまった銃口か…!。

いったい誰だ。

「見つけたよ」

この声、黒百合!?。

なんっ、いやどうやってここに。

「何でここに」

「あの滝から逃げるならここに来るかなって思ってたんだよね」

「どうしてここが?」

「それはね?」

「…」

「教えてあげないよ」

カオルも詞葉も倒れている。かなりまずい。

「元々生け贄には賛成だったからね。だったら途中でやっぱりやろうって考えてもおかしい話じゃないでしょ。侵入者と霊峰詞葉もここで死ぬ。一石二鳥。いや三鳥だね」

俺は魔法を使おうとしたが

「こら、動かない!」

止められた。

万事休すだ。

「じゃね」

そして発砲音が響いた。

静寂

「…。………。…」


「………」


「……?え?」


「ふふっ」

「はい?」

「どう?驚いた?」

「は?は?え?ななに?殺しに来たんじゃないん?」

「違うよ。見送りに来たんだよ」


………?は?は?はぁ~!?


「……はぁ~」

俺はその場でヘタりこんだ。

「ちょっ…大丈夫?」

「いや大丈夫?って、まぁ大丈夫じゃないからな…?というか見送りに来たなら詞葉さん気絶させなくても」

「ここから二年もあるんだよー?本人の口から洩れたら大変でしょ!山賊に会ったけどなんとか二人抱えて逃げ切ったとか言って誤魔化してよ」

メチャクチャだった。

まぁ妥当か。けど山賊に倒される魔女王ってなんだかなぁ。まぁ大丈夫か。

「はぁ~…」

「ご…ごめんね」

本気で申し訳なさそうにされた。

「いやまぁ大丈夫だよ。にしても誰かに見られたりしなかったよな?」

「してないよ?してたらいないし」

「だよな」

「むしろ三人が…ああ詞葉は違うか。二人が見つからなかったのがあたしとしては驚きだよ。かくれんぼ得意?」

「いやかくれんぼ最近どころか今どきやらないからな」

「ふぅんー。あ」

と黒百合の言葉と同時に俺とカオルが光だした。

同時に詞葉の身体も光だす。

「そろそろか」

「ん、みたいだね。ほんとに未来から来てたんだね」

「あぁ」

カオルはムニャムニャと寝息になっていた。

身体の魔力が回復しつつあるのかもしれない。すぐに起きるだろう。

「この子のおかげなんだね」

「あぁすごいぞ」

「そっかそっか。自慢の彼女さん?それともお嫁さん?」

「え??!いや、まだ…だ」

「なんだ、そうなの?じゃあ頑張ってね」

「あ、あぁ、ありがとう」

「うん。あ、そういえば二年後から来たんだよね」

「うん?うん」

「今何歳?」

「16だよ」

「そうなんだ!じゃあ二年後は同い年になるね!」

「は?」

「うん」

「黒百合は14歳なのか今」

「そうだよ」

…14歳で霊峰の二位?。

二年後には俺達と同い年になる。

「…とんでもないな」

「褒めてる?」

「いや全然」

黒百合は笑う。

ひとしきり笑って俺を見た。

俺達の身体が薄くなっていく。

そして完全に俺達の姿が消えるその瞬間、黒百合は俺とカオルを見て笑って


「七つの海を越えて二年後に、二人に会いに行くね。龍太。カオル」


「え?」


!?。どうして俺達の名前を?

その疑問は言葉にならなかった。

だけど俺達が消える直前、

「教えてあげないよ♪」

そんな声が聞こえた気がした。

きっとまた…多分どこかで、出会うだろう。

この状況を乗り越えて全てを打開したあとに。

その疑問はその時に聞けばいいか。

一瞬、スッと自分の中から何かが抜けるような感覚があったような気がしたが時間移動するときはこんなものかと思った。


~~~


俺は目を開ける。

…暑い。

「うう、暑い」

カオルが起きた。

「ここは?地球?」

「ああ」

「最後、黒百合ちゃんの声が聞こえたよ」

「そっか」

「でも会えるのはきっと来年度かもね」

「あぁ、かもな。

にしても今夏ってことは…」

「お、来たな」

そこにいたのは音羽とレインだった。

「先輩とレイン」

「どうして二人が?」

「いや、俺も半信半疑でな。けどさっきのことといいな。この状況が証拠だ。お前さんが担いでる女、霊峰詞葉なんだろ?。たしか死んだって聞いた」

「生きてますよここに」

俺は言う。

音羽は頷いた。そして「あ…」とぎこちなくレインをみる。

「なぁレイン、まさかだが」

「そう、カイトが然るべき時まで面倒みる絶対にそれまでバレないように」

「さいで…事情説明もか?」

「それは私がする」

「そか。じゃ」

「詞葉さんをお願いします音羽先輩」

「おぅよ」

気を失った詞葉を音羽は片方の肩に乗せる。


つまり音羽とレインはこの時の俺達と出会う前に未来から来た俺とカオルに先に出会っていたんだな。

「俺達は?」

レインはすぐに答えた。

「…二人にはすぐに帰ってもらう」

「あ、やっぱりか」

「ああ、もしお前さん達とこの時のお前さん達が出会ったら大変だしな。今さっき東の国の襲撃が終わって事後処理の最中だ。見つかる前に帰す」と音羽。

「わかりました。レイン頼む」

レインは頷き瞳が輝く。

俺とカオルは無意識に互いの手を握る。

「未来を頼んだぜ後輩」

「よろしく二人共。こっちは任せて」

俺達は頷く。

再び目を開けると


「今度は…さ、さむい!!」

「う、ん寒いよぉ。は、早くもどろ!レインちゃんきっと部屋で待ってる」


俺達は帰ってきていた。

二人で駆け出す。

正直疲れている。なんせ体感二日振りだ。

そして部屋のドアをあけ

「ただいま!」

「戻ってこれたよぉ!」


と二人で叫んだ。


10章番外編end


ここまで読んでくれてありがとうございます。


いつものネタバレですが今回は番外編でした。


巫凪とカオルが過去の異世界へ行くという話です。

概要は二人は過去の異世界、東の国へ赴き二年前に亡くなった霊峰三珠の母、霊峰詞葉を助けるという物語になります。

東の国の世界は和風の国であり22人の巫女達とその頂点にいる魔女王に寄って栄えている場所です。

22人の巫女達は王位継承者と呼ばれており次期魔女王の派遣を取り合っています。

かといって巫女同士仲間意識は強く仲は良いので取り合うといっても本気で取り合っているのかは書いた本人も謎です。


番外編での新たな登場人物は現在本編では出す予定はありませんが今回登場した主要人物達を紹介します。

これまでに出てきた人物は割愛するのでご了承を。

所属名前種族と書いていきます。



異世界東の国魔女王

霊峰詞葉

人間

東の国の頂点に君臨する魔女王。

責任感が強く自らを犠牲にするほど国を思う人物であり娘である三珠を贔屓にしている。見た目は三珠と似ているが三珠は長い黒髪を下ろしているのに対し詞葉は片方結いのサイドロングテールとなっている。

巫凪とカオルの尽力により生還を果たす。


王位継承者第二位

霊峰黒百合

人間

王位継承者第二位に君臨する最年少巫女。

他の王位継承者の年齢は三桁を越えているのに対し黒百合は14歳という年齢で二位の地位についている。

「呪い」という名前を持つことからは黒百合の名は伏名である可能性がある。性格は自由気ままで勘と空気を読める。服装も他の巫女達と違い巫女衣装ではなく地球から取り寄せたらしい今どきの服装を好んで着ている。

金色の瞳と漆のような長い黒髪を持ち、見た目だけなら三珠と詞葉よりも良いという自信が密かにあるらしい。

同世代の友人がいないからか様呼びや敬語を使われることがあまり好きではないことが書かれている。


王位継承者第三位

霊峰弥生

人間

王位継承者第三位に君臨している。

しっかり者のような感じをしているが若干いじられ気質がある。目が滅茶苦茶良く検問係を良くやっている。

茶色セミロングヘアに左右の瞳が青と黄色のオッドアイの持ち主。背は巫凪より少し高い。


王位継承者第十九位

霊峰御影

人間

王位継承者第十九位に君臨している。

22人の中でもっとも背が低く、一人称が妾と言うくらい長生きな人物。幼い頃の黒百合の遊び相手でもある。外部の人間の質問には必ず答えてしまう口の軽さがあるが極秘だけは絶対に洩らさない。

黒瞳にツインテールの黒髪を持つ。


こんな感じでしょうか

22人書いていきたいところではありますが登場した人物のみということにしました。

では今回はここまでにします。

次回は本編になります

ここまで読んでくれてありがとうございました

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