10章act2
こんばんはおはようございますこんにちは
10章act2になります。
もうすぐ平成終わってしまいますな
俺は戻ってきてしまった。
あのあとだ。
「どうしたの?」
「あ、いえ、なんでもないです。会長こそ」
「たまたま通りかかっただけだよ」
「そうなんですか。あ、いきますので。また」
「うん」
とまぁ俺は戻ってきた。
「……見ちゃいけないものを見たんじゃなかろうか俺」
「なにがです~?」
といつのまにか隣にリッリルがいた。
「ッ…!り、リッリル…?」
「こんにちは先輩、…大丈夫です?顔青いですけど」
「あーうん。…大丈夫。そういえば魔法の世界って、どんなところなんだ?」
「え?うーん、私は北から来たんですけど、魔法や魔術が独自に発達した国みたいな感じでして、冬になるととても綺麗なんです!」
「へぇありがとう。いつか行ってみたいな」
「はい。是非いらしてください。あ、そうだ私チーム組むことになるかもなんでバトルすることになったらお手柔らかにお願いします!」
「ああこちらこそ」
「はい!あ、移動授業だった!先輩、失礼しますね!」
と言って走り去っていった。
初めて魔法の国の話を聞いた気がするな。
いつかは行くのだろうか。
しかしバトルか。ちょっと気になることができた。バトルするグラウンドって普段誰か使ってるのかな?
放課後になり、俺は三人にバトルグラウンドに行ってみないか?と提案した。
「珍しいわね。どういう風の吹きまわし?」とパトリシア。
「さっきな」
とまぁ思ったことを言うと、
「そういえば時々先輩達が使ってるね」と余語。
「あ、わたしも見たよ。三年生だったかな?」
「なるほどね。いいわ。行ってみましょう」
と俺達はグラウンドへ足を運ぶ。
着くと音羽が車椅子を引いており大きなポシェットを大事そうに下げている銀髪のショートヘアの女の子が座っていた。
俺達は驚いてしまった。
「おん?、おぉ、おまえら珍しいな」
俺達は挨拶をする。
「グラウンドって普段どうなってるのか気になりまして」
「ほうほう。んじゃ見学ついでレイン、お前も行くぞ」
「うん」
車椅子の女の子はレインと言うらしい。
俺達の気になる視線にレインは首を回して俺達を見た。瞳は機械かってくらい白かった。
「レインは身体があまり強くなくてな。まぁ見てのとおり足が無いからな」
俺達が驚いたのはそこである。
彼女には足がなかった。
右足は足首から下が無く、左足は膝小僧から少し下がなかった。
「身寄りもねぇし家族もいない。ほっとくと危ないからこうして時々世話してんのさ」
「しょっちゅう」とレイン。
「あー、しょっちゅうか、そかそか。んでも素質があるから一応この学校の生徒さ。一応仮で呼んじまってるがレインの力は」
「カイト」
「あーはいはいっと。いやぁつい喋っちまうぜ」
すごい気になるんだが。
「着いたわよ」
話してる間に到着した。
「「「おお!」」」
俺、カオル、余語は歓声を上げる。
「龍太くん!わたし達、客席に立つの初めてかも!」
「いや、一回だけ立ってる」
「うん?」
どうやらカオルは忘れてるらしい。
「珍しいこともあるものね。客席に一回しか立ってないなんて」
「お、試合やってるぞ。今日はあいつらかな」
と、練習していたのは生徒会5番明石瑠璃と生徒会3番の姫野桃だった。
二人の戦いは踊っているかのようにすごかった。どんな場所でも戦えるような力加減と無駄のない動き。
「実力差ありそう」
とレインは俺達を見て言った。がこれにはパトリシアが反論した。
「ハッ。言ってくれるじゃない?私は遅れを取ったりしないわよ私は!」
せめて私達と言ってほしかったなパトリシアよ。
だが個人戦じゃ多分そうかもしれないと考える。
「志郎、カオル、龍太今から特訓よビシビシいくから。ほらいくわよ!」
パトリシアは右腕と左腕で
俺と余語を担ぎ上げ、尻尾でカオルを巻き取り、連れていく。
「きぃつけろよ~って行っちまったか。そういやレイン、お前なんか見えたか?」
「見えた。でも今のままだと」
「今のままだと?」
「あの中の二人は死ぬ」
~~~~
学校の森付近に行き特訓したはいいが俺達はやはりあまり満足できなかった。
あの地力を見たら、俺達はまだまだだと思い知ったのだ。
(グラウンドいくんじゃなかったかな?)
なんて考えた。パトリシアも俺達の表情を見て、何を察したかあまり声をかけてこなかった。
「あれ?余語さん達じゃないですか?」
「え?」と余語
「おー?」とカオル
「結城先輩?」と俺。
「はい。こんにちは。お疲れ様です。特訓ですか?」
「見てわかるでしょ」とパトリシア。
「ですね。ごめんなさい」
「いや、いいわよ別に」
「でしたらよかったらちょっとお付き合いしましょうか?」
「「「「?!」」」」
俺達四人はびっくりだ。
「じゃ、じゃあお願いしようかしら」
と俺達は結城から特訓を受けることになった。
「あ、でもちょっと待ってくださいね」
と結城はどこかに電話を掛け始めた。
いったいどこに?
「あ、はい。私です私。いやですねぇ私ですよ私です私私!私ですって。今から来てください。はい、私のところです」
なんか詐欺みたいな会話だな…と思ったのは秘密である。
数十分して来たのはなんとアウロラとキグルミンとテティスだった。
「「「「えええええええ!!!!」」」」
と木々が揺れた。
「せっかくだからね。キグルミンは見かけたから声をかけたんだよ」
「何か戦闘で悩んでるって感じだったから来てみたの。手伝うわ」
「……!」とキグルミンは手をバタバタするだけである。
大丈夫かよ。
とまあ思いながら特訓を開始して30分。
「ほらそれだと魔法と物理の兼ね合いが難しいよ」
「わかってまーす!!!」
俺はテティスのすばやい身のこなしに翻弄される。
余語はまたさらに力を付けたらしいアウロラの白の絶対防御の魔法で攻撃すら通らなかった。
「はぇ~~っ!?」
カオルはウサギのキグルミ被ったキグルミンに投げられていた。
「巫凪くんは魔法が少し不安定さが目立つね。なんというか、そうだね。もっとこの世界を中に入れるといいよ」
「理屈が精神論なんっすね」
「アハハ。余語くんはもっと金属を鋭くしたほうがいいね。銃は楽だけど、せっかくアウロラさんと同じ防御があるんだから」
「う、はい」
「カオルさんは単調すぎるかな?魔法の筋はいいけどあれではいい的になってしまうよ」
「ううう」
「さぁ、まだまだ続けましょう!」とアウロラが言って再開する。
パトリシアは遠くから座って見ていた。
「パトリシアさんは大丈夫そうですね」と結城。
「まぁそうね。みんなには強くなってほしいしね。今は龍太が少し心配ね」
「魔法ですか?」
「そう。やっぱ不安定?」
「と思いますよ」
「あのままでもいいけど未覚醒だし」
「海斗さんみたいな例もありますけど」
「あの魔法は元々覚醒する要素がないでしょ」
「まぁそうですね。だから巫凪くん次第かと。少なくとも三人とも筋はいいですから」
「そうね。というかキグルミン。あんなに強かったのね。魔法すら使わずにカオルを圧倒しちゃうのね」
「キグルミンさんすごいですね」
だが一時間後、パトリシア達は驚愕を露にすることになった。
「おりゃああ!!」
俺の拳は重力を纏いながら、テティスに当てていた。
カオルはキグルミンの動きを真似て自分の魔法でさらに細かい動きを可能としていた。キグルミンも速いのだがテティスは生徒会でも速さや鋭さに定評があるらしい。その動きに二人は着いていっている。
それだけ二人の動きがさらに速く鋭く尖り始めていることになる。
「はぁぁぁぁっ!!!」
カオルの技もついにキグルミンを捉えた。
「……」
「……」
「やっぱり龍太達はすごいよ」
と余語がそれを楽しそうに眺めていた。
「驚いたわ」
「驚きました」
「僕も驚いたよ」
「…!」とキグルミンは足を地反田していた。悔しいらしい。
「俺達、まだ伸びるんだな」
「そりゃ伸びなきゃ修行じゃないからね」
「志郎の言う通りだな」
だが俺は覚醒魔法はおろか半覚醒魔法でもないのだ。
未だに万有引力という通常魔法のままだ。
技術が上がっても性能が弱くては勝てないのだ。
例えば余語の魔法と俺の魔法がぶつかっても俺の魔法は貫かれてしまう可能性のが高い。余語もアウロラと同じで防御に特化させたら俺の攻撃は真正面からでは一切効かないだろう。
覚醒魔法と通常魔法では威力や効果が違うのは明らかなのだ。
「覚醒か」
「そういえば龍太くんまだ覚醒してないもんね」
俺の声が聞こえたのかカオルが言った。
「まぁな。だからってすぐに覚醒してほしいとは思ってないけど」
「龍太の場合は、難しいそうな魔法だものね」
とパトリシアは言う。
カオルの魔法も扱いが難しいらしいがそれをどうやったらあんなに豪快に扱えるのかとパトリシアは言っていた。
そう思うとやっぱりカオルはすごいと俺は思う。
「そうね。龍太くんは来るべき時に覚醒する人かもしれないわね」
アウロラがそんなことを言った。
「では、最後に私とテティスさんと巫凪さんと桜さんとで試合しましょうか」
と結城は言った。
一対一の勝負。
俺はテティスと。カオルは結城と試合することになった。
~~~
ソーサリーズバトル
初撃決着バトル。
相手に致命傷になるダメージを与えたら勝利というルールだ。
「これは実戦に近い型式よ。このバトルは痛みに転換する術式があるけど実戦じゃないからできないから」
とパトリシアはアドバイスをする。
「龍太、桜ちゃん。テティス先輩は氷水永久零度って言う覚醒魔法使いで氷や水をメインに戦う魔法使いなんだ。シャルルとは全然違うよ。気をつけて。結城先輩は風魔五芒陣の使い手で風を基本に使うんだけど奇跡の風を使うんだ。気をつけてね」
余語の博識に驚いたが今は助かった。
「ありがとう」
「参考にさせてもらうね」
俺とカオルは二人へと向かい合う。
「準備はできたかい?」
「できました」
「では最初は?」
「わたしから行くよ」
カオルが一歩前に出る。
バトル前の空気はいつも緊張するな。
俺はカオルとリンクを繋げたが結城はテティスリンクしているらしい。
パトリシアは試合開始の笛をならした。
瞬間に両者は地をバン!と蹴り跳ばす。
風を纏いながら互いに激突した。
結城が拳顎を撃ってきたがカオルはそれをかわし同じ技で打ち返す。
「ちょ!?」
結城が驚き声を漏らすがちょっと危なく交わす。両者風を纏いながらだから、あんな至近距離だとあの中に部外者が入ると体が風に切られそうだ。
そこでカオルは軽く息を吐いた。その息はドリルのような音を立てて結城の胸を狙っていた。
しかし結城はそれを掴んだ。
「え!!」とカオル。
掴んだ腕は不思議な燐光を放ちながら風ドリルを防いでいた。
「危ないですね…桜さん、すごいです」
「今絶対わたし決めたと思ったのに」
「私も思いました。決められたと。だから私の魔法が発動しました」
「奇跡…」
「そうです。私の身体を守ってくれました。そしてこれが私の杖と武器です」
俺達と同じ杖だが色は緑色。そして武器は右手の中指に装着された龍爪だった。
「なら使われるまえに決める!」
「そう簡単にいかせません」
カオルは杖から光の剣を作り出し一気に走り結城めがけて降り下ろす。
結城は龍爪で受け止めた。
左手に持った杖から風の鈎爪がカオルを狙う。
「っ!!」
制服のリボンを掠めた。
「うーん、惜しかったです」
「ならもっかい!」
「何度やっても同じです!」
カオルの決め技は結城の言う謎の奇跡で当たらないようになっているのだ。いや守られているのだ。
「今度は私の番ですよ」
結城は龍爪を構える。
「!」
カオルは何かを察知したのかその場から動いた。
その場所は鈎爪痕が残された。
それから幾重にも及ぶ風の鈎爪と緑の弾丸がカオルに迫る。とんでもない弾幕技だった。
「私の魔法を全て避けきるなんて不可能ですよ」
その数発はカオルを掠め、弾丸はカオルの剣で弾く。
「重いっ……!」
「どうですか!」
「決まらないし当たらない。たしかに全部は避けきるのは無理かも。でも」
「??」
「わかったよ」
「はい?」
カオルがにやりと笑った。
結城もだが俺達も「はい?」だった。何が?
「いっくよー!」
カオルは気合いと一緒に走り出す。
「同じ手は効きません!」
カオルは再び光の剣の決め技で決めるが同じように防がれた。
「ぉぉぉぉりゃゃゃゃぁぁぁ!!!」
バリィィィン!!!という硝子か何かが割れる音がした。
「そんな!??」
結城は驚きの表情を見せ、足をつんのめらせた。これには俺達も驚いた。
カオルは力任せに奇跡を起こす力を叩き割ったのだ。
結城は自分の力に自信があったのだろう。動けずにいた。
「これで!決まりっ!!」
「ま、まだです!!」
「!!?」
結城は龍爪から風の防壁を作り巨大な魔法陣が形成されていく。
「それなら!」
カオルは光の剣にその風を取り込み始めた。
剣はだんだんと金属質のような質感を帯始め、カオルの背中に一瞬だけ翼が見えた気がした。
「ちょっと、ええ?!」
「そりゃぁ!」
とカオルのかわいい掛け声と一緒に降り下ろされた剣は結城は燐光を纏った腕で防ぐもまとめてバッキン!という粉砕音と一緒に結城は叩き付けられた。
全員これは無言だった。
俺達全員、口をあんぐりあけていた。
キグルミンがポンポンと拍手して俺達はハッ!とする。
「しょ、勝者!桜カオル」
とパトリシアは宣言した。
「わ、わたし勝ったの?!勝っちゃった!ど、どうしよう!」
俺達は拍手した。
「カオルすごい戦いだった。結城先輩の魔法を破るなんてな」
「見事な戦いだったわ。かっこよかったわよ」
「あ、ありがとうございます」
俺とアウロラに誉められ、カオルはようやく勝利の実感を得たのか嬉しそうだった。
ようやく立ち上がった結城は、それはもう悔しそうな顔をしていた。
「完敗です。私の敗けですね。あんな常識はずれなやり方があるなんて。やっぱり魔法は常識では測れないんですね。でも見事なお手前でした。私もまだまだ鍛練しなくては。ふぅ…。次はテティスさんですね」
意外にも立ち直りが早い人だった。
「うん、さっきの戦いの後だから、まだ高ぶっているよ。巫凪くん。準備はいいかな?」
「私もまだ高ぶっているわよ…。じゃ両者大丈夫そうね。試合開始よ!」
パトリシアは再び笛を鳴らす。
「巫凪くん」
「?」
「僕の動きには着いてこれるようだけど、僕の攻撃には着いてこられるかい?」
「食らい付いてやる」
「そうでなくっちゃね」
テティスはそう言って、氷の塊を出した。
その塊からは雪が荒ぶっているのがわかる。彼はそれをサッカーボールのように蹴った。吹雪を纏いながら飛んできた。
「なんの!」
俺はそれを受け止める。が
「な、んだこれ!」
俺は受け止めるのを止めた。
「冷たっ」
手が一気に霜焼けていた。
「いい判断だよ。さぁ僕についてこれるかな?」
「ああ、まだまだここからっすよ」
だが明らかに魔法の出力差が違う。出し惜しみとか加減とかしてる場合じゃないかもしれない。
テティスは氷の指鉄砲で氷柱を撃ってきた。
俺はかわし、時には叩き落とす。
だが大きな見えない壁にぶち当たる。魔力で作られた氷の壁だ。
「な、なに?!」
左右上後ろも氷の壁だった。
「これが僕の捕縛魔法、鉄壁の氷獄。すべてを閉じ込めたから早く脱出しないと酸素も無くなるよ。じゃないと…わかるよね?」
テティスの言葉は本気だ。
みんなは俺を案じる目で見ているのか次第に氷の密度が上がっているのか姿さえ見えなくなってきていた。
俺は重力を使い氷を削り始めるが、だめだ。すぐに凍り付き戻る。
何度もやったが、だめだ。
ならば、最大に一点に力を
集めて氷を貫く!。
「ぅぉぉぉぉ!!!」
それでも貫くことはできなかった。
~~
テティスとは故郷の世界での国の貿易の交流が始まって以来の知り合いだったわ。中性的な美少年で南国では珍しい肌の白い男だった。北の国へ貿易を持ちかけてきたのもたしか彼だった。海の王子とも呼ばれ南国の人からは尊敬と畏怖すらされていた。
テティスは自国の人にはいい存在だと思う。けれど見た目にそぐわない攻撃性の高い氷と水魔法を使う。そして隠れた残虐性を持っていたから。
先のテティスの言葉はここから出れないなら死ねと彼に言ったのだ。
酸素という単語を知ったのはこの世界に来てからだった。そして今の彼ではこの壁は壊せない。
酸素が尽きて中から発狂する彼の声が聞こえた。
「テティス、さすがにこれはやりすぎだわ」
「そうかな?」
「そうよ。あなた、殺すつもり?」
「僕はやるべきことをやっているだけだよ」
「答えになってないわよテティス・オーシェン」
「…やれやれ。北の女王の娘さんは随分と角が取れたね。前の君はこういうことは言わなかったはずだよ?」
テティスの私を挑発するような物言いが頭に来た。
「は?」
私とテティスは向かい合う。
この向かい合いは、かつて互いに国と国がぶつかり殺し合いをした感覚と似ていた。
その空気に誰も何も言わなかった。
「パトリシア」
と思っていたけれどカオルが私を呼んだ。
それは以前、私が感じたあの強大な魔力を帯びた時の声と似ていた。
そしてきちんと名前で呼ばれたことにも驚いた。
「な、なによ…」
思わずカオルにたじろいでしまった。
テティスは少し気味が悪そうな顔をした。
カオルは首を横に振っただけだった。
私はカオル何が言いたいか理解した。
この状況で彼はこの氷を砕くと言っているのだ。信じているのだ。
テティスもそれをわかったのか少し変な顔をした。
そんなことができるのかと。
~~~~
俺はここまでかもしれない。身体が重い。呼吸が辛い。酸素が尽きているのだ。
俺は倒れ混む。
意識が消える。
黒い渦に吸い込まれ沈んで落ちていく。
でも落ちる寸前、誰かが俺の手を強く掴んだのだ。
絶対に離さないと言ってくれた。
一緒に飛ぼうと言ってくれたあの手だ。
俺にとって大切な人の手だ。
俺はその手に引っ張られるように意識を取り戻した。
そうだ。
ここで倒れるわけにはいかない。
覚醒とか未覚醒とか関係ない。ただただ上を見ろ。空を見ろ。飛べ!
俺はあらんかぎりの声で叫んだ。
俺を囲んでいた四方の氷は吹き飛んだ。
「!?」
「はぁ…はぁ…!ゲホッ」
全員よっしゃぁぁぁ!!!と叫び声が聞こえた。
「まさかあの氷獄から出てくるなんて」
「あぁ、俺もそう思いましたわ…!」
身体がやけに熱い。何が起きているんだ。
「いったいどうやったんだい」
俺は答える代わりに杖
を上に投げた。
杖に付いた石が輝き魔力を吸収し始める。その魔力を俺に送信する。受信した魔力をそのまま声にして放つ。
カオルとアウロラは何かを感じたのかとっさにパトリシアや結城達をガードした。
テティスは耳からダメージを受け脳へと響いたのか、そのまま倒れた。
「し…勝者、巫凪龍太」
とパトリシアは少しこめかみを抑えながら言った。
カオルとアウロラだけはへっちゃらな顔をしていたが。
「お疲れ様龍太くん」
「ありがとうカオルのおかげで勝てたよ」
「うん?わたし何かした?」
「うん?」
と言って俺は笑った。今回は倒れたりはしなかった。身体の熱もいつのまにか消えている。
「龍太、今の魔法はなんだい?頭が少しジンジンするよ」
「あぁ、わるい志郎。みんなも。でもガードしてたよな?」
「影響範囲内でもちょっとはくらうみたいね…」
「パトリシアもすまんな。今の魔法はそうだな…技かな…」
「覚醒、ですか?」と結城
「わからないですね…。でも身体が熱くなりました」
「熱く…。どういう感じに?」
「え、なんでしょう。身体の底から光が爆発するみたいな」
その言葉に結城は考えこむ。俺もよくわからないからな。
「あと魔力を遠隔で杖から受けとったわよね?あれどうやったのよ」とパトリシア。
「わからん」
「はぁ…?」
「いやだって、例えばパトリシアだって黒魔術だっていつからあるかわからないだろ?」
「そうね」
「それと同じ」
「なるほどね。いやなるほどなのかしら?」
未覚醒?半覚醒の力?とぶつぶつ呟いてたパトリシアは放置してようやく起き上がれたらしいテティスが声をかけてきた。
「結城さんの言葉を借りるなら完敗だよ。まだ頭が痛いよ。偏頭痛になった気分」
「すんません」
「いやいいよ、このくらいでなきゃね。声で相手を倒す魔法なんて聞いたことがない。でもまだ覚醒とかじゃなさそうだ」
「じゃあ龍太くんは半覚醒したってことですか?」
「多分ね。完全に覚醒しなかったところを見ると巫凪君の魔法はまだまだ未知の魔法なんだろうね」
「未知ですか?」
「うん。きっとその魔法は覚醒したらすごいことになると思っているよ。でも今日はなんか僕も疲れたよ。それと巫凪くん、さっきはすまない」
「いやいいっすよ」
「そういえばキグルミンいつのまにかいなくなってるわね」とアウロラが言うので
「え?あ!ほんとだ!どこいったんだよ」
と余語が言っていた。
~~
「さてと…私たちは行きますね」
「あ、わかりました」
俺達はありがとうございました~と言った。
「もし何かあれば私たちを頼ってください。その時は力になりますから」
そう言って去っていった。
「はぁ」
とパトリシアがため息を吐いた。
「どうしたの?」と余語。
「別に、たいしたことないけれどさっきの気にしてないから」
「あー、俺は今のパトリシアしか知らないからな…でもパトリシアはかわいいよ」
「ちょ、みんながいるのになにいってるの!!バカ」
と言われていた。俺にはよくわからない会話だが二人の会話らしかったのでまあいいやとなる。疲れたし。
とりあえず勝てた。なんとか勝てた。
でも…
「ギリギリだったな」
危うく殺されるところだった。
あの時自分の魔法が変わったのが少しわかった気がした。
とはいっても、これと言って覚醒方法なんてわからない。
まあ…気にしても始まらないなと思う俺だった。
~~~~
「いやぁ~~学校の終わりの酒は旨いわねぇ」
「とか言って飲みすぎないでくださいよ」
「もう秋なんだからいいじゃない」
「あー、お前も…って二十歳越えてたか。じゃあいいのか」
「え?ああそうっすね」
俺は生返事を返す。
「元気がないわよん、カイト少年~」
「神庭先生は飲みすぎです」
俺達は飲みに来ていた。
俺、葉山、御神楽、神庭である。
神庭は数学の教師なんだが実はあまり出番がない先生なんだがフェロモン出まくりのよくわからん人だ。
(第2章一回のみ登場)
「しかしあれだな。今年はいろいろあったな」
葉山が言う。
「何言ってるの。まだまだ一年はこれからでしょ」
「そうだな。たしかに最近は渦巻いてる感じがあるしな。音羽は何か考えてるのか?」
「あーそうっすね。現況捉えたりってやつですからそろそろかと」
「私たちは手伝えないから残念ねん」
「手伝えないどころかもし邪魔しちまったらすまんな」
「…一応予想してます。苦労しそうなのは俺じゃなくて一年坊主共でしょうよ」
「違いないな」
「そうねぇーあ、あの子とはどうなのん?」
「え…?いや…それはまぁ喧嘩したりしなかったりと。あいつにも事情があるってわかってはいますが、やっぱ自分を貫いてほしいというか。でもあの野郎が来てから……あああもういいでしょう俺の話は。ってことで俺は呑みます」
「おおおぉぉ副会長はしょうがないなぁ~!!。よし副会長。俺がおごってやるぜーー!」
「ええええずるいわぁないわぁー私たちのもー!」
「てめーらは自分で払いやがれ~~!」
と、どんちゃん騒ぎで飲み続ける。
俺は準備を完了していた。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
いつものネタバレですが今回は修行編となりました。
久々にバトル書いた気がします。
ちなみに物語に出てくるバトルグラウンドは闘技場のような場所になりますが見た目は芝生のサッカースタジアムと大差がない見た目だったりする設定です。
ソーサリーズバトルがもっと流行ればフィールドの更に追加とかあるんですがね。
いずれ森宮で流行らしたい…(小さな願望)
今回新登場の人物が一人います。
当初は出す予定はなく秘蔵キャラだったのですが、ちょっと出す必要が出てきたので。
名前と特徴だけ紹介。
森宮学校高等部一年
レイン
両足が欠損している銀髪ショートヘアの白色の瞳を持つ女の子です。
いつも車椅子に乗っていて大きなポシェットを下げている
くらいですね。
では今回はここまでです
次回は10章act3になります
ここまで読んでくれてありがとうございました。




