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8章act8 ソーサリーズバトル

こんばんはおはようございますこんにちは。

8章ラストとなります!

俺達はほんの数分の作戦会議を行った。

不可能なことはないと、先輩が言ってたばかりだしな。

「やるべきことはやった。

あとは楽しもう!いくぞ!」

「「「おー!!!」」」

俺達はフィールドに立つ。

とてつもない歓声と拍手を浴びた。

それはパトリシア達も同様だ。


放送が入る。


『これより午後の部、ソーサリーズバトル公式試合を行います。

ルールはタイムリミット方式で行います。

制限時間は30分。リーダーを一人決めて仲間のダメージをすべて肩代わりします。

リーダーが再起不能になったり、そして多くのダメージを与えたチームが勝利となるベーシックルール(通常)です。

尚、今回フィールドには白線が準備してあります。この線の外は場外です。出された選手は30秒間の間、戦闘には参加できません』


リーダーは俺。パトリシア達のリーダーは余語となっていた。

リーダーはパトリシアかと考えていたが余語にしてきたか。

視線に気づいたパトリシアは振り向き言った。

「貴方達のチームの実力、楽しみにしているわ」

「おぅ、パトリシア。お前らの戦いも楽しみにしてるぜ」


握手を交わす。

さらに歓声が溢れる。

「さ、始めるぞ。三人とも」

三人はそれぞれの返事が返ってくる。

正直一年生でこんなにバトルしてるのは俺らくらいなもんだろうなと内心苦笑した。

俺はカオルとはリンクをしているから二人とリンクし余語達を見る。

余語もこっちを見ていた。

負けないよ。

そんな感じに言われた気分になった。

俺も負けないぜと返す。



試合開始のホイッスルが鳴った。




~~~



さぁバトル開始だ!。

いくぜ!


「いきます!」

アウロラがロッドを構えて光の弾を一気に打ち出し弾幕をはる。

だがさすが手練れの魔女達だ。

攻撃を楽々に回避していく。

「朝霧!!」

「っ…?!はい!」

俺の言葉に朝霧は反応した。

近くに余語の銃弾が飛んできていた。

彼女は自らの影に潜り避ける。

影から飛び出て闇をまとい、一気に朝霧は距離を詰め余語と近接戦を始める。

余語の武器は銃だ。近接は無くもないがあれは絶大な威力があるが一回使用のみ。このまま押せば朝霧が点を取れる。

「カオル!、先輩!。リィラとフウラを押さえてくれ!」

二人は頷き、マークにかかる。となると俺は、

「いくぜ」


重力アシストで、一気に加速しパトリシアに目掛け突進した。


パトリシアも気づき、紅蓮をまとい、激突する。エネルギー波と炎が弾けて会場に響く。

観客席は大喝采が生まれる。

「やるじゃない…!」

「そっちこそな!!」

「ならこれはどうかしら!」

彼女は手をばっと大きく振り橙の燐粉が舞う。

それはフィールド全体に広がっていく。

「これは…。っ!全員回避じゃなく防衛に回れ!粉塵爆発だ!!!」

叫んだと同時に爆炎が広がり周囲に大爆発を引き起こした。

俺の身体に痛みが走る。

無茶苦茶痛かった。

どうやらアウロラがくらったらしい。

「すみません!」

「ああ大丈夫だ!」


0-1。


早くも先制された。やはり戦闘の経験は向こうが有利か。

攻めていた朝霧もひとまず引いていた。俺も否応なしに距離を取る。ならば


「カオル、出し惜しみはなしだ。使ってくれ!」


「うんっ!」

カオルは直線飛びから空中へ上昇し飛び上がる。しかもその速度が速い。

「ッ!!カオルを逃がさないで!!!」

パトリシアの指示にリィラとフウラと余語が狙うように恐ろしい数々の弾攻撃を下から撃っていく。

そこからカオルは一瞬身体を縮めたかと思った途端、上昇する速度が段違いに上がった。

ジクザクと急角度を描きながら一気に上昇するカオルには1つたりと当たらない。

「…速すぎるわね!」

パトリシアからはそんな言葉が聞こえた。

そしてカオルの飛行制度が尋常に鋭いのだ。

あまりに鋭いからか飛翔の跡、光の軌跡が見えた。今までこんな現象はなかった。

本当に覚醒したんだなカオル。すごいな。

空を自由自在に飛び、飛んでくる技も全て空中で鮮やかにかわしきる。

上手く表現できないが一緒に手を繋いで飛んでる気がした。俺はそれは心地がよかった。

カオルは空中で静止し息を大きく吸い込み、それを一気に放つ。

「天空の咆哮ーッ!」

風の破壊光線が一気に地面にぶち当たる。

狙いはパトリシアだ。

パトリシアは魔術防壁を展開するが、防壁は数秒で壊れパトリシアは吹っ飛んだ。場外に出すことはできなかったがダメージを与えることはできたようだ。


1-1。


これで同点だ。だけど考えようによってはあの魔術防壁は大半の攻撃を防げることになる。

カオルもそう何度もあの大技を扱うのは難しい。と考える間に余語の銃弾が飛んできた。

続いて飛んできた銃弾を俺は新装備のグローブで弾く。魔法銃は本物の銃よりは速度が遅いが威力が高い。

だからなんとか防げる。

「それは?」

「新装備だ。初めて使うけどな!」

「いいなぁ!ならこれは!」

地面から剣が生えてきてめったぎりにしようとしてきた。余語め!いつのまにこんな技を!。

パゥゥゥゥン!!と何か音が響いた。

瞬間肩に痛みが走る。

カオルがダメージを受けたようだ。


1-2。


誰に受けた?と思ったが余語だ。

魔法を使って超加速が付加され弾丸を連続発砲したんだ。

すかさずフウラが紫雷を、リィラが紅いレーザーをカオルに打ち込んできた。

朝霧が霞を大きく広げて二人の攻撃を飲み込んで防御してくれた。

「アウロラ先輩!」

朝霧はアウロラと合図をした。

再び朝霧は自分に闇をまとう。1つの紫の光になり突撃する。

「わかりました!」

ロッドから同じ色と同じサイズの光弾を複数放つ。

「ん?リィラ、フウラ!距離をとって!」

余語が銃を構えながら言う。だが俺が銃口を殴り弾丸を逸らし、余語は距離を取る。

その間に朝霧は複数の光弾と共に突撃し、リィラとフラウの間を通過する。

「???」

「?」

なんともない。

そう思った二人だが1つの光弾から朝霧が出てきてフラウの手首、頸動脈を黒いナイフで切り裂いた。


2-2。


続けてリィラの首をも朝霧は切り裂いた。


3-2。


かつていじめられていた朝霧は生きることに絶望し生きることに諦観していたがそんな面影は今はもうない。まだ表情は少し暗いがここまで強くなった。

相手から一気に2回も点を取り同学年であろう観客から拍手が湧く。

朝霧は観客を見て小さく口元を緩ませた。

「いったああい!」

紅いレーザーをばんばん打ちまくるリィラが朝霧は闇に隠れて避け続ける。

アウロラがそこにロッドをハンマーみたいに背負い叩き込むが、二人はすんでのところで交わしてアウロラに攻撃をする。

咄嗟にリィラの攻撃は防ぎフウラは雷を複数起こさせ雷槍にして撃ち込むがアウロラはさらに防御を展開し防いだ。

だがリィラの紅いレーザーをかわしきれず朝霧はくらってしまった。


3-3。


取ったらすぐに取り返してくるな。

厄介だな…。

俺は余語に向かって杖を構える。

同様に余語も銃を構える。

お互い同時に発射し同時に命中した。


4-4。


余語はアタッカー向きではないと思っていたが正直意外とアタッカー向きだな。

確実に点を取っているのだ。

何もない場所から剣が浮かび一気に飛来してくる。これも余語の魔法か。

拳で剣の腹を叩き防ぐ。

手をばっと開き、重力で余語の足を引っ張る。

「ああ?れれれ?いてっ!」

この不意打ちは実際に効いた。

余語はすっころび、余語を吹きとばす。

余語を場外に出した。

吹き飛ばした衝撃が強かったのか点が入った。


5-4。


「よーしっ。いっくよー!!」

好機と見たカオルはハイスピードでパトリシアに近付き杖から光のレーザーを打ちまくる。

パトリシアはかわすなり弾くなりする。

そして至近距離となったことでカオルは杖から光の剣へ変える。

高速で振るうがパトリシアはそれを避ける。

やはりパトリシアには技の軌道が見えている。初めて戦った時と同じだ。

あの耳に付いたイヤリングだったか?技の軌道を予測するマジックアクセサリー。ミーティアったか。

炎を灯した拳がカオルの腹を抉る。

俺に痛みが走る。

「志郎がやられたお返しよ」


5-5。


「っ!!。はぁっ!!」

がカオルは力付くでもっと距離を詰めてパトリシアの腕を掴み、体術バリツで強引に押し込み、さらに速度を上げた剣を振った。

パトリシアは驚愕の色を見せたが、回避した。

当たらなかったことにホッとするパトリシアだがすぐにハッとして耳に手を当てた。

「やってくれるじゃない?」

パトリシアはにやりと笑いカオルを見る。

カオルはくらったと同時に距離を詰めてパトリシアのミーティアを吹っ飛ばしたのだ。

神業だなカオル。

30秒経ったので余語がフィールドに戻ってきた。

考えはするが30秒はかなり戦力にアトバンテージ、つまり大きく影響があることがわかる。

でなければカオルがパトリシアのマジックアクセサリを吹っ飛ばすのは難しかっただろう。

リィラが四角い板を投げそこに紅いレーザーを打ち込む。

そこから一気に100本くらいの紅いレーザーが飛んできた。

リィラは弾幕を張らない魔女だと思っていたが、マジックアクセサリは使う側は有利な道具だ。使われたらかなり厄介な代物だな。

俺の肩をかすったらしくダメージを受けた。

あのレーザーかすっただけで痛いぞ。


5-6。


余語が銃弾を放つ。アウロラがいち早く反応しそれをロッドで包み威力速度を上げて弾きフウラに送り返した。

さっきの仕返しと言わんばかりににこりとするアウロラ。

「ひどいわね~」

と、フウラはどこか楽しそうに言う。

余語がお腹を押さえた。だよな痛いよな笑


6-6。


点を取ったら取られの応酬に観客は大絶賛だ。

パトリシアが黒い魔法陣を使いだした。

普段のパトリシアの魔法は炎を扱う。

だが彼女の本来の実力は魔法ではなく魔術だ。

魔法は身体からそのまま出せるが魔術には魔法陣が必要になる。

魔術には時間がかかるがパトリシアにかかれば魔術は一瞬だろう。

右手には黒い魔法陣。そして左手は炎。

紅蓮だった炎は蒼炎に変わった。

そこから蒼い炎球を放ってきた。


狙いは俺。

一撃二撃をなんとか防いだが威力が桁違いだ。

三撃目は黒い魔法陣からぶっとい紫のレーザーが飛んできて防ぎ切れずにぶち当たる。


6-7。


今までと威力が違いすぎる。

もしかしなくとも…。

「その蒼い炎がパトリシアの覚醒魔法か」

「ご名答よ龍太。私の覚醒魔法は《黒き焔月の継承者》。この蒼き炎こそ私の本来の魔法。そして」

パトリシアは黒い魔方陣を生み出す。

そこからとてつもなく鋭い黒い閃光が飛び出す。しかも速い!

カオルはそれに反応できずぶち当たる。


6-8。


「この黒魔術こそ私の魔法でもあるのよ。継承者は魔術を魔法として扱えるの。それが私の魔法よ。どう?驚いた?」

「ああ、驚いたよ。道理で魔術が一瞬なのな…」

左手に黒い魔方陣と右手には蒼い炎を灯らせる。

強いなパトリシア。とんだ才能だな。

だけど俺達もまだ負けちゃいない。

「カオル!!」

「わかった!!」


カオルと一回ハイタッチをする。

風と光と重力がぐるぐるまわりだし球体となって俺とカオルは二人で一点にして放つ。

それは途中で弾けて爆発。

中から光の破片と黒雷が飛び出し、パトリシアと余語を切り裂く。


8-8。


「いい技あるじゃない。志郎大丈夫?」

「いったすぎるけど身体は動くから大丈夫!」

パトリシアと余語が言う。

ここまできたら勝利がどっちかわからなくなってきているぞ。

我ながら俺達いい試合してるよな。何より楽しいこの戦い。全身痛いけど。

だけど俺はチラリと時間を見る。

「そろそろ時間だものね」

俺が思ったことを読んだかのように肩を竦めるパトリシア。

「そうだな」

さて、どうするか。

「だから、私達はこの一撃で終わりにするわ」


その彼女の言葉に俺達四人が息を呑んだ。

リィラ、フウラ、パトリシアがものすごい量の魔力を放出し始めたのだ。

巨大な黒い魔法陣がパトリシアから形成され、フウラからは大きな紫の雷の槍のようなのが一本どんどんでかくなっていく。

リィラからは紅いレーザー状のとんでもなくでかい大剣が生成されていく。

なにかまずい!!!!

俺の頭の中で全力の危険信号が鳴り出した。

「あれを止めるぞ!」

俺達は一斉に攻撃を始める。

だが余語が防ぎにかかってきたのだ。

何もない場所から金や銀の刃を生み出し、刃の嵐のように俺達の攻撃を食い止めてくる。

その余語の表情は必死の本気の顔だった。

この三人の技を出させるために力を振り絞ってるんだ。

余語もまだでかい一撃を残してる。

おそらく余語は溜めとかがいらないんだ。

どうやってどうやって…どうやって止めればいい。

俺はその時、カオルと目があった。

何かが胸のなかでトクンとなったのを俺は気付いた。これはもしかして。

いけるか?いや行くしかない。

「このままじゃ不味い。余語もまだでかいの一発残してる。カオル」

「??なに?」

「あの時、倉庫で使ったあれができるかもしれない」

「え?!できるの?」

「たしかにあれならあの四人の魔法を防げるかも…」

「防げるどころか押し返すことも可能かもしれませんね」

朝霧とアウロラの言葉に押されカオルは考える。

「だけど多分わたしだけじゃ難しいよ」

ポツリと言った言葉に俺はカオルの手を取った。

「大丈夫だよ。俺も一緒に飛ぶ。連れていくって言ったろあの大空へ。一緒に飛ぶんだ。だから大丈夫だ」

「龍太くん…。えへへ。うん!。

一緒に飛ぼう!どこまでも!」


その瞬間、俺とカオルの魔力が一気に駆けめぐり身体から心の底から力が溢れてきた。

巨大な竜巻が巻き起こる。

竜巻の成長速度はパトリシアやリィラやフウラの魔法よりもずっと何倍も早い。

その竜巻は光をキラキラさせた。

カオルの背中から風と光が集まり翼のようになる。

一羽ばたきするとさらに暴風が巻き起こる。

それだけじゃなくカオルのそばにルシエルがやってきていたのだ。

ルシエルはカオルの目の前で制止し杖に触れ、飛びさって行く。

この大勢の前で姿を現した?いったい何が起きるんだと俺は逆にワクワクが増していた。

おそらくそれは観客も同じだ。

変化はすぐに訪れる。

カオルが握っていた杖から放たれていた光の剣に風が集まり始めたのだ。それらは覆うようにだんだんと金属質を帯始めた。

しゃらんと鈴の音のように剣が唸る。

空が動き風が踊り光が照らす。


ちなみに俺はもうテンションハイだった。

楽しすぎて。

「先輩、朝霧!!多分この規模、パトリシア、リィラ、フウラ、志郎にカオルの魔法がぶつかったら観客にも少なからず影響がいくかもしれない!俺はこのフィールドを今から制御する!」

とんでもないことを楽しそうに言い出した俺にアウロラと朝霧が絶句する。

「は…?せ、制御するって先輩…!?。このフィールド観客席も合わせて相当広いのに、無理ですって!」

珍しく朝霧が大声をだしていた。

「できる!。それに今ならできそうなんだ」

「えっと…なぜです?」

アウロラもまた何を言えばいいかわからない顔をしている。

「わかりません!でも心から身体から力が溢れてくるんです!」

俺はグッと拳を握る。

その時、仄かにグローブを装備した拳が輝いたことは気付かなかった。

ちなみにカオルの通信インカムはこの竜巻で吹き飛んだらしい。

時間もない。作戦も手札も全て切った。

だからあとは思うままにやるだけだ。

何よりあの魔法だ。あの四人が、そしてカオルが、ここまですごい可能性を見せてくれている。そうだろ?

俺もここで何かすごいことを、絶対にできないことをしてみたい!!。

それを可能に変える。

だから、このフィールド全てを制御する。

「わかりました。なら私も微力ですがカオルちゃんに力添えします」

「わ、私もやります…!

力全然ないけど、先輩達ばっかりいいところは取らせません…!」

正直この二人、微力とか言うが多分覚醒とかもっと魔法を上手く使えればあの四人の規模に並ぶだろうなと考えた。

「よし!頼んだぜ!」

俺は瞳を閉じる。はっきりと感じる。

俺とカオルの魔力の流れが。


そして全ての魔力の流れを。


タイミングは、今だ!


同時にパトリシア、フウラ、リィラ、余語がそれぞれの技を放ってきた。


「グリモワール、シジルコスモス!!!」


「紫雷槍グングニル!」


「原炉熱線レーヴァティン!」


「アルケミックオーバー!!!」


大きな黒い魔法陣からは蒼い炎と黒紫に包まれた巨大な焔が。


どでかい槍の形を象った紫雷の雷が。


レーザーで構築された巨大な大剣が。


鎧をまとい剣を生み出しそこから放たれた大量の金属の花弁の刃の衝撃波が。


それぞれ一気にこっちに向かってきた。


「今だ!カオルーーーーーッ!!!!!!!」


「ハァァァーーーーーーーーーッ!!!!!!」


カオルはその竜巻を一気に解き放つ。


朝霧とアウロラも最大威力のある魔法を放つ。

それらがぶつかりフィールド全体が大爆発を引き起こす。


いろいろ派手に吹き飛び俺達の視界は真っ白になった。

数分が経った気がした。

ホワイトアウトした視界は色彩を取り戻し、俺は目を開ける。


朝霧とアウロラは倒れていた。カオルは呼吸を整え座り込んでいた。

余語、パトリシア、リィラ、フウラは倒れていた。


……どうなったんだ。





試合終了のホイッスルが鳴り響く。

『試合終了。勝者、チーム巫凪!』

その瞬間大喝采が起き、俺は拳を突き上げた。

「…勝った!勝ったんだ俺達!!」

と言った瞬間、今度は視界がブラックアウトした。


~~~



目を覚ますと森宮病棟の入院室だった。


隣のベッドを見るとカオルが寝ていて朝霧、アウロラと前方のベッドにはパトリシア、余語、フウラ、リィラが寝ていた。

「俺気絶したの?」と呟く。

「生きた心地がしなかったな」

とそこには殺陣がいた。

「先生…」

「コーチと呼べ」

「…コーチ。俺達勝ったんですよね」

「そうだ。最初からダメージで意識を失った六人はともかくだが途中まで意識があったお前と桜だが、お前が途中で心肺停止になってな。ショックで桜が気絶した」

「え?はぇ?そんなになるほど俺ダメージ受けました?」

「……あの防護フィールドは本来、特殊な魔法で選手を保護する。だがお前は自力でそれをやってしまった。あの魔法で八人分のダメージをお前が全部引き受けた。あるいは観客に及ぶダメージをも引き受けたのだろう。

それだけの話だ。本来は不可能なんだがな。いいものを見せてもらった」

「そうですか」

俺は起き上がろうとする。

「まだ寝ていろ」

そう言われて俺は沈黙する。殺陣は俺達の脈や状態を確認して部屋から出ていった。

外を見ると夕陽になっていた。

一時間後に、みんなが起き出し、うって変わって賑やかになった。

カオルは起きた瞬間俺に抱きつき「死んじゃったかと思ったよ~…!!!」って大泣きした。俺もカオルを抱きしめ返しちょっと泣いた。

アウロラも俺を「無事でよかったです!」と抱きしめられ朝霧にもぴとって感じに控えめに抱きしめられた。

余語のほうも似たようなことをやっていた。

パトリシア達は俺にお礼とみんなには祝勝を言ってきた。

殺陣が再び入ってきて、いきなりカオル誘拐事件を話し出すから余語達はびっくりしだし、なんで自分達には言わなかったのかと怒ったが、通信途絶エリアだったことを話すと怒りも収まってくれたが多分納得はしてないだろうな。


「あの誘拐犯達だが一部はここの落ちぶれ卒業生だった。もう一部は入学を拒否した連中でな。知ってる顔だった。ちなみに拘束に使われていた呪具は西国製品でな。リセリスが調べていたんだが今ごろは女王に説教だろう」

そういえば今日はリセリスを見ていなかったな。調査をしていたのか。

「そして無収穫だったわけじゃない。今回の件でいろいろ判明した。まず都市伝説と言われていた"不思議の国"は都市伝説でもなく人間が誘拐に使っていた手口だったこと。そしてこの世界と魔法の世界が繋がった時に魔法具を取引する連中がいたという事実。これに関しては既にリセリスがホシを付けててな。西国の闇組織の売買連中が不穏な動きをしていたらしい。解決は時間の問題だな。そしてここからが重要だが俺達は今日、新たな歴史の幕開けを見た」


殺陣の言葉に俺達が疑問符を浮かべた。


「新たにリンクという物にレベルが存在することだ」

「リンクにレベル?」とパトリシア

「あのあと葉山達が帰ってきてな。今日の戦いの動画を確認して判明したらしい。今後はバトルにレベルが表示されることになる。最大5レベルまであるみたいだな。リンクを通してレベルが上昇し戦闘方法によってレベルが上昇していく。詳しい記載はまた配布するだろう。では以上だ」

と俺達の質問は受け付けずに部屋からでていく。

「いろいろ変わっていくな。まだ俺達は発展途上の中なんだな」

俺が言うとみんなが頷く。

と、そこにカオルが手を挙げた。

「どうした?」

「わたしも話したいことがあります!」

みんなはどうぞ?ってなる

「わたし、覚醒しました。それで今までの情報が全部入ってきたの。つまりその情報の分割みたいな」


あ、知ってますってみんなが頷く。


「あの、昔地震を起こしたのも…多分わたしです」


知ってますってみんなが頷くが、フウラ、リィラがちょっと驚いた。

だが当時は私達は無関係だからねと言った。

「え、ええ?そんな簡単でいいの…?」

「カオルが悪い訳じゃないんだ。誰も責めないよ」

「そうね。そんなことが心配だったの?」

「桜ちゃんは桜ちゃんだからね。みんなが大丈夫ってなら大丈夫だよ」

俺、パトリシア、余語が言う。朝霧、アウロラ、フウラ、リィラも同じ感じの言葉を口にする。

とはいえあれは死者をだしたとかいろいろ話はあるが魔法による罪は法律上難しいうえに本人はまだ魔法使いの自覚すらなかった。正直その時は無法地帯と言っていい。


「ありがとう。それでね。あの地震を起こした理由は魔心花の本体が近くにいたからなんだ」


その言葉に俺達全員は目を見開く。

「ちょ、どういこと」とフウラ。

魔心花については生徒全員が知ってる存在だ。

昔近くにいたというのか。


「つまり花を排除するために魔法が動いたってことぉ?」とリィラ。

「可能性はあるわ。カオルほどの魔法なら無意識に異物は倒すべきって考えてもおかしくないわね。なにかまだないの?」とパトリシア

「なんかここまであっさり信じられるとは思ってなかった」とカオル。

「筋が通ってるし調べてもいたからな。勝手に調べて悪かったな…」俺が言うと

「いいよいいよ。そっか。よかった。でもわたしが知ってるのはここまでなんだよね…あとはコーチの話してた情報も同じ感じだったし」

みんなは、なるほどねと頷き、ひとまず解散となり部屋から出るかとなって部屋から出ようとして殺陣が立っていたので出れませんでした。 いやこの人まだいたのかよ。

なので今日は入院だ。病院食はみんなで不味い不味いと不平不満を言いながらみんなで食った。

割りと楽しかったな。


次の日に退院し俺達は八人でラグーンエリアの海へやってきた。

夏休みは終わってしまったがまだ暑いからか海水浴客で賑わっていた。

水着はなかったがなんとなく来ようとなったのだ。

じゃあ何してるかというと

貝殻拾いである。

「あ、先輩」

「おー、朝霧どした」

「あ、いえ…貝見つけました?」

「ん~まだだな」

とカオルが海水を巻き上げて、でっかな蟹を堀当てていたフウラとリィラがキャッキャワイワイしていた。なにしてるんだ。楽しそうだけど。

それを見てる間も朝霧は俺をじっと見つめていた。

「うん??」

「……あ、あの…先輩…。先輩…のこと、名前で呼んでいいですか…?。龍太先輩って……。一緒に戦ったのに…。なんかよそよそしいので」

「いいよ。なら俺は瑠美と呼べばいいのかな?」

「!!。はい……!龍太先輩!」

「あら、なら私も一緒に戦ったし、いいかしら?」

とアウロラもやってきた。

「いいですけどアウロラ先輩はアウロラ先輩のままですけど」

「私は呼び捨て敬語じゃなくてもいいのよ」

あーまぁ、いいか。

「わかり、わかったアウロラ。これでいい?」

「はいよくできました」

という感じのやり取りをした。

そしてみんな貝殻拾いを再開する。

「あ、龍太くん、いいのあった?」

楽しそうに近づいてきた。さっきの蟹は海へ逃がしたらしい。

「おーカオル。どういうのがいいかわからなくてな。結局拾えずじまいだ」

「そうなの?じゃあこれとかどう?よかったらあげる!」

青色をした綺麗な貝殻だった。

「お~いいのか?。あ、でもカオルのは…?」

「わたしも同じの持ってるから!」

なるほど。

「ありがとう。それいただくよ。あとでそこの工芸体験に行ってストラップにしようか」

「うん!。あ。龍太くん」

「なんだ?」

「実はほんとはもういっこあるの。話してないこと。でもこれはあの時、みんなの前では言えなかったの」

「?」

「アウロラさんのことなんだけど」

「?」

「あの人はこの世界の神様…虹の女神だよ」

「………。マジで…?」

「うんマジです。記憶無くしてるって言ってたよね。多分その無くしてる部分がそうなんじゃないかなって」

「ちょっとすぐ飲み込めないが、なんというか納得はいくな…」

「そうなの?」

「うん」

俺は拉致された中、アウロラに抱きしめられた時まるで慈愛の女神のような包容さがあったことを話した。

思えば初めて握手した時も不思議な光景を見た。

「そうだったんだ。でもどうしよう」

「いや言わなくてもいいだろ。いつか自然に思い出すさ。本人も多分そのほうが納得しやすいだろうし。困ってたら助けりゃいいさ」

「うん、そうだね。よしじゃあ工芸体験いこっか」

「おう」

その後工芸体験にいき、みんなで拾った貝殻をストラップにした。


そしてちょっとこれからの事を話す。


俺、カオル、朝霧、アウロラのチーム。


余語、パトリシア、フウラ、リィラのチームは双方解散した。


俺、カオル、パトリシア、余語は再びチーム巫凪へ戻った。


残った四人の朝霧、アウロラ、フウラ、リィラは一緒にチームを組むことになった。

リーダーは朝霧とのこと。

ちょっとびっくりだ。

チーム朝霧ってチーム名で登録するらしい。


カオルの覚醒魔法に関しての新ネームは目下思案中らしい。


そんないろいろがあって、夏は完全に終わりを迎えていた。


次は秋だなと思いながら俺達は家に帰るのだった。



8章end

ここまで読んでくれてありがとうございました。


いつものネタバレになりますが8章はこれで終わりです。

ソーサリーズバトルどうでしたでしょうか。

今回は丸々戦いに文を書かせていただきました。

ムネアツな展開を書けていたらいいなと思っています。


では今回はここまでです。

次回はいよいよ9章に入ろうと思っています。

がもうすぐバレンタインが控えています。もしかしたら番外編を書くかもしれません。


ここまで読んでくれてありがとうございました。

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