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8章act2 美しい。だから怖い

こんばんはこんにちはおはようございます。

今日は夜の投稿になります!8章の2です!

どうぞ!

まるで、自分の中身が体を離れ、より広い視界の中にこのオレンジ色の世界の夕陽を収めるかのような感覚。


そういえば、前にもこんなことがあった。


そのあまりの美しさに呆然自失となり、精神が肉体を少しだけ離れて視界が広くなる、この感覚。


昔行った海のそのベランダから視た、眩い朝焼けの光景。

海の向こうから強大な力が徐々にせり上がってくる、あの光景に、胸を打たれ――心を奪われた。

そして、その時と同じだ。

今、自分は――恐怖を覚えている。

それも、単なる恐怖ではない。

自分でさえ、自分の心が何に対して恐れているのか、分からない。原因不明の、言わば生命の根源から湧き出た恐怖。

まるで、世界の偉大さ。

そのほんの端っこを指先で突いてしまったかのような。

決して侵されることのない神聖なる場所に、足の爪先だけ踏み入ってしまったかのような。


わたしは『世界そのものの姿』を、その『真理』たるものを、ほんの少しだけ垣間見てしまったのだろうか。


「せっかくだから写真撮っておこう」

カメラの画面が一面オレンジになってしまったが、何枚か撮ってみた。

スマホのカメラならこんなものかと何となく満足できたので良しとした。

今は、この夕日を目に焼き付けておきたかった。

夕日が沈むまでじっと佇んでいた。

そして、日が完全に落ちて、暗くなった空に星が輝き始めた後も、まだ佇んでいた。

(いつか、龍太くんと一緒に見たいな……ここじゃなくてもいいから、とっても綺麗な場所を)

 そして、彼に聞いてみるのだ。




ねえ





あなたも、怖い?




~~~~


始業式の朝練という項目でパトリシアからの授業の呼び出しで俺達は授業を受けた。

この学校には一般学校のルールがあるように、

もう1つ、魔法使いのためのルールがある。普通の魔法使い生徒は気にしないがチームを組んでると1度でも大きな事件に関わった人は割りと知ったほうがいいらしい。


1無関係な一般人間を巻き込んではいけない。


2例外として自身に危険が及ぶ場合、又は可能性が示唆する場合は使用を許可する。


3校外での魔法は基本禁止。しかし自ずが信じたなら禁止ではない。


4私闘してもよい。ルール人数は問わない。但し、私闘による申込みは相手の受理思考の自由となり挑まれた側が決定権を持つ。

そして私闘は1度挑み、再戦は挑まれた人が決定できる。


5公式による決闘は双方が決め、きちんと公平になるよう決めること。


7私闘、公式での戦いで相手を死なせてはいけない。


8これらを決闘法案と呼び上記に従う場合ルールは絶対である。


9敵と呼ばれる存在が確認された場合、討伐捕獲滅却浄化破壊粉砕すること。


10これらのルールは知る人ぞ知られている。口外は教えられた者からの許可が必要。


俺はふぅんとなり朝練を居眠りしながら聞く。

あれ?そういえば今日なんかテストだったような…?


~~


案の定、始業式初っぱなからテストテストテストテストテストだ。

「この学校いよいよ頭大丈夫か?!始業式からいきなりテストしまくる学校あるか!?」

「しょうがないわよ。私たちは夏休みの課題は適当に済ませて勉強そっちのけで修行とか各部活や委員会の手伝いしてたもの」

「たしかにそうだけど龍太一応赤点は回避したんだろ?」

「あぁ…だが」

余語の言葉に俺は返事をるが魂抜けそうな表情で机に突っ伏す顔をしている。(ようするにすげぇ顔してるぞカオル)を見た。

点数やばくて追試らしい。

シャルルが苦笑気味に言う。

「でも夏休み終わったのにいきなりテストは身体に堪えるよ~ボクも危なかったもん」

「まぁシャルルは落ちてると思ってたわ」

「パトリシア耳がいたいよ~」

パトリシアとシャルルと余語は笑う。

「志郎はどうだったのよテスト」

「俺は大丈夫だったよ」

「あらやるじゃない。なら今度私に科学を教えてくれてもいいわ、よ?」

「パトリシアは普通にお願いしたらいいのに~」

「シャルルうるさいわよあっちいってなさい」

と小声のパトリシア。


「うん。俺でよければいいけどパトリシアってでも科学そんなに悪くなかったよね?」

「いいじゃない私のためなんかじゃないんだから。一緒にいたいとかそんなんじゃないんだからね?文句ある?ないでしょ?」

「ないけど龍太と桜ちゃんも」

「二人でよバカ!」

「あ、はい」

俺はその二人のやりとりに思わず笑ってしまった。いい感じに進展中だなと。一方カオルは

「龍太く~ん…わたし、もうセカイをホロボスヨ」

「カオルが言うとなんか冗談に聞こえないのが不思議だ…。世界滅ぼす前に追試乗りきろう。合格したらなんか今日は美味いの一緒に食べようぜ」

「うん、一緒にいくぅ~」

途中からやってきたリセリスが「あ、漢文試験落ちてるわ…」と萎れていた。

リセリス漢文苦手なんだな。5点って…。代わりに英語が100点って、尖りすぎだろ。

霊峰は漢文が100点、英語が20点であった。

「リセリス漢文落ちてるのね。だめね勉強しないと」

「アンタだって、英語落ちてるわよねぇ…?だめよぉ勉強しないと」

「……う」

「リセリスさん大丈夫です。漢文今から教えてあげますから」

と葉山光が教える準備を始めていた。

ちなみに葉山光は、一年の中じゃだいぶ優秀だからな。「あれ?今日は紗奈はいないか?」と言うと、雑誌モデルの仕事らしい。なんかスター街道まっしぐらだな。っかテスト免除なのかあいつ。

魔女王の候補とチームアクセルサーガに俺達のチームが集まってこうして駄弁っているのは案外すごいのかもなと考える。

周りの同年生徒からの視線がやばい。

「カオル大丈夫か?」

「大丈夫、じゃない」

「ちょっと勉強するか…」 「うにゅ…」


そして放課後追試、

「じゃあ俺は近くで待ってるから」

「うん、はぁテストやだなぁ」

カオルの言葉に追試組は揃って息を吐く。

偏差値は低いからめちゃ難しいわけではないが、まったく簡単というわけではない。時々マジで難しいこともあるのがこの学校の可笑しな偏差値だ。

多分だが魔法国から来た人が基本成績がある一定分野科目が良いからなのだろうと考えてはいる。

リセリスや霊峰のがそれだな。

俺はとりあえず待っていて歩いていると

「おい、面貸せよ」

と知らない四人から声をかけられた。またかぁ…となる。

以前俺はちぎってはなげちぎってはなげと簡単に話したが、その絡みが多い。

「で、面貸したけどなんだよ」

学年一緒でも、そうじゃなくとこの学校には男が少ないが、四人集まってたら多く見えるよな。

歩きながら尋ねると、

「しらばくれんじゃねえ!俺は知ってるんだぞ。お前桜カオルに近すぎなんだよ!」

やっぱりこの話題である。

ちなみに三回目なのです。

「いやだって、俺はカオルのパートナーだし、そりゃ一緒にいるだろ」


言うと四人が崩れそうな顔になった。


「しかもパトリシアやリセリスや紗奈ちゃんまで!!!てめぇ勝ち組かふざけんじゃねぇ!!」


いやぁパトリシアには余語がいて、リセリスは知らんが紗奈は葉山とだろぅ?

っか、こいつらに言いたくないんだけど、しかも一部言えないんだけど。ようするに八つ当たりか。「それは俺に言われても…も?」

「てめぇ調子に乗るんじゃ!っておいこら、無視してんじゃねぇ」

「いや、あれ」


「ああ?…え?」

俺が指を指す方向に、向かい側の目立たない壁際に、数人の男女が女の子を取り囲んでいた。

さすがに俺も知らない四人も手と口が止まる。

すると会話が聞こえてきた。


「おぃ、なんとか言えよ」

「…や…やめて」

「ああ?聞こえねえよ」

「ちょっと可愛いからって調子に乗りやがって。お前のせいで私のせいになったんだろうが」

「…調子になん、て…ッッ!」

女の子からくぐもった声が聞こえた。お腹を殴られたのだ。

「私たちがまたかわいがってやるよ、立てよ!」

「や…だ…!痛い…!」

とついに女の子の長い黒髪を掴んだ。

また?

俺は絡んできた知らない四人を見た。

これってもしかして、イジメか?

ちなみになぜか四人も俺を見てきた。妙に変な顔で。

どうすればいい?みたいな目を向けてくんなよ…。突っかかる度胸あるくせにと思ってたら四人の中に一人が口を開いた。

「…ごめん。ちょっと突っかかりすぎた」

とすごいバツが悪そうな顔をしていた。

三人もまた謝ってきたからびっくりした。

女の子を取り囲んでいるグループはまだこちらに気付いてない。

「こいつ腕縛れ!」

とグループの一人が縄を持っており、もう一人がカッターを取り出した。女の子は目を見開き逃げようとする。だが抵抗しようにも女の子は腕力のある男に壁に押さえられ苦痛に耐えている。

カッターの刃を見せられた瞬間、女の子はガクガクと瞳をぐるぐるさせた。

それは恐怖、絶望、死を見ていた。

「俺達は…どうすればいい?」

四人の一人が聞いてきた。

俺は小さく息を吐く。


「あー…今度からそういう真似はやめろ。

突っかかる度胸があるなら、ちゃんと誰かを守れる度胸を鍛えろよ」


言うとあっさり

「わかった……じゃあ手本を見せてくれ」

「え?」

「俺達はどうしたらいいかわかんないんだ。お前のチームはすごいんだろ」

すごいのかなぁ…。すごいのか?。

「だから、俺達にはできないから、あの子をお前達で助けてやってくれ…!」

と四人は俺に頭を下げて言ってくれた。俺はそいつらの心意気は気に入った。

そろそろカオルの追試のテスト終わっちゃうな…と考えながらグループのほうまで歩いた。


当然ここまで来ると、女の子が気付いた。肌がすごく綺麗な女の子でちょっと目立つくらいに裂かれた傷が見えた。

「おい!何よそみしてんのよ!」

と一回ふりかえると、俺に気付いた。

その顔はしまった見られたって顔だった。

「イジメなんてこのご時世流行らないぞ」

「は?イジメ?なに言っ」

俺は言葉を待たず目だけで魔法を使った。

女の子がふわりと浮き上がり、俺の前まで受け止めストンと着地させ縄をほどいた。

「よっ、怪我はあるか。大丈夫か?やっぱり軽いな」

と聞くと女の子は頷いた。

大丈夫ではないことは明らかなのにこういう人間って大丈夫か?って聞いても大丈夫大丈夫しか応答しないからな…。

「んじゃとりあえず行くか」「おいまてよ!」

「あの…行くって?」

「保険室だ治療だ治療行くよ。あーこれ絶対カオル探してるだろうな…」

「待てって言ってるだろ!」

「ごめんなさい…」

「悪くないんだから謝るなよ」

「待てって言ってるだろ!てめぇは頭ないのか!ああ?」

俺はため息をついた。

「じゃあ今後この子に暴力をふるわないか?傷つけたりしないか?」

「は?」

俺と女の子に、踵を返すように言い歩きだす。

が、鎖の針が飛んできた。

俺は軽く頬を切った。

「もう頭きた!やるよ!お前ら!」

あーこれ穏便には終わらない奴だ。

一般高校じゃまず手がでると先生やらなんやら飛んできて説教だが先生少ないから、それがない。

俺は決闘法案を思い出す。

「君走れるか?」

「え…?」

「走れるか?」

頷いた。

「んじゃあ走るか~」

俺はこれを鬼ごっこという私闘と認識して始めてみることにした。やったことないし。そしてこの子を助けてくれと頼まれたあいつらのこともあるしな。

まぁこれ手が(魔法とか)でる鬼ごっこだけどな。

あのグループ、鬼みたいな形相で走ってくるし。


と思いながら静かな校内を走り続ける。

実はさっきから視線を感じる。誰だろうか。

一緒に走るこの子じゃないな。まぁいいか。

「そういえば君名前は?」「朝霧…瑠美です、っ!」

「朝霧か。あれイジメか?」

朝霧は少し怯えた感じに首を横に振る。

「ああいうのは反撃したっていいんだ。魔法使い同士なんだから」

「でも…」

朝霧はそのまま無言になった。

「鎖の針みたいな魔法ですでに傷はついたけどな」

とちょっとイジワルしてみたらこの世の終わりみたいな顔をされた。

「冗談だ。まぁ庇ったのは事実だけど」

一方グループはなかなか追い付けずにいる。

「普段から廊下を走ってないからだな」

「あなたは…走ってるん、ですか?」

「修行でな」

「??」

カオルが追試をしていた教室前を通過した。カオルいないな…。

「…誰か…探してるんですか?」

「え、ああうん。リンクをしてるからなんとなくここかなぁって思う場所をな」

「どんな、人…?」

「ああ~~ツーサイドで黒髪の俺の」

好きな人だと小さく言う。

俺達はダッシュした。

すると

「あ!龍太くん!とその女の子は?って!龍太くんほっぺ血が…!君もこの傷どうしたの!」

とカオルは心配の顔になる。俺は事情を説明した。

「ええ…?大丈夫なの?」

「イジメ?無くなるなら私闘のがいいだろ?」

「まぁうん。たしかに嫌だもんね」

カオルが小さく笑った。

つまり俺な何がしたいかというと、これを私闘という魔法使い同士の決闘にして、この女の子をイジメている連中への頻度を減らす作戦なのだ。

そして、

「追いついたわ!さぁ!」

グループのやつがカオルを見て構わず魔法を使ってきたのだ。

カオルはその魔法を自分に纏った風で叩いた。

「カオル、杖は使うなよ。カオルが杖使ったら多分こいつら数秒ももたないぞ」

「そ、そんなことないよ~。龍太くんも杖はダメだよ!龍太くんも使ったらこの人達5秒ももたないよ」

「う、わかった」

修行はするか実戦をなかなかしないし見せるにしてもチーム内だけだから、どうなるかわからないのだ。


「決闘ってやつだ。来い」

「上等だわ!」

女の子には少し申し訳ないがこの手を好機とさせてもらう。俺はパチパチと頭が少し弾けるがそれを気にせず引力を発破させ吹き飛ばした。

カオルは今度は手を鉄炮の形にして光の弾丸を撃ち相手を撃ち抜いた。

「こ、こいつら強すぎんぞ…」

「そぉーれ!!」

とカオルの掛け声と一緒にそいつも吹き飛ばして叩きつける。

「朝霧」

俺は朝霧に声をかけた。

「は、はい…?」

「魔法使いなら絶望するな。魔法は守りそして戦う力だ。だからこれからは自分を守るために使ってみな」

俺は朝霧に手を差し出した。カオルはもう一人をフラッシュで目潰しし、なにかを待つように俺と朝霧を見る。

彼女に宿る魔法の素質を俺とカオルで爆発的に引き上げるのだ。

彼女に宿る魔法を発露にしてそれを扱うことができれば、彼女には注目が集まり、名高い魔法使いとして名を知られることになるかもしれない。

そして朝霧はイジメの被害から解放されるかもしれないからだ。

「お前はここから始めるんだ。さぁ朝霧!」

「……ッ!」

朝霧は小さく頷き、俺の手を握る。場の雰囲気が変わった。

朝霧の周りに赤黒い靄が現れ始めたのだ。

それはまるで全ての恐怖と死を闇が飲み込んだ象徴のようだ。

「これは…なんだ??」

感覚で伝わってくる。



自分は幸せにはなれない。自分は生きてはいけない。

自分に居場所などない。友人も家族もみんな、敵。

死にたい。死なせて。だから誰か、誰か、


私を殺して


「龍太くんッ!!!!持ってかれないで!!」

「!?」

俺はカオルの言葉に意識を戻る。

いや戻された。

カオルから伝わってきた言葉は愛だった。

この人を守るという単純でシンプルだがシンプルゆえに俺なんかよりずっと真っ直ぐな心が俺を闇から引っ張りあげた。

「カオル!っ!!ありがとう!!いくぜ!!」

俺は杖をここで構える。杖に付いた玉石が輝きだす。

リンク制御の強化。

リンクの高い俺とカオルだから出来て産み出した新たな新技。

俺とカオルが、互いにリンクを制御し、さらに魔力をひとつの水の雫の波紋のように共鳴させる。これによって自分達以外のリンクをしてる人間の力を数倍跳ね上げる。というのが仮説だったが立証されちまったな。

闇はみるみる朝霧を包み、腕からはその霞でできた鈎爪ができ、背からはそれを纏う翼に、瞳は赤黒く染まり、そこから血の涙のような線が引かれる。うっすらと丸い闇の球体が朝霧を覆っていた。

さしずめ魔法名は黒霞の夕焼けって感じか?

朝霧は、声を張り上げ相手に向かって自分の力をぶつけていった。


~~~~


「まったく世話がやけるわね!二人とも」

「いや…」「いやぁ」

「いやぁでもいやでもないわよ!私が見てなかったらあの後どうするつもりだったわけ?」

「なりゆきでバックレるつもりだったが」

と言うと、お怒りのパトリシアが頭が痛いみたいな顔をした。

あの時からずっと視線があったのだがその正体はパトリシアだったのだ。

「で、でもパティちゃんあのままじゃ瑠美ちゃんだって辛かったはずよ」

「そうね、それはわかってるわ」

「パトリシア、二人とも反省はしてるんだから。」

と余語が言う。

「で、でも。わかってるわ。もちろんちゃんとわかってるわよ。でもさすがにイジメ止めるためにバトリましたみたいな感覚でバトルするなんて滅茶苦茶よ」


まぁ滅茶苦茶しましたね。

あのあと朝霧は自分をイジメていた連中を一人残らず倒したのである。

建物崩壊がなかったのはパトリシアが魔術を仕組んだ結果だった。

今は傷の手当てを受けて、一緒にパトリシアに怒られている。保健室で。

「まぁまぁそのくらいにしてあげて」

「御神楽先生いたんですね」

と余語。

「ぇぇ。話は聞いたわ。一般校じゃ停学物をしたんだってね」

「あー、すみません…」

「謝らなくていいのよ。イジメが無くなったかもしれないのはよかったし、それを見つけれなかったのは私達教師や講師の落ち度だもの。それに決闘だったら私達は基本的には何も言わないわ」

そして朝霧がボカしたグループは当然病院送りになったが大怪我ではなかったらしい。

「…まぁ、よかったわ。二人にも瑠美にも大怪我なくて」

とパトリシアからやっとお許しがでた。

「それでね、さっき朝霧瑠美さんの戦い、丁度動画が上がっててね。魔法名、もらえたそうよ」

俺達は「え?!もう?!」と声をだす。 俺達はどんなどんなとテンションが上がる。

魔法名がない人は何々使いと言われるのだが魔法が目立ったり活躍をすると名前が付くのだ。テンションが上がるのは学校での流行りみたいなのだな。

朝霧は自分の拳を開いたり握ったりする。黒い霞がチラチラと舞う。

「私の、魔法?」

「インターンで日本人が正式に付いたのはあなたが多分初めてよ」

そう、実は朝霧瑠美は中等部三年生だったのだ。

「それで名前は何よ?御神楽」

「ふふふ、"夕闇に誘う朧火"よ。検査の結果で半覚醒みたいなのよね。どこか"誰かさん達"がなにかしたんじゃないかって政府から言われたのよね?どう思う?巫凪くんに桜さん?」

「さぁ…スゴイッスネ~」 「すご~い!!」

俺とカオルはこの場をやりすごそうと考えました。

御神楽も笑っただけで深くは聞いてこなかった。

だが少し違和感があった。

たった数時間で一気に情報を集め、政府まで情報が届き返事まできた。

「今日のこの時間って御神楽先生だけっすよね」

「ん~~?そうよ?それが?」

「いや、御神楽先生、あなたもしかして」

政府の人間か?と聞こうとしたが唇に人指し指を指されたのだ。

「先生は勘のいいボウヤは苦手だなぁ~」

その言葉で俺は黙るしかない。仕方なく話を変える。

「朝霧は、これからどうなるんだ?」

「学校生活は一緒だけど大丈夫?」

朝霧は、考える顔をして小さく頷いた。

よく見たら彼女には目の下には隈があった。

あまり寝れてないのかもしれない。

「何かあったらまた俺達に相談してね」

「志郎の言う通りよ。かわいい後輩守るのが先輩よ!」

1度言いたかったのかこっそりるんるんしていたパトリシアだった。

「とまぁそういう感じだ。安心して学校生活楽しんでな。また機会がありゃ共闘しようぜ」

「また組もうね!反省はしているけど後悔はしてないもんね!」

「だな」

ちゃっかり俺とカオルはそんなことを言って締め括る。朝霧はそんな俺とカオルを見て少しだけ笑ってくれた。


~~~~

パトリシアと余語と別れ、俺とカオルは朝霧を送ることにした。が

「あん?お前らなにしてんだ?」

と音羽海斗がネギとうどんの麺とか人参とか入ったスーパーの袋を持って歩いてきた。

「先輩、こんちは」

「こんにちは~」

俺達は挨拶をし朝霧も軽く会釈し音羽の真横に立つ。

「お、瑠美、お前いい顔してんな?なんか楽しかったか?」

とワシャワシャと朝霧の頭を撫でていた。

俺とカオルは顔を見合わせる。

「知り合い、です?どういう関係なんですか?」

と俺。

「あぁ、いやま知り合いってか、瑠美は俺とあいつとで三人で同居してんだ」


「「はい?同居?」」

「相変わらず仲がいいカップルだ」と音羽は俺達をちゃかし笑う。

俺とカオルが照れ慌てる姿を見て楽しそうにした。

「若いっていいなぁ。まぁ俺の案件で瑠美を引き取ったんだ。さすがに魔法じゃない人間的凌辱やら暴力関連対応ならあいつも手は貸すだろ?」

あいつ?

「んな感じで面倒みてんよ。まぁたまに面倒見られたりもしてるがな……。あーじゃねえわ。今日の瑠美は何か少しいいことがあったみたいだし。魔法も解放してるみたいだしな。お前らのおかげなんだな。感謝するぜ」

相変わらず勘の良すぎる先輩だよなぁこの人。

ってまて?解放ったか?

「先輩よ」

「おぅなんだ後輩よ」

「朝霧瑠美は、魔法使いじゃなかったのか?」

「おぅ」

いや、おぅじゃねぇよ。

「おぅ!」

いやカオル、流行らせないで。

「しゃあねえだろ?魔法使いの保護帰りに、なんかヤバそうだったし家庭が、っかまぁその兄がヤバいってか、そのせいってか思い出してこいつは夜はよく泣いて」

「………」

朝霧が黙ってしまったので音羽も口を閉じて、「あーわり。つい喋っちまった」と朝霧に謝っていた。俺もそこを気にすることをやめた。

代わりに俺はこう言う

「こうして生きてることがいいんだよな。死にたいなんてきっと助けてくれの裏返しだもんな」

「………?!」

「お~おー喜んでんな」

音羽の言葉に朝霧はハッとしたかと思うとムスゥ!と顔を音羽に向けた。

「へいへい、悪かった悪かった。アイスあるから機嫌直してくれって。ってわけで俺ら行くわ。見送りあんがとさん!」

と言って二人は去っていく。

去っていく二人は、

「今日…うどん?」

「旨いの作るぜ、一緒に作るか?」

「うん」

「よっし!人参の花形に挑戦だ」

「うん…!」

などと、やり取りをしながら去っていった。

「親子みたいだね!」

とカオルが言ったので

「じゃあ妻が会長で、夫が音羽先輩で。娘が朝霧だな」

「あーわかる!」

と会話をする。

俺達もなんか旨いの食いに行くかと言ってカオルと一緒に食べに出掛ける。

~~


俺達もうどん屋で夕飯を食べ終わりその帰り道だ。

「わぁぁぁ!龍太くん!見て」

「なんだ?おお?」

太陽が沈みかけ夜になるその瞬間の光景。

「きれいだな」

「うん…。龍太くんあのさ」

「ん?」

「綺麗すぎるって恐いと思わない?」

「え?」

あまりに予想外な言葉に俺は間抜けな返事をしてしまった。

カオルは自分の言葉を認識してるのかいないのかそんな表情をして、太陽が沈む空を見ていた。

「この前ね、夕焼けを見たの。怖かったんだ。綺麗すぎて。触れちゃったっていうか。奥のほうに…。ほんとは触っちゃいけないのにね」

カオルが言いたいことがなんとなく理解できる気がした。似たような体験があるから。

それは幼い頃のとき早朝、陽光に照らされた雲海を目の当たりにした時。

まるで壊れた壁を今にも巨大な力が突き崩そうとするかのような、その金に輝くひび割れにも似た幾筋もの光に、心を奪われた。

そして、呑まれてしまった。その荘厳さに。人の力では変えられない、世界の理。

カオルの言葉を借りれば、世界のその奥の方。

感慨に浸りながら俺はカオルの横顔を見る。何かがおかしい。

瞳が淡い青色の光を帯びていた。

「カオル?」

「???」

「カオル、なのか?」

「そうだよ?他の誰かに見える?」

カオルは手を空へと翳す。

空の風が強くなり光がいっそうキラキラと輝きだす。

森が揺れ金色の木漏れ日を作り出す。

少しわかった。カオルの魔法はとてつもなく巨大で想像を越えるのだ。

「…あの地震を起こしたのは」

「誰だと思う?」

カオルはいたずらするような顔で言い俺を見た。

「引き起こしたのはカオルじゃない」

「……」

「もし君だったとしても、カオルはそんなことはしない」

「そっか」

もしカオルだったとしても、それはカオルの本意ではなかったと思うからだ。

それを聞いたかのように

「龍太くんは"綺麗だね"」

カオルは俺の瞳を見て言った。

「綺麗じゃない。カオルのが何倍も綺麗だ」

その言葉を聞いてカオルは笑った。そしてふらりとカオルは倒れた。

「カオル!」

俺は倒れる直前に受け止めた。

「あれ?龍太くん?」

「だ、大丈夫か?」

いつのまにか、青いなにかも消えていた。

「大丈夫だけど、どうしたの?」

「あ、いや。大丈夫ならいいんだが」

と俺は言った。

「綺麗だな」

「うん」

とカオルは俺に頭を預けてきた。

「カオル?」

「ちょっとだけこうさせて。まだ一緒に見てたいの。この景色を」

「…そうか」

俺はカオル肩に手を伸ばしかけて、やめてしまった。

俺は今なら自分のことを話せるかもと思った。だけど言えなかった。



今なら言えたはずなのに。


弱虫な心が痛んだ。



~~


「ただいま」

マンションの家へと入る。


帰りの途中、空を見ていた時わたしは浮き出る感覚に襲われた。

巫凪はそこから少し元気がなかった。

いや、なかったというより枯れたような感じだった。

「わたし何か悪いことしちゃったかな…?」

巫凪が時折見せる透き通るような人の中を見抜く視線。まるで心を見透かすようなあの目。

わたしは巫凪龍太が好きだ。恋愛には詳しいとは言わないけど巫凪を異性としてきっとわたしは好きなのだろう。かっこいいな優しいなと思う。彼の優しさには包容力がある。その優しさが大好きなのだ。

だけど、彼に少し怖さがあるのもまたたしかなのだ。わたしが隠してきたはずの《それ》を、あの美しい、悟りに満ちた瞳で見るから。


美しい



だから怖い



ここまで読んでくれてありがとうございます。

いつものネタバレですが、校内での出来事を書かせてもらいました。


新たに登場した人物は朝霧瑠美という中学三年生の女の子です。

中学生の中では非常に強い魔法使いとなりました。

学校内には決闘法案という物を今回書きましたがこれは本来ソーサリーズバトルのためにあるルールに近いものです。

いきなり「じゃバトルしようぜ!」なんて道端であったら困りますからね…笑。

巫凪はイジメ成敗のために決闘法案だ~と言う言い訳を武器に止めに行きましたけど。

今回のような出来事は停学レベルなるでしょうけど朝霧へのイジメを止めるためということと教員の落ち度ということでセーフという御神楽先生が言ってくれました。

イジメ良くない。ダメ絶対です。

これから朝霧瑠美には楽しく学校生活を送ってほしいものです。


物語はカオルの事を中心に書いてはいますが時々、巫凪の事が書かれています。

二人がどんな世界を作るのか楽しみです。


と、なんだか今回は後書きらしくない後書きになってしまいましたがここまでにしますね。


次回は8章act3になります。

ここまで読んでくれてありがとうございました!

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