5章act2 事件の陰
おはようございますこんにちはこんばんは
すでに10月の肌寒い時期となっていますが物語は夏の真っ最中です。
5章act2スタートです!
今日は休日。
なのに雨である。
そしてなぜかみんな、俺の部屋に集まった。
さて…と。
俺はみんなを見た。
みんなはきゃーきゃー盛り上がっている。
何をしているかって?何を盛り上がっているかって?。
人生ゲームしているのである。
どうして人生ゲームをしているかというと、俺が掃除をしていたらでてきたのである。
現在2ペア3チームずつに別れてやっている。
「よーし!次は私たちの番だね!ルーレットは……3?1、2、3……いやー! 紗奈ちゃん!家が燃えたんだけど!」
「え!?うう……あの時お金が心もとないからって火災保険に入っておかなかったのが裏目に出たね……」
両者共に自宅が全焼したショック(というよりかは多額のペナルティ)に落ち込んでいる。
「ふふふ、カオルチームは運に見放されたようね。じゃあ次は私たちの番、と。あ、リセリス、4以外ならなんでもいいから出すわよ!」
「オッケー!この私のルーレットテクを見なさい!……あらみて4よ。車故障して修理費プラス1回お手つき?!」
人の不運を喜んでいたのも束の間、あっという間にこちらも窮地に追い込まれて意気消沈している。
「じゃあ次は私たちの番ですね。ルーレットは……7。あ、泥棒を捕まえて感謝された、シャルルさん! なんかお金も貰ったけど」
「やったね光!このまま順調に進んで行けば、最下位にはならなさそうだよ!」
やるよりも見ている方が面白いことがある。
俺と余語は観客である。
不運なマスが現れてゲームが荒れ始めているのは面白い。
もう何ターン過ぎたかは誰も覚えていなかったが、みんな和やかにゲームを進行させていた。上位争い組と下位争い組で分かれてしまい、どちらも無駄にライバル意識を燃やしている。
「次は私たちのターンだね!ルーレットは……8!やった!一気に進めるね!」
「あの……カオルちゃん、落とし穴に落ちて1回お手つきって……」
「なんで!?なんでそこに落とし穴あるの!?ていうか人生ゲームで落とし穴って逆に珍しくない?」
「ふふ、不運は重なっちゃうのね。残念だったわねカオル!次は私たちの番」
「いや、車壊れたからお手つきよ…リセリス」
「そ、そうだったわ……」
「私たちは……4ですね。あ、なんかプレイカードを引けって出ました」
「プレイカードねー。はいはい。さあ、好きなの選びなさい」
「うーん……ここはシャルルさんに引いてもらいましょう」
「え、ボク?じゃあ……これだ!お?なかなか使えそう!……ほら光!」
「おぉ。でもこれ、カオルさんチームかパトリシアさんチームに使ったらイジメになっちゃうよね」
「仕方がないよ。この世は弱肉強食なんだから。弱者が肉となるのも必定なんだよ……」
「「「「何を引いたの?!」」」」
という賑やかな雨の週末を過ごした。
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学校内
「ねぇ知ってるかい?」
という余語。
チーム巫凪は???という顔を浮かべた。
授業が終わった長いお昼の放課ではチーム巫凪はいつも廊下で駄弁る回数が増えた。身内話って感じであまり周りの人は入ってこない感覚にちょっと不思議さを覚える。
「なにを?」とカオル。
「この学校の特進クラスの隣のクラスには、着ぐるみを着た生徒がいてね、なにもかも謎の生徒なんだ」
「なんで、んな変な奴がいるんだ」
「着ぐるみって頭からすっぽり被ったあれ?」
「そうパトリシア。合ってるよ。正体は何なのかってことでちょっと見に行こうよ!」
余語は楽しそうに言うので
「んじゃ行ってみるか」
と俺が言ったら
「ぅ、り、龍太くん」
「なんだ?カオル」
「いや、う、後ろ」
「ん、後ろって?…ッ!?」
背後にパンクパンダの着ぐるみ生徒が立っていたのである。
さすがに俺達は固まった。
「あ、いや、これはだな」
俺がなにを言うか悩んでると着ぐるみは何も言わず歩いていった。
「ふ、不思議、だろ?」と余語。
「ああ」
「一応人っぽい、わね。都市伝説とか幽霊?の類いではなかったわ…」
へ、へぇ。
で、まさか。
「なんで放課後まであの着ぐるみ追い回し調査してんだ俺達」
「いやぁなんとなく」とカオル。
着ぐるみについて調べたら。
性別は不明、学年も不明。魔法も不明、趣味も不明。どこに住んでるのかも不明。普段どこにいるかも不明。片っ端から不明であった。
わかるのはあだ名はキグルミンと呼ばれていることだけ。あだ名そのまんまじゃねぇか。
で、図書室にいるというのでスニーキング、つまり尾行をして隠れて観察している。
「いたわ」
「あ、ほんとだ!本読んでるよ!」
「あのキグルミンの生態を調べよう」
「もう宇宙人でよくないかあれ」
「なに言ってるんだ龍太。こういう奴こそロマンがあるんじゃないか」
「学者向けだなお前…」
「でもこのまま隠れて見てるだけじゃわからないよ?」
「カオルの言う通りだ」
「ってちょっと話してる間にキグルミンいないわよ!」
「「「なにっ!?」」」
「うーん、辺りにもいない。俺の引力センサーにも引っ掛からない」
「見失ったか!」
「いやあれは逃げられた、じゃないの志郎?」
「でも見て!キグルミンが読んだ本があるよ!」
「これは手がかりだよ!でかした桜ちゃん!」
「あー…ちなみに内容はなんだ?」
「犬猫の気持ち、だって」
「動物好きなのかな、あのキグルミンってやつ」
「というか、なんだよ犬猫の気持ちって。犬派か猫派かすらも分からないじゃないか!?」
「両方派とか?」とカオル。
「両方そうじゃないかもしれないだろ!?」
余語の声が図書室にこだました。
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授業の自習中。
カオルが授業に呆けて、まぁいつものことなんだが窓側を凝視していたことである。
「何を見てるんだ?」
「ん?あれ見て。なんかかわいいの」
「あれ?」
凝視してよくみると真っ白な兎のような生き物だが尻尾がある部分には翼があった。
その生き物が、雀とおしゃべりしているのが見えた。
「ああルシエルか…。こんなとこにも出るのか」
「ルシエル?」
「そう。俺も一回しか見たことなくてな。兎っぽいが兎じゃない。この学校と、この街に生息する生き物?なんだが、あまり人のいる場所には姿を現さないんだが。珍しいな」
「へぇ、あ、いなくなっちゃった」
「いや、姿を消したんだ。見えなくできたりとかできるらしいから」
「賢いのかな?」
「多分」
「放課後探そうよ!」
「え?」
「放課後探そうよ!」
「はい?!」
ってことで俺とカオルは学校の敷地内の森にやってきた。
「まさかマジで探すの?」
「探すの!」
「いやなんで?」
「あのモフモフそうなルシエルちゃんをモフモフしたい」
「モフモフしたいのか…」
まぁわかるような気がする。
「どういう生き物なの?」
「どういうって、この学校の、あるいはこの街の、もしくはこの地球の具現とか言われてたりするんだ。どんな探知物も術も効かないから一種の精霊とか神様とか言われてたりな」
ルシエルの瞳は綺麗な群蒼色で額には地球を象徴するような綺麗な色がキラキラ変わる宝石のような石のようなのが輝いている。とかなんとか。
「けどそうそう、見つかるはずが」「あ、いたよ!」
「はぁ!?」
俺は思わずマジかという顔でカオルが指した方向を見る。
木の上で陽射しを浴びるルシエルがいた。
「か、かわいい」
「たしかにかわいいが、どうやって、というか一日に二回見れるって相当な確率だぞ」
動物ってか神獣にも見える。
「おーいルシエルちゃーん」
とカオルは呼び掛け始めた。おいおい。
ルシエルは声に気付いたのかぱちりと目を開けた。
スッと俺達を見たような気がした。
ルシエルは動物っぽいが知能は人間以上なのでは?という見聞がある。研究テーマになったり密猟に狙われたりなどいいことばかりではないのだ。
だからこそ警戒してもおかしくはない。
ルシエルは翼を羽ばたかせ飛んでいってしまった。
「あー逃げられちゃったか」
「さすがにな」
「うう~~ん。あのモフモフをモフモフしてみたかった」
「本物は難しいが意外とぬいぐるみとかはあったりしてな」
「おー、見に行こうよ!」
ちなみにルシエルはグッズ化しておりこの街のご当地ではないが、オリジナルグッズで店舗に並んだりしていた。
いい綿と布を使っているからか値段とその出来映えは見事だった。あ~やわらかいわ。
とカオルと俺は一体ずつ買うことにしたわけである。
二度も見た話をパトリシア達にしたら、もちろん羨ましがられた。
というか、教室にいたことにみんな気が付かなかったんだな。
見える人と、見えない人がいるのかな?
~~~~
プールの授業だ。
「男女合同とか」
「まずびっくりだね」
俺ら男子は肩身の狭い授業になりそうだ。中でも
「これがプール?初めてみたわね」
と魔法国、異世界出身の女の子達の好奇心はとにかくすごかった。
で、その第一声がリセリスだったのだが。彼女の水着姿は、一言で言えばまたもうすごかった。
ある意味視線を集めまくっていた。
「なんだか水着って変な感じね」
とやってきたのはパトリシアである。
「あら?絶壁が見えるわぁ~」
「な!?誰が絶壁よ!というか顔見て話しなさいリセリス!どこ見て喋ってるわけ?!」
「胸」
「ツツッ!!??」
「だいたいパトは何言ってるのよ。断崖なまな板でも大丈夫よ!貧乳は♪す・て・え・た・す♪じゃないのぉ~」
「ひ、貧乳!?リ~セ~リ~スゥゥ!」
パトリシアはもうこの時点で、文字通り火を吹きそうな勢いだった。
普段隠している尻尾は尖り小さな魔族特有の羽も、大きくなり犬歯がギラギラしていた。
「今日という今日は!燃やしてやるわ!」
パトリシアは炎をまとい、綺麗な透き通るような炎へと変質して魔力がギラギラと揺れ始めた。
パトリシアは呪文を唱えた。身体にまとった魔力と真っ赤な炎が右腕に一気に集まった。
「あらぁ?貧乳は貧乳なのに~」
リセリスはわざとからかっているので。元よりぶつかる気があるようなのか、毒霧を変質させ鮮やかな翡翠の緑の槍へ変えた。
本能的に周囲の生徒は二人を危険と判断。
「みみみ、みんな!!ぷ、プールへ飛びこめぇぇぇぇ!!!!」
誰が叫んだか俺が叫んだか忘れたがとりあえずみんな飛び込む。
「吹っ飛べリセリスぅぅ!!」
「かかっておいでなさいな」
そこから先は二人の激突でプールは煙に包まれる。
プールに飛びこんだ皆は無事である。
本来プールは飛び込むなだがここじゃ飛び込まないとマジで死ぬかもしれない曲面は今の状況である。
「あれー?みんなしてなにしてるの?」
遅れてやってきたカオルが疑問符を浮かべながら言ったのであった。
いや、話すと長いんだけどな。
~~
特殊な二人
残飯を探してやってきた購買にて。
ん、あれはパトリシアか?
「どうした?」
「あら、龍太」
「ああ、いやなにしてんだ?」
「ん、ちょっとね」
と二人の女の子を指した。
中等部のルア・ナツナ。高等部一年、俺達の同学年の夏菜瑠花だ。二人は残飯にちょっとショックを受けていた。
「二人とも。残飯はないときはマジでないぞ」
と俺が言うと
「え?あ、こんにちは巫凪くんひさしぶりだね」と瑠花。
「こんにちは巫凪先輩」とルア。
二人は昔のツテで知り合いなのだ。
「ごきげんよう」と遅れてパトリシア。ルアは驚き
「ユピテルさま!おひさしぶりです!」と返した。
「あれ?知り合いか?」
「そうよ。ルア・ナツナ。たしか貴族領土の人間だったわよね」
「はい、覚えてもらえて恐縮です」
「それで…今日は仲良く弁当忘れたんだな」
と俺が言うと二人は頷く。
「なら、食堂行くといいよ。あー食券のあまりが…あった。はい」
「いいの?」
「いいよ?」
二人は受け取ってありがとう~と言って去っていった。
「ねぇ龍太」
二人の背中を見送りながら言った。
「なんだ?」
「あの二人なんか気にならない?」
薄い短い銀髪が瑠花、薄い影色髪がルアの二人を想像して俺は口を開く。
「あの姉妹か?」
「え?!姉妹なの?」
「らしい。小学のころ夏だ。二人は遊んでいたんだが、簡単に言うと妹が行方不明になった。警察にも誘拐、拉致の線で探したが見つからない。だから行方不明で話が終わってしまった」
「でも続きがあったのね」
「うん、妹はお前達が暮らす世界、異世界へと行った。こっちで言う神隠しだな。そしてこの世界が繋がって再び再会した。この世界とそっちが繋がったのは…」
「数年前ね」
「そうか」
「不思議な偶然ってあるものなのね」
たしかにな。
さっきも言ったがあの姉妹の妹は神隠しに遭遇したんだ。
そして何年の歳月を経て再び再会した。
ほんと、不思議な話もあったもんだな。
~~
職員会議、暑い季節では職員室内は冷えきった空気になっていた。
「数人の生徒が、何者かに襲撃されたそうだが葉山知っているか?」
「殺陣さん、知っていますよ。なかなかひどい有り様でしたから」
「もしかして花使い…でしょうか?」
「いいや御神楽、花使いだったら生徒は死んでいるはずだからな」
「まぁ張りつけとか宙吊りとか拘束、という古典的なやり口な襲撃ですからね」
葉山の言葉に殺陣は頷き口を開く。
「一応あったことだけ報告するぞ。昨日数人の生徒が襲撃を受けて先ほどの葉山の言葉の通り張りつけ、宙吊り、拘束されていた。同時に手酷くやられてもいた。被害者は全員が女生徒。今は意識はないが、命の別状はない。戦った痕跡もあったから魔法使用の戦いに間違いない。そこから調査をする。各教員は生徒に注意と臨戦になることを伝えておけ」
と会議は終了した。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
気付いたら5章まで物語は進んでいます。嬉しいものです。
いつものネタバレですが今回は三人の登場人物がでてきています。そして謎の生き物、ルシエル。
今後どう関わっていくか。楽しみです。
さて、今回は、人生ゲーム、異例な学校生活、放課後の出来事、プールの出来事、特殊な二人、最後に今回の題名にちなんだ事件の陰などを書か せていただきました。
魔法や都市伝説が絡むこの世界観ならではの書き方ができたのは嬉しいなと思っています。
改めて、今回登場した人物を紹介です。
夏菜瑠花
ルア・ナツナ
キグルミン
この三名です。
なかなか個性のある三名だなと特に思います。特にキグルミンとか。二人に関しては奇跡の再会だとやっぱり思ったりします。
またどこかで詳しく紹介できる機会があれば話していきたいですね。
では今回はここまでです。
次回は5章act3です!
それではありがとうございました




