5章 怖いけど楽しいみたいな?
お待たせしました
いよいよ5章の始まりです!
で、ひとまず今に戻る。
「とまぁ、こんな感じか」
「派手にバトルしたわよね~」とパトリシア。
「愛は勝つって感じで俺達負けたけどね」
「だけどそうは言うが志郎よ。あの戦い一から全部葉山が仕組んだんだから、正直最初から勝ち目あったか怪しいんだよなぁ」
「いや、ギリギリだったぞ。お前らの攻撃どういなすか悩んだし。桜から一撃もらうなんて予想外だったからな。あれは月島からの伝授か?」
「あ、そうです。見よう見まねだったんですけどね」
「見よう見まねであれか…」
「兄さんは頭で戦ってたからね」
「…言い方が頭突きしかしてないみたいな言い方だが気を取られてたのは事実だな。PRのほうも上手くいってたしな。良かったよ」
「だな。CDも売れに売れたみたいだしな」と俺。
「自分の声、こうなってるのねと知った日だったわ」
「さて、ここからちょっとダラダラするかもしれないが、人物結構出てくるんじゃないか?ってことで話すか」
~~
体育の授業。
「学校的には私学なんだよな」
「私学だね」
「まさかプールまであるなんてな」
「アハハ、龍太の中学はプールは?」
「あったあった。でも清掃はしなかったよ」
「俺んとこもそう。何よりプールも男女合同はびっくりだけどね」
「まだ先生少ないんだよな…ここ」
俺は以前の葉山達との対決を思い出す。
あの時、あの覚醒に対抗しうる力があれば
「龍太?」
「ん?ああ悪い志郎」
「俺の話聞いてたかい?」
「聞いてたよ、で、なんだ?」
「聞いてないじゃないか」
俺と余語は笑う。
辺りを見渡す。
「さっき言ったのはここは一般の授業は少ないんだねって」
「まぁそうだな…」
見渡すと広いプールを磨いたり掃除したりする一年生が楽しそうにしている。
リセリスとカオルが二人でどぉりゃぁぁぁとズシャアアとモップを振り回していた。おいおい。
パトリシアと紗奈はそれを呆れてるが楽しそうに加わっていた。さすがにモップは振り回していないが。
あの戦いのあとからクラスメイトは俺達の印象を大きく変えた。
いわゆる高等部一年の有名人みたいな感じになった。
カオルとパトリシア、紗奈はそれ以上だ。
ちなみにこの間。カオルは俺が知らない男子に告白を受けていたが断っていたのを俺は覗き見ていた。
「はぁ…」
「龍太さっさと告白しなよ~」
「それはお前だぞ志郎」
パトリシアもひっきりなしに手紙が下駄箱に入ってる。
紗奈はあれから上手く魔法を扱えるようになったのか人が集まるようになっていた。
俺と志郎のやりとりは毎回こんな感じである。
「龍太さっさと告白すればいいのに」
「いやうーん」
「とりあえず突っ走るタイプと思ってたけどそういうわけではないんだな」
「少なくともなぁ」
「お互いがんばらないとね」
がんばるってなぁ…。
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「はぁ~~~疲れたぁ」
「あら、志郎疲れたの?」
と、プールサイドに立ってるのは体操服姿のパトリシアだった。
「ああ、パトリシア。ちょっとね」
「そう、広いものね。無理はないわ」
「うん、プールするには掃除しなきゃだもんね。楽しみ?」
「ソウネ、タノシミダワ」
「な、なんで片言なんだい?」
「べ、別に。泳げないとかそんなんじゃないわ。そんなんじゃないんだから」
「う、うん」
パトリシアはツンデレである。僕はそれを知っている。
「まぁ授業でだけだし」
「それは、そうだけど水着には興味はあるじゃない?」
「うん?まぁ?うん?」
「だからダイジョブよ」
「いやだから、なんで片言に」
もしかして泳げないんだね?という言葉は言わないでおいた。
と、プールサイドの遠方、僕達がいる場所とは向こう側が騒がしくなった。
~~~~
「なんだ?なんか女子が盛り上がってるけど」
と俺は見ると、それはそれは美しい男がいた。
青いの髪に瞳は灰色。
イケメンすぎて思わず殴りたくなるような涼しいイケメンのような人物。
周りがきゃきゃっと歓声が上がる中、
「カオルは、あの人知ってるのか?」
「うん、友達が話してたよ。二年の先輩の」
「テティス・オーシェン」
いつのまにか隣にいたリセリスが補足する。
「まさかあいつも名前的にもしかして」
「そう。テティス・オーシェンは南の国の王族系統のやつ。海の王子なんて呼ぶやつもいるわね」
「あと、もう一人そろそろ編入してくるやつの、許嫁?」
パトリシアと余語も合流。
「もう一人?」
「あら?知らなかったのね。今日会議があったのよ」
「パトはいいわねぇ、権限大きいから職員会議に出れるもの」
「しょうがないじゃない。私だって好きで会議にはでないわよ。まぁもう一人はそのうち話す機会があるわ。今日はちょっとまた別でね」
パトリシアの会話から見るにあまり良くなかったような話だったのかな?
俺達は首を傾げた。
ちなみにそのもう一人というのは、後にわかったのだが、南の国の魔女王候補のお姫様だという話だ。
プール清掃も一段落し、大量の塩素水が広大なプールに注がれている。
満タンになるまで2日かかるようだ。
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会議の内容はあとから聞けるとして、とりあえず昼放課なのだが、事件が起きた。
校内が騒がしいので俺は廊下を慌てて走る生徒を捕まえた。
「この騒ぎはなんだ?」
「ああ?、お前知らないのか!生徒会の3番をかけてソーサリーズバトルがあるんだよ!じゃあな!!!」
とダッシュで行ってしまった。
三番?俺も行ってみるか。
と、俺は人の流れを追うとまた違う会場に着いた。
俺は客席に着くか立ち見をするかで悩んでたら
「龍太くーん!」
とカオルと生徒会長が一緒にいた。
「カオル。生徒会長、一緒にいたのか。珍しいな」
「この間の戦いの話をしててね。というか私の名前、生徒会長じゃないからね」
この感じだと余語やパトリシアも来てそうだな。
「会長とはさっきまで光の魔法について聞いてたんだ~」
「おお、そうなのか」
「うん、それで会長が忘れてたって言うから一緒に来たの」
「へぇ。というか会長はバトルでないんすね」
「ああ、今回はちょっと喧嘩に近くてね…」
会長が困り顔で言う。
「はい?喧嘩?そもそも三番とかいろいろ聞いたんですが」
「それは僕が説明するよ」
と、田辺がやってきた。
生徒会は12人まで構成されたメンバーだが実は奇数偶数の派閥がある。
奇数派閥は学校という基盤を守り副顧問の指示にて動くこと。
偶数派閥は学校やら学外の均衡を守ること。
簡単に言うとそういう意味らしい。
「いわゆる学校のためならなにもかもを切れる派閥と、それらとどう接するかの派閥があるってことか…」
俺の小さな呟きは田辺に聞こえたらしく
「まぁね。ちなみに僕は後者になるよ」
ほほう。
「それで田辺先輩、今から対戦する人は?」
カオルの問いに
「今から戦うのは第三位の人と違うクラスの同学年の人だね」と会長は答える。
なんでも家庭科の授業で揉めたらしいのだ。
「あの…家庭科で揉める理由がわからんッス」
「まぁ知る人は知らないからね。第三位の人、ああ姫野桃って名前なんだけどお菓子を作るのが上手くてね。森宮市で出てる喫茶にオリジナルのスイーツやお菓子は全て彼女が生徒会の権限を使い彼女が作って広めたものだよ。食べたことは?」と田辺。
「あー…あったけ?」
「龍太くん!マカロンだよ!マカロン!」
「あー?あ、マカロンか。たしかにめちゃ旨かったな。ってことは調理手順とかで喧嘩したのか」
「そんなとこだろうね」
俺には多分理解できない。
「それで対戦相手は生徒会ではないんですよね」
「そうだよ、でも覚醒しているし、相当強い」
掛札に姫野は生徒会脱退を付けられているのか?
対戦が成立するくらいだからな。可能性はある。
そして両者がフィールドに立つ。
バトルルールは《ダメージポイントリーダーシングル》
姫野は腕にでかいぬいぐるみを抱きながらやってきた。無表情で。
対する対戦相手は、怒りを露にしていた。
対戦相手名は、佐原清実。
対戦開始のホイッスルが鳴り響く。
佐原は鏡を扱う覚醒魔法者だった。周りから見ても強いとわかる人だった。
姫野はかなり小柄な女の子なので佐原は鏡を駆使し素早さや反射速度でダメージを与える動きで攻めていく。
だが、俺達が佐原が有利だろうと思われたのがここまでだった。
バトルが終わるまで佐原は姫野に1ダメージも与えれなかった。
結果は0対1567で姫野の圧勝だったからだ。
観客の俺達は皆息すら忘れていた。
点数を見てではなく姫野桃の戦いを見てだ。
佐原は壁に思いきりめり込んでおり、すぐに保険委員に運ばれた。
姫野は対戦開始から手足一つ動かしていなかった。
観客はただただ沈黙していた。
周りから見たら鏡を駆使し迫り攻撃を仕掛けた佐原だが、突然壁まで飛ばされた。そこから永遠のダメージと痛み、という光景しかなかったかもしれないが俺には、姫野を囲ってる巨大な骸骨の怪物が佐原を投げ飛ばし永遠と佐原を殴りを繰り返しているように見えた。
多分、カオルにもそう見えたはずだ。
カオルは口許に手を当て息を飲んでいた。
「カオル大丈夫か?」
「…ん、大丈夫だよ。だけど怖いね」
「そうか、…とりあえずここから出るか」
「うん」
会場から出たあとカオルは言う。
「あれが戦いなんだね」
「まああれは理不尽すぎたが」
「わたし達もああ見えたのかな」
「どうだろう。少なくとも理不尽ではなかったから、そうは見えてないかもな」
「そっか」
カオルはあまり戦いは好きなほうではない。
それはわかっていること。
少なくともあんなひどい戦いはカオルも誰も好まないだろう。だけど
「だけど、あれにどうやって勝とうって考えるとうーん…ワクワクしないか?」
「龍太くんはワクワクするの?」
「いや、あんな試合を見たらさすがに俺も怖い。でもワクワクもするんだよ。少なくとも俺達はあれが見えてた。つまり勝てるチャンスはある。必勝はあるはずだ。そう考えると楽しくなる」
「怖いけど楽しいみたいな?」
「ああ。まぁ俺だけじゃ勝てないだろうけど。あんなやばい相手だし。でもまだ少ないけど俺達がやってきたバトルは楽しかっただろ?」
「ーーー。ふふ。うん。楽しかったし怖かった。ソーサリーズバトルは怖いからこそ楽しいスポーツなんだね」
カオルが笑ってくれた。
しかしスポーツと来たか。言いえて妙?かもしれないな。
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とあるHRで
「はじめまして!ボクの名前はシャルル・レーベル。魔法国南の国からやってきました!よろしくね!」
という褐色肌の元気な女の子の声が響いた。
その転校生の話は俺達のクラスにも届いた。
とはいえ、俺達はパトリシアとリセリスからプール掃除の時に話を聞いていたのでびっくりはしなかった。
まぁびっくりしたのは、この子はあのテティス先輩の許嫁という話である。ことくらいか。
当然パトリシアと組んでる俺達はシャルルと会う機会があった。当然リセリス達もだ。
「はじめまして、チームの皆さん!噂はクラスからもきいてるよ!すごいチームだって」
俺達は、わぁぁありがとうという感じである。
「これでこの学年に北南西の魔女王の候補が揃ったのか。壮観だな」
俺が言うと
「なんか動物園みたいになってきたような」
とカオルの呟きに「たしかに」と笑って返す。
通称青春サファリパーク。
「つか、パトリシアとリセリスにシャルルが揃うと大事な話する感じで変な感じだね」
「あらそうだけど志郎」
「マジか」
「それじゃこの間あった会議であった話を話すわね。」
~~~~
今日は朝の職員会議である。
「お、パトリシアおはよう」
「おはよう葉山先生」
教員も挨拶は軽く済まし会議に入るのだが、高級なソファにムニャムニャと寝ている薄着の女性がいて、葉山が「うげぇ…なんでいるんだ」と呻いた。彼女を知らない教員もいるというのに。
しかもあんな格好で。
この世の矛盾を現すくらいの美体の肌を晒し溢れそうな胸を見てパトリシアはげんなりする。
「それでは会議を始める」 と奇妙な会議を殺陣が始めた。
「--授業方針はここまでで魔法魔術の育成を主とする。では次だが」
と殺陣はチラリと寝ている女性を見た。
「…ん、私の番か」
「そうです」
「そうか、ではまず自己紹介からだな…。
私はこの学校の理事を務めている。名はアリシア・ユピテル。北の国の女王だ」
つまりパトリシアの実の母である。見渡すように見て、口を開く。
「この学校に東の国の使いはいるか?」
その問いに誰も答えない。
すると静かに扉が開く。
「すみません、生徒会の会議が長続きして…とおや、これはこれは北の女王陛下。いらしていたのですか」
「ファルシか。お前タイミングを伺っていたな?で?」
「偶然ですよ陛下」
「そうか」
アリシアとファルシの異様なやりとりに葉山は手を挙げた。
アリシアは葉山を見た。
「貴様、なんだ?」
「葉山光代です。東の国という単語は理事長がおっしゃっいました。何かあったのですか」
「…もとよりこの学校は魔法国から来る東西南北の使者がやってきて生徒、指導者がやってくることは知っているな?」
「はい」
「そこには東の国も当然含まれておる。だが去年の高校三年を卒業した奴が国に帰ってからその東の国の使いの存在がいない。今日私がここにいるのはその事情を知りに来た」
つまり東の国になにかが起きている可能性が示唆された話だった。
~~~~
「っていう話よ」とパトリシアは笑う。
「いや、意外と笑えないんだが」と俺。
「ボクが来る前も東の国って単語すら聞かなかったよ~。テティスによろしくーってくらいだよ」
「そうねぇ私が来るときも学校ではおしとやかにって言われたし」
「貴女の頭の中におしとやかって単語あったのねリセリス」
「あるわぁよパト」
「とりあえずこの話はここまでなんだね」
とカオルがいうとみんな頷いた。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
いつものようにネタバレしますが今回は4人の新キャラが出ました。
異世界、南の国出身、シャルル・レーベル。
同じく南の国王様候補、テティス・オーシェン。
森宮学校理事長&異世界、北の国現魔女王、アリシア・ユピテルです。
佐原さんは今回姫野の魔法を知ってもらうため登場しました。またどこかで出せたらいいなと思っています。
アリシアはこの学校を作った立役者でもあるのですが実はとんでもなく自堕落という言葉が似合う魔法使いなのです。
これがパトリシアの母かぁとか思ったり正直性格全然似てない親子ですね。
今回は初めて巫凪達以外の人がソーサリーズバトルを行わせてみました。
ソーサリーズバトルはこの物語では一種のスポーツみたいなものという扱いではありますが、攻撃を貰えば怪我などはしないけど代わりに痛みを伴います。
試合に立つ者。試合を見る者。この違いを巫凪達は簡単にではありますがそれを知ります。
楽しくもある。だけど同時に怖いこともある、ということです。
今回はスポーツに対して怖いことは楽しいという言葉を考えました。
他のスポーツでもそうですが、自分より強者の相手や何か敵わないことがあると怖くなることがあります。
でもそれを真剣に受け止め、考えて、勝とうと思い楽しいと思う何かがあれば、怖いことは楽しいと思えるのかもしれません。
もしかしたら他にもそう思えることもあるかもしれませんけどね笑
では今回はここまでです。
次回は5章act2ですー!
ありがとうございました!




