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勿忘草の丘  作者: 中さん
第3章 僕は君が好き、君はあの子が好き。
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94話 大怪我をした師匠様

世羅の怪我の事を聴いた私達は、すぐに雷華さん達が住まうアパートに向かう。203号室の錆びついた扉を開けて中に入ると、そこには白い毛布にくるまる白髪の少年が、静かに寝息を立てていた。

瀕死と言っても過言ではない傷を負った少年の側には、キジトラ猫の姿になった彼の弟がいて、兄を心配する様に見つめていた。今の兄の状態をちゃんと理解している様で、側にちょこんと座っている。本当は早く目覚めて欲しいのに、そんな想いが痛い程伝わってきた。

世羅の身体には所々赤く滲んだ包帯が巻かれていて、顔には絆創膏が一つ、二つ、三つ…… えーっと、一体誰が包帯を巻いたんだろう。

まぁそんな事はどうでもいいとして、一度世羅の怪我の様子を見てみようではないか。

怪我は特に腹の周りが酷かったようで、他の所よりも入念に包帯が巻かれている。下半身よりも上半身の方が、包帯の量が多い。

相手が自分よりも大きかったのか、強かったのかは知らないが、頭にも包帯が巻かれているのだから、あの化け物に殺意があった可能性は高いだろう。

すると、紗羅は百合亜さんから聞いた情報を、私達にも教えてくれた。



「さっきゆり姉から聞いたんだけどね、もう街の火と魔物の軍勢は抑えたみたいなのよ。それにしても、今回は被害が小さくて良かったわー。街の生誕祭も近かったし、死傷者だって少なかったし……」

「え、じゃあ、街が全部燃えたわけじゃないの?」

「そう、住宅街の東の畑が集まる所だけだから、澪達は大丈夫よ。本当に運が良かったわね、お出掛けから帰ってくるのがあと1時間遅かったら、皆も危なかったんだから」

「あぁぁぁ、とりあえず澪が無事なだけで十分……」



どうやら今回の襲撃は小規模で、死傷者もあまり出なかったらしい。といっても犠牲者が出たことに変わりはなく、百合亜さんは落ち込んでいるそうだ。

澪の無事を私に確認させた後、心配そうな表情に逆戻りしてしまった紗羅は、一矢と勇助も呼んで相談をしたいと言う。

既に二人にはこの事を知らせてあるので、そろそろ来る頃なんだとか。



「お邪魔します! 世羅、大丈夫か!?」



おっと、丁度いいタイミングで二人が来た。一矢の方は分からない部分があれば話をぶった切ってでも尋ねるタイプの奴だが、今回はこいつの無駄な質問をスルーして、とにかく話を進めよう。

まず、最初に簡単な方から行こう。世羅の治療方法についてだが、世羅は大抵の場合数週間もあれば回復するらしい。しかし、今回ばかりは"奴"がまた来た時のために、急いで治さなければいけないのだ。だからあっちの世界のケミストリーという町にある、アルセニック湖のほとり付近の、クラーレという凄腕の医者を探そうという事になった。

じゃあ、あっちの世界に行くにはって? さっき百合亜さんが魔物と火を抑えてくれたから、もうしばらくすれば安全に行けるようになるんだとか。

だから来週の土曜日、その凄腕のお医者様に会いに行く。

となると、世羅がどうやって帰って来たのかが疑問だが…… 私が見た夢のように、湖をくぐってきたのだろうか。

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