表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勿忘草の丘  作者: 中さん
第3章 僕は君が好き、君はあの子が好き。
96/176

91話 少女の追憶

「本当に、誰なんだろうね」



初めて魔法使いの街に訪れ、自分の周りに多くの仲間がいることを知った主人公。

同級生の帰国子女の謎も解け、3班の絆が深まったのはいいのだが、彼女らにはまだ気がかりな事があった。

紗羅の双子の兄である世羅は、今も生きているのだろうか。

そして、一矢にそっくりなアレンの正体とはなんなのか。

_____世羅がこの荒澤町に着いた時、新たな出会いが彼女らを待ち受ける。


〜離れていても忘れない、母と子の物語〜


あの後、紗羅はすぐに回復。そして学校にいる間は、彼女のことをルシアと呼ぶ約束をした。あの後は普通に授業を受け、それを乗り越えた今は給食中。所々ふやけている枝豆コロッケに、ドレッシングがかかっていないごぼうサラダが襲いかかる。

私達3班は、異世界の姿を知る秘密の班。だから紗羅は安心しながら、昨日火の海になった自分の街の過去を話してくれるのだ。それは、所々詳細が抜けた部分もあったけれど、とても壮絶なものだった。


過去に3度、昨日の様な事件があったらしい。世界を自分が支配するというありきたりな野望を叶える為に、征服の邪魔になりそうな魔法使いが集まるこの街を、突然"ヴァイス"が襲ったんだとか。

唐突すぎる"奴"の攻撃に、平穏な生活をしていた人々はパニックに陥った。今まで争いが無かった街だからこそ、特に。



「ホントに大変だったんですよー、平和ボケがすごくて」



それは、襲来を2度目から経験した紗羅と世羅も同じだったという。

目の前で友達が死んだはずの世羅だけは、何故か冷静だったが…… 深い事は教えてもらえなかったけれど、世羅は血などが平気で、友達が死んだのはショックだったものの、立ち竦んで動けなくなる事はなかったらしい。すぐさま友達のもとに駆け寄り、魔物に反撃したそうだ。

しかし、これが数年経つとまた復活…… こうして3度目の襲来に繋がるんだとか。

世羅にだって人間らしい感情もあるのだが、何処か冷めている。敵ならば殺すとキッパリしていて、それに関しての抵抗が無い。「生まれつきだよ」と、紗羅は土曜日のあの日につぶやいていたな。



「えー、嘘だろ。世羅ってそんなに怖えのかよ?」

「確かに、スイッチ入ると相当ヤバいですね。ザコ敵くらいなら、本気出さなくても一瞬で数体いけると思います。でも、それは敵に対してだけですから」

「俺達は no problem……?」

「そういうことですね、一矢」



そして3度目の襲来、今度は雪山の魔物の退治中に"奴"が街に現れたが、苦戦の末無事勝利した。亡くなった人々の仇を討つため、総力で"ヴァイス"に立ち向かったそうな。

ちなみに、"ヴァイス"が残した爪痕も未だに残っているらしい。人の心や自然の中の爪痕は、簡単に消すことが出来ないというのに…… ということは、街の建物にヒビが入っていたのは"奴"のせいだったのか。

こうして、"奴"を倒した後の事。1度目の襲来の数ヶ月後に何者かに連れ去られた後、いつの間にか戻って来ていたロックさんは、数年振りに幼馴染達との再会を果たしたという。

そして、そんな"奴"が取り憑いていた人の体が、百合亜さんの父である、満さんの亡骸だったのだ。



「あれはガチでビビったらしいですよ、私は結局見てませんけど……」



このような酷い過去があってもなお、街の人々は諦めずに何度も復興した。

当時の襲来の被害者は、ほとんどが他国からやってきた人々と、他国と仲良くやっていこうという意見を広げていた魔法使い達だった。

ただ、"奴"は殺した人に何か恨みを言うわけでもないので、単純に"奴"の力だけが暴走しているだけだと思われることもしばしば。

他国に恨みがあることは、間違いなさそうだが……



「簡単に言えばそんな所です、あの時は本当に酷かったです」

「た、大変だったんだな」

「待って、それだとおかしい。"奴"が3回目の襲来で死んだなら、昨日の事はありえないはずでしょ?」

「じゃあ、また復活したって事なのかな」

「そうかもしれませんし、そうじゃないかもしれません。あの襲来のせいで街の結界が歪み、あっちとの連絡もままなりませんし……」



"奴"がまた復活したかもしれない、か。

あっちの世界と関わりがある私達は、特に気をつけなければいけないと、元気を取り戻したルシアは念押ししていた。"奴"が何処で私達を狙ってるか分からないし、一矢の方は世羅が留守だから、私が守ってあげないと。

私はそう言って気合を入れたが、空になった食器を重ねるルシアは、今のところは大丈夫だと言う。

時空の歪みか何かができなければ、霊は世界を越えられないんだとか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング

匿名での感想・評価

感想はこちら

※感想掲示板 雫封筒(外部)へ移動します

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ