表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勿忘草の丘  作者: 中さん
第2章 異世界への一歩
85/176

83話 町内一周の前に

「うおーい、雪菜ー!!」

「あ、もう来たんだ」



私が想い耽って空に手を翳していると、どこからか一矢の声が聞こえてくる。さっきまで座っていた庭石から立ち上がり、辺りを見渡したら、一矢が向こうの道路で手を振っていることに気づいた。数の子の粒くらい小さいから、発見までに時間がかかったわー。おっと、他のみんなも後ろから歩いてきている。早く門の前まで行かなければ。

私の家に訪ねてきたのは、昨日と同じメンツだった。雷華さんの身長だけ飛び抜けて高いせいで、我々が小さく見えるのが悩みどころ。それと雷華さん、貴女バイトはどうしたんですか。そんな疑問が頭の中を巡ったが、そんな事は御構い無しに、ランニングしようぜと言い出した一矢氏。それを聴いたあっちの世界組が、何かをつぶやいていた。



「体力作りのために町内一周か、若いのはよくやるなぁ」

「この辺りは車が多いし、私らの世界に来てから走った方が楽しいと思うけどな」

「はいはいそこの方、文句言っちゃダメですよー」

『へいへい』



雷華さん達の文句を静めた後、腰に手をおいたアレンは話を進めていく。日程管理は一矢よりしっかりしているアレンは、今日の日程をペラペラと喋っていた。現在の時刻は10時くらいだろうか、今から町内をジョギングで一周した後、11時半頃まで魔法の練習をする。それから一旦家に帰って昼食を取ったら、今度は1時半に水峰寺に集合して、澪達がいるあっちの世界へ会いに行く。

澪はまだ準備をしただけで、魔女にはなってないから、私が魔女になる姿を見届けてあげるんだ。知ってる人と一緒にいた方が、彼女だって安心できるでしょ?

一矢の儀式みたいな物はどうだったか知らないけど、一応世羅が付き添いしてたみたいだし。やっぱり、あんな簡単な作業でも、ひとりだけだと心配なものだから。



「なぁ勇助、走ってる間に魔術のしりとりしようぜ」

「うん、その方が疲れないし、楽しいだろうね。繋木さんも一緒にやる?」

「そう言われても私、魔術名称には詳しくないというか……」

「えぇー、いいじゃねぇかよー。勘でやろうぜー」



走っているだけだとそれに集中しすぎてすぐに疲れてしまうのを、一矢は知っている。だから、それを紛らわすためにしりとりをやろうと言うのだが、さすがに魔術名称限定はキツすぎる。アレン達には、魔法は想像だけで操作できると言われただけで、技の名を教わった覚えはない。今朝言ったエクスプロージョンだって、何処かのゲームで聞いた事があるだけだし。なんたって全部想像で操っているから、難しい名称を覚える必要すらないのだ。



「実は俺も、そういうのはあんまり詳しくないんだよなー。なんでもアリならやってもいいけど……」



ほら、先輩魔法使いの世羅だって知らない。彼の基本的な戦闘方法が銃とジャックナイフだけだっていうのも一種の問題だと思うけど、しりとりが出来る程に魔術の名称を知ってる人なんて、日之影家の三姉妹くらいじゃない? それに、一矢だってそんなに知らないじゃないか。そもそも、昨日魔法使いになったばかりだし。



「うーん…… やっぱり、なんでもアリにするか」



そんなこんなでしりとりやら雑談やらを進めつつ、私達はなんとか町内を一周したのだった。あぁ、足が棒になりそうだが、脇腹が痛くないだけマシか……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング

匿名での感想・評価

感想はこちら

※感想掲示板 雫封筒(外部)へ移動します

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ