81話 五寸ばかりなるよぉ
オハヨウ! オハヨウ!
今日も私は、愛用している目覚まし時計で目を覚ます。明るい声で鳴る目覚まし時計を手さぐりで探し、ベッドの角で右手の小指をぶつけた。これは実に痛い、グキッと音がなってしまったではないか。
……あれ、そういえば今日って日曜日だよね。叔母さんもまだ寝てるだろうし、早起きする必要なんか無いじゃない。
もぞもぞと布団から頭を出して、ぼんやりと辺りを見回す。小さなアレンはまだ、押入れの中で寝ているだろう。あーあ、なんで目覚まし時計をセットしちゃったんだろう。昨日いろんな事がありすぎたから、平日のクセでセットしてしまったのだろうか。いろんな事がありすぎて、体が日曜日も過ぎたと勘違いしてしまったんだな。どうしよう、まだ6時32分。
やることなんて、特にないのに…… そうだ、アレンに起きてもらおうか。
「アレン、起きて」
「う~? 今日は日曜日だよぉ」
「握り潰すよぉ」
「!?」
アレンを言葉の力で誘導するよぉ。今のアレンは小さい(15cm)から、ぐっと握ればプチっと逝くよぉ。
とまあ、そんな事はどうでもいいとして。実はついさっき、私の寝惚けた脳内に、魔法の練習という考えが浮かんだのだ。平日はあまり練習できなかったし、昨日はあっちの世界に行ったりして忙しかったから、この時間にやるのがいいだろう。確かにアレンには、わざわざ早く起きてもらわないといけないかもしれない。自分の勝手な都合で、彼を振り回してしまうのは申し訳ないけれど、
そういう事だから、さっさと起きなさい。
「ちょっと待っててよぉ」
「エクスプロージョンするよぉ」
「!!?」
はい、さっさと起きて。五寸ばかりなる人から、元の大きさに戻って。竹から出現した姫じゃないんだから、3ヶ月かけないで。
のそのそ起き上がるアレンを、視線だけでちょいちょいと急かす。寝惚けアレンが自分の体を原寸大に戻す魔法を、押入れの方でかけている間、私は叔母さんを起こさないように、静かに階段を下りて居間に向かう。横長の茶色いタンスから服を引っ張り出して、洗面所に足を運び、タオルが入れられた小さなタンスにパジャマを置いたら着替える。そしてこの間、近くのスーパーで買ってもらったチョコ味のシリアルを取り出し、底が深い皿に盛った。最後に冷蔵庫に封印されていた牛乳をかけて、スプーンでグルグルしたら完成。アレンが目を擦りながら階段を下りてくる頃、私はスプーンでシリアルの欠片をいじっていた。
「僕もシリアル食べるよぉ」
「お子様だよぉ」
「!?」




