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勿忘草の丘  作者: 中さん
第2章 異世界への一歩
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69話 ロング黒もやし

世羅達と合流した後、私達は花屋に寄り道してから森に向かう。小走りで花屋に向かった雷華さんは、そこでカーネーションを数本買ってきた。

家族か誰かにあげるのだろうかと思ったが、そういえばあの家には成人している人がいなかったな……


まぁ、そんな事よりも、気になる事があるのだが。


雷華さんを待っている間、私達が興味をひかれていたのは、買い物ついでに武器屋に寄り道した世羅と一緒にいたロックさんの背の高さだった。

身長193cmで、巨人の割には細くて華奢な体つき。長い足も何もかも、本当に細かった。

雷華さんや世羅が彼のことをもやしだと言ったのも、今なら分かる気がする。

世羅曰く、強いて言うなら"ロング黒もやし"らしい。背は高いし、服は黒色や緑色が多いし、黒髪で黒眼だし。

まだ詳しい事は分からないが、外見だけでこれだけ言えるんだ。きっと凄い人に違いない。



「なぁロック、明日一矢達の世界に行こうぜ。一矢にも来ていいって言われたし」

「僕は別に構わないけど、急すぎないかな。世羅だけで行くなら友達って事で済ませられると思うけど、僕の場合は彼らと年が離れてるし…… それに」

「あー、分かった分かった。兄弟だって言っても、似てないから疑われるんだろ?」

「うん。それと、明日はその…… 澪さんの手続きで時間が無いと思うんだ」

「うぐっ」



新しくできた友達の家に、早速遊びに行きたいと言い出す世羅。ここだけ見れば年相応の若干捻くれた少年なのだが、あの冷たい顔を向けられている私にとっては、どうしても不思議な光景に見えてしまう。

どこかで恨みを買ったようにしか思えないが、霰粒橋で出会った時には既に攻撃を仕掛けてきたし、原因はアレンでも分からない。

とりあえず、今は様子を見るしかなさそうだ……

そんな中、澪が興味を示していたのは、雷華さんとロックさんの関係。普段は呆れて付き添う私だが、今回ばかりは澪と一緒に二人を観察したいと思った。

ちょっとした確証が、私の中にもあったのだ。雷華さんがわざわざ彼を迎えに行こうとした事もあるし、私は夢の中で、とある光景を目にしている。

背中合わせで読書をするだなんて、年頃の男女がそうそうする物でもない。つーまーり、そういう関係にあるのではないかと思ってしまうのだ。

というわけで、勘付かれない程度に聞き込み開始ー。



「雷華さーん、ちょっと来てください……!」

「おぅ、どうした?」

「雷華さんって、彼氏とかいらっしゃるんですか?」

「私からもお願いします、黒田情報屋に協力してやってください」



私の親友である澪は、こういうふわふわした話が大好物。他人から情報を聞き出して、考察するのが得意な、人間観察のプロである。

そんなわけで、まずは彼氏がいるのかという変化球から入ってみたが……

あれ、なんかこの表情、ハズレっぽいぞ。



「いや、いないけど…… あ、恋愛相談くらいなら乗るぜ? 私にそんな質問ふっかける辺り、お前らもそういうお年頃だろ」

「あぁぁ、その時はその時でよろしくお願いします……」

「ちょっと澪、へこみすぎ」



結局雷華さんには彼氏がいないということで、黒田情報屋の研究は幕を閉じそうになった…… が。そう考えると、あの夢の光景は一体何だったのか気になる。

幼馴染で居候という感じなのだろうか、あの歳ならありえるかもしれない。


謎は深まるばかりであるが、とりあえず二人を観察してみる価値はありそうだ。


マッシュミディアムな髪のロックさんは、穏やかで、優しくて、ちょっとふわふわしている。この様子を見る限り、天然といった方が正しいのだろうか。

でも雷華さん曰く、頭の回転は速いらしい。それが事実ならば、百合亜さんにもっとふわふわを付け足すと、こんな感じになると思うのだ。

やはり天然か、いや天使か。

襟からちょこっと出ている首元で、僅かに見え隠れしている黒い鎖の様なアクセサリーは、紗羅達のペンダントと同じようなものだろうか。2人のものより若干、一つ一つの鎖が大きめのような気もするが……

そんな事を考えていると、なぜかニヤニヤしている澪が、何事も諦めないぞと言いたげに話しかけてきた。



「ねぇねぇ雪菜、雷華さんが買って来た花ってカーネーションだよね」

「うん、ちょっと意外。雷華さんがあんな可愛い花を買うなんて…… 澪、カーネーションって食用のものもあるっけ?」

「あれではない思う。誰かにあげるのかなぁ、百合亜さんとか?」

「そうかも。雷華さんが百合亜さんに花を贈るなら、気づかないうちに頭にさしておいて、その反応を楽しんでいそうだけど」

「ふむふむ、これは奥が深いですにゃ。でも、さっきの雷華さんは悲しそうな顔してたよ?」

「……私、どっかで聞いたんだけどね、あの花って墓参りにも使えるんだって」

「えっ!?」



墓参りという暗い雰囲気の単語を聞き、ビビる澪氏。

そう、カーネーションは母の日という印象が強く、一見墓参りには合わないような気もするのだが、実は墓参りにも使えるものなのだ。寂しげに買ってきたというなら、墓参りという事も無くはないだろう。

それを雷華さんが買ってきたということは、まさか、森の奥の目的地に墓場があるということなのか……?

人の墓参りにお邪魔してしまうのは、申し訳ないような気もする。

でも、それだけが目的じゃないってこともあり得るし、今は様子を見るしかなさそうだ。



「なーんだ、おまいら察しがいいなぁ。で、百合亜がどうしたって? ん?」

『な、なんでもないです~!』



魔女っ子二人、迫り来る雷華姐さんに完敗。

変な事は決して、本人の前で考えてはいけないのデス。

【ロック】♂

《天にそびえる竜神の弓矢》 戦闘方法:弓、体術、……

〔好きな物〕岩山、鮭、竜 〔嫌いな物〕注射、静電気、新月の夜

豆知識… 18歳で193cm、左利き。左目に涙ボクロがある。ロックはあだ名。

ひとこと「雷華だけでも、あの水玉の服のサイズが合って良かったよ……」

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