61話 魔法使いの住む街
「すっごい………!」
連れて来られた街の第一印象は、ちょっと昔の西洋の街。電気が普及する前の、ヨーロッパの川の側に建てられた様な家が並ぶ。骨組みの殆どが木材だが、窓ガラスはきちんとついている様子。どうやら、街の壁や石畳が所々崩れていて、古く見えるだけみたい。それなら我々の世界にある西洋の町にも残っていそうだが、花屋の店先に置かれた謎の花のせいで違和感がすごいのだ。
今、私達中学生組とアレンは、紗羅達に詳しい説明を受けた後、その街の中の商店街をうろついていた。見た感じ、この街の西は西洋の街並み、東は東洋の街並みになっているらしい。東洋と言っても江戸のような景観ではなく、あの明治時代くらいの、赤レンガの壁ではない方の青白いイメージだ。
アレンと一矢達は初の顔合わせとなったわけだが、とりあえず混乱に陥ることはなかった様子。髪色や身長やホクロがあるかないかで見分けられるので、頑張ればなんとかなりそう。
そして、雷華さんとまた対面。もう一度自己紹介をしてもらった後、澪が珍しい名字だと言うと、本人も変な苗字だろと苦笑いをしながら答えた。やはり、自分の苗字が珍しいということは、自覚済みのようだ。
黒猫と一緒に会った日のことを話すと、「あー、雪菜と一緒にいたのってお前だったのか!」と喜びの声をあげ、一矢達と盛り上がる雷華さん。先程の寂しげな苦笑いは、すっかり消え去っていた。残りの三人は家で用事を済ませながら待っているので、もう少し探索して来いとのこと。
「明らかに同じ世界じゃねえだろ…… あんなおかしな形の花、見たことないぜ」
「あはは、確かにそうだなー」
「でも、この世界では普通の事なんですよね?」
「お前達の世界にある花と一緒に、変な花や鉱石があるのは確かだな。この辺りは特に珍しいものが多いし、外の国とは比べ物にならない程、本当にここは特殊な街なんだよ。普通の人間よりも、魔法使いの方が多いんだぜ」
『おー』
男子二人は魔法使いの世界に驚きと好奇心を抱き、さっきの紗羅の言葉で理解しきれなかった部分を、雷華さんやアレンに何度も質問していた。ちなみに、私と澪は街の店に興味津々。たまに雷華さんが、「お嬢ちゃん達、ついてきてるか?」と聞いてくれないと、いつの間にか置いてきぼりにされて迷子になってしまうところだった。これについては、雷華さんもちょっと呆れ顔。
相変わらず雷華さんの性格は男前で、落ち着きもあるけど活発で、頼りになるし、親しみやすい。いろんな事を話す事ができたけど、夢の中で見た長身の男の人のことは聞かなかった。
「さ、そろそろ家に戻ろうぜ。今頃は紗羅達がお菓子でも作って、待ってるだろうから」




