58話 少女との再会
ガサガサと葉の音を立てながら、寺の裏への近道を通っていく。
枝が何度も腕や顔に当たり、ちょっと痛い。正直、虫嫌いの私にとってはこんな所を屈んで歩くなんて嫌でしょうがないのだ。だって、背中に芋虫が…… むしむし。
ということで、今私達は近道である寺の錆びたフェンスをくぐって、草むらの下を這っている。
さーて、そろそろ裏に着く頃だけど、本当に誰もいないのかな。
「着いたよ雪菜、ここに誰かいないかな」
「がはぁっ、やっと出た………」
「あ、いたいた! 誰かな、あの髪が白い子」
「あぁぁ、それってまさか…… いやいや、あれは紗羅だよ。なんであんな所に?」
草むらや生垣の森から抜け出た私が二番目に目にしたのは、白髪金目少女の紗羅だった。ちなみに、いちばん最初に目にしたのは澪の白いふくらはぎ。そうか、これは餅か。
で、その少女は一瞬誰かさんにも見えたのだが、改めて見ると金眼だったので紗羅だろう。
紗羅は、積み上げられた石垣の上に座って遠くを見ている。彼女の腕には紺色の表紙に金の刺繍が入った本が大切そうに抱えられており、保健室で見た銀の鎖のペンダントも、先端に水色っぽいひし形の宝石が見えた。アレンの師匠様も似たものをつけてたから、お揃いなのだろう。そう考えると、宝石の種類も気になってくるところ。同じ名前の宝石でも、含まれている物質によって様々な色に変わるのだが、彼女らもそういう感じの石を使っているのだろうか。うーむ、個人的に頭に浮かんだのは、光の種類によって色が変わるアレキサンドライトなのだが…… 変彩金緑石のペンダント、お高いだろうなー。
おっと、紗羅の方もこちらに気づいたようだ。
「あ、雪菜! この間は突然保健室に現れちゃって、ホントにごめんなさいね。ビックリしちゃったでしょ?」
「いいよいいよ、最近そういうのに慣れてきたから」
「うー、ありがとー!」
「でもよかった、ここに人がいて。あんなに静かなのは初めてだもんね、雪菜」
「そうだよね。じゃあ、澪と私と紗羅で、水峰寺にいるのは三人だけか……」
「いや、現在の寺の合計人数は七人と一匹だぞ。俺の勘が当たっていればな」
垣根の上の柿の木から、霰粒橋で出会った少年が突然姿を現した。




