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勿忘草の丘  作者: 中さん
第2章 異世界への一歩
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56話 町中サイクリング

午後1時、自転車で荒澤中央小学校正門前に集合。これは休日に遊ぶ時の鉄の掟なのだが、こうして中学生になった今でも、私と澪はこれを長いこと守り続けている。集合時間はともかく、場所と持ち物はずっとが変わらないのだ。だから、一矢と勇助もその掟を承知の上で遊んでいる。しかし、今日は来られない。一矢は結構前に、勇助と二人だけで遊ぶ約束をしてしていたらしいのだ。勿論、勇助が一矢の家に自転車で行くという形式だ。一矢は右手が塞がっているので危ないし、ましてや自転車なんてこげたもんじゃない。まだ左腕の骨折だっただけ、ありがたいと思ってもわらねば。無理に乗ろうとしたら、軽く顔面強打か、もう片方の腕も骨折だ。それ以前に、ヘルメット(鉄兜)すらまともに装備出来ないだろう。だから、勇助の方が一矢の家に遊びに行くのだ。

というわけで、今日は二人で遊ぶ。



「ねぇ雪菜、今日はサイクリングした後に、水峰寺へ行きたいでござるよ」

「澪、あのお寺大好きだもんねー、確かに謎の繋がりは感じるけど……」

「謎の繋がりって、もしかしてまた変な夢を見たの?」

「見ちゃったんだよ、しかも最近は変な事ばっかりでさ。懐かしさとか、怖さとか、色々あるんだけど、夢で見たのは全然違う世界の景色って感じで」

「何かが起こる予兆ってことなのかな」

「さぁ……」



ふと、考える。

中学に入ってからクラスが離れて、澪や他の友達との間に小さな隙間ができた。今の私は、それを少し寂しいと思っている。ぶっきらぼうな私だって、一人よりも友達といる方が楽しいんじゃないかと、皆に拒絶されることを何処かで恐れていた。

でも、澪との関係を再確認した今日の私はいつもと違って、楽観的で、愉快で、幸せで。もし、魔法の世界を知らなかったら、私はどうなっていたんだろう。きっと、澪達と離れた喪失感しか残らなくて、辛い学校生活に心を蝕まれる日々が待っていただろう。

突然見つけた楽しさを知らないまま、ただただ周囲の目ばかり気にして生きているなんて、今となってはばかばかしい。視線が気になるのは相変わらずだけど、まだ魔法があるから良いんだ、ずっとましな状態だ。私の中に貼り付いている、魔法(あっち)の世界と現実(こっち)の世界の境目を切り離して、いつかこの世界からお別れしなければならない日がくるのだろうか。

そうやって考えれば……


私に希望を与えてくれたアレン達に、もう感謝しかない。

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