48話 ひとりぼっちの保健室
ハッとして目がさめると、そこには古ぼけた白い天井が。
今私が寝ているのは、白いシーツがしかれた普通のベッドだ。寝返りをうつたびに硬い感触が伝わって不快だから、恐らく学校のものだろう。きっとここは、保健室。時計をみると、現在午前11時。職員室や保健室には人がいないようで、しーんと静まり返っている。聞こえてくる音といっても、外から雀の鳴き声が耳に入る程度だった。何故私はここにいるんだろう。 今までの事がよく思い出せない。
確か、一矢が骨折して……
……あれ?
本当に思い出せない。目の前が真っ暗になったところまでは覚えてるけど、その時どんな気持ちだったのかが全く思い出せない。まずいぞ、もう年だっていうのか。それに、誰が私をここまで運んできたのかも覚えていない…… ルシアかな?
それにいつの間にか、私の隣にアレンがいるし。すぐそばにいたのに気付かないなんて、本当に大丈夫か自分。ここんところ妙にぼーっとしているが、こんな調子で生活を続けていたら、いつしか通学路の車に轢かれかねないぞ。
「雪菜、起きたんだね。大丈夫?」
「なんだアレン、ついて来てたの? なんならひとりで、校内探索でもしていればよかったのに。その方が、記憶を取り戻す手がかりも見つけやすいでしょ」
「あはは、酷いなぁ。僕は君がいないと迷子になっちゃうよ」
「そっか……」
私がどんな冷たい言葉を投げかけても、アレンは笑って聴いてくれる。本当に方向音痴なのか、方向音痴なのを言い訳にしてひとりになることを逃れようとしたのか、答えなんてどちらでも良かった。行き場をなくした私の視線は、アレンの優しい顔を避けて、奥のカーテンがなびく窓の方を見る。
「……! 窓に誰かいる」
「えっ?」
大きく開かれた窓に、私と同い年か一つ下っぽい少女が座っている。誰かに似ているようで少し違う、白髪金眼ポニーテールの少女。
彼女から感じられる雰囲気も、感じた事がないものだった。
あの白猫と同じ、銀の鎖のネックレスみたいなのもつけてるし、絶対この辺りの人じゃないって。
頭の中で焦るうちに、彼女は私達が気づいたことを知って、スッと窓から飛び降りた。そして私のところまで近づき、アレンの反対側のベッド脇に歩いて来る。
こちらを見てにっこり笑った彼女に、最初に声を掛けたのはアレンだった。
「あの、もしかして、貴方は……」
「あらアレン、久しぶり。ようやく私達の事を思い出してくれたみたいねー、ちょっと遅いわよ。それで、黒髪のクールな彼女が、貴方と一緒に修行してる子?」
「は、はい。繋木雪菜さんです」
同い年くらいに見える少女相手に、緊張した様子で敬語を使うアレン。
そして、なんとも興味深そうに、私の瞳をじーっと見つめる少女。
彼女の白く細い首には、銀の鎖のネックレスのようなものがかけられていた。その先を目線で辿ってみると、正方形のようなカットの施された、緑がかった水色の宝石が、静かに輝いている。
あぁ、それはネックレスではなくペンダントだったのか。
そんな事を知ったのもつかの間、謎の少女はもう一度私達と会話をし始めた。
「あんた幸せ者ね、こんないい子に巡り会えて…… あ、自己紹介が遅れたわ。私は光日紗羅、貴女やアレンと同じ魔法使いよ。それにしても、うちの身内がお世話になったわねー!」
「えーっと、身内とは……?」
「喫茶店の水玉オレンジと、貴女の親友の家の置物猫よ。そうだ、私は白猫に化けてたんだけど…… 気づいた?」
「黒猫さんの情報をきいて、なんとなくは。えっと、光日さん」
「紗羅でいいわよ~、ほぼ同い年みたいだし仲良くしましょ!」
どうやら203号室の白猫は、私達と同じ魔法使いだった様子。
にっこり笑って私の手を取る彼女に、はじめは少しだけ困惑したが、「この人は大丈夫」というアレンのOKサインのおかげで少し安心する。
平気で高い所の窓枠に登り、そこで普通に座っていられる身体能力。割と目立つ位置にいながらも、私達がすぐに気づけないような気配の消し方……
なんだか私、凄い人と出会ってしまったようだ。
《名前、二つ名、戦闘方法、好きな物と嫌いな物、豆知識(?)、コメントで設定を構成していきます》
【光日 紗羅】♀
《闇夜を照らす暁の光》 戦闘方法:魔法、巴型薙刀など
〔好きな物〕山桜、苺、流水 〔嫌いな物〕虫全般、お化け、柿
豆知識… 白のゆったりシャツに黒いキャミを着ている。12歳で150cm。
ひとこと「槍と薙刀の違い? 西洋と東洋ってところかしら……」




