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勿忘草の丘  作者: 中さん
第1章 魔女の目覚め
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42話 水玉オレンジの長身幽霊


不思議な夢の推理をしすぎて頭痛がするが、そんな調子の悪い日でも、私達は学校に行かなければならない。春風が一段と強まっている今日もまた、一矢が交差点から走ってきた。今度こそはぶつからないぞと、交差点の50cm前で止まる。その予想通り、少年はかなりの勢いで走ってきた。急ブレーキをしてきょろきょろと辺りを見回し、ようやく私を見つけだすと、安心したのかふにゃっと表情筋が緩む。

……彼にとって、私が来る事は当たり前になっているんだ。



「びっくりした、今日は来てくれないのかと思ったぞ……」

「来ないならちゃんと連絡する」

「でもさ、俺んちの電話番号知らないだろ?」

「……うん」



謎のツッコミをされた後、置いていくよと言うように一歩前へ踏み出すと、一矢もつられるようにして歩き出した。何も喋らずに、ただ歩く。こうして移動の為だけの時間が過ぎるなら、もっと何かをするべきか。そう思いながらも、頭の奥に生温いアイデアの出来損ないが詰まっているせいで、こうやって何もせずに終わっていく。アレンは鞄の中、今日は一矢の方を向いていない。中学校がある南の方向を向いているが、アレンの表情はいつも通り興味に満ち溢れているはずだ。

……ん? 乳白色の塀に囲まれた交差点の南に、何かいる。と思ったら、その奥の寺の陰から人影が見えた。見た感じ全体的にオレンジ色の、背が高い赤茶髪の人。人影は視界の先に一瞬飛び出ただけで、その後はすぐに木の陰に消えてしまう。あの人影は特に危険な感じがしなかったので、何も気にせずに一矢を見てみたら、どうやら彼の方が人影をはっきりと捉えていたようだ。



「どうしたの、一矢」

「あっちの方に人がいたんだよ、多分結構若い人!」

「あぁ、私はよく見えなかったんだけど、どんな人だった?」

「水玉オレンジの服を着た深い赤茶髪の人が、寺の垣根からぴょんって出てきたんだ! 赤いバンダナを巻いてて、背が高くって、でも顔はよく見えなかった。もしかして、あの寺の墓にある幽霊か……?」

「この辺物騒だから、ありえるかもね」

「!?」



いやいや、水玉オレンジのシャツに黄土色の7部丈ズボンを履いたような幽霊が、こんな所にいるわけがない。自分の解答にぶんぶん頭を振りながら、私はその服装の条件に合った人を思い出そうとした。水玉オレンジといえば、自然と襟付きのシャツが頭に浮かぶ。その次に古惚けた赤色のバンダナを、澪より少し短い赤茶髪をハーフアップにして、上に被っていた記憶が蘇る。縛られたバンダナから僅かに見えたのは、幼い頃に親友さんから貰ったという、白いライラックのワンポイントが入った、黒革製の横長バレッタ。最後に思い浮かぶ記憶が、レトロな喫茶店と不思議な白猫だったとなると、恐らく我々が目にした人影は…… 亜瑠斗さん? ハーブティーの件で私を煽り、アレンとも何か関係がありそうな亜瑠斗さんではないか!

あの人は笑顔が良く似合う人だった気がするのだが、あの中性的な容姿と性格のせいで、どちらの性別だったか全く思い出せない。元々分からなかった気もするのだが、何故あの人があの寺に……



「……ん、これが俺の電話番号。なんかあったらすぐ俺に言えよ」

「ありがと。はい、私の番号」

「おう、サンキュ」

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