40話 鮮明すぎた夢
夢の中で見る人の顔は、実際に見たことのある顔以外出てこない? 夢の中に気になる人が出てくるのは、その人が本当に好きな証拠?
と、趣味のネットで調べたり、情報屋の澪の雑学で学んだりしたが、それが本当かどうかは定かではない。所々ほつれたパステルグリーンの薄い布団に、湿気の残る髪のまま足を放り出して包まる私は、澪の影響故に人の夢について興味がある。この間叔母さんに貸してもらった本も夢に関するものだが、あまりにも難しくて飽きた。
今は叔母さんも寝静まる、金に輝く月さえも薄汚れた雲にすっかり覆われた夜中。私は自分の2段ベッドの上に登って丸くなり、ただ眠くなるのを待っている。
第1段階として、とりあえず目元がじわりと淀んだのは良いのだが、ここからがまた遅いのだ。
「みんなもう寝た…… か」
なぜ、中学1年生の地味で女子力の無い少女が、夢なんかに興味を持っているのかというと…… 元々は夢だけでなく、人間の感情そのものに興味を持っていたからなのだ。そこから、無意識と意識が混ざり合う夢について興味を持ち、こうなったと。
まぁ、本当に混ざり合っているのかすら、今ではあまり覚えていなくて、結局あやふやになっているのだが。
ちなみに、ノンレム睡眠は脳が眠っている状態。そのため瞼の下の瞳は、多分ほとんど動かない。それで、レム睡眠とは脳が起きている状態。瞼の下の瞳が動いていて、夢を見るのもこの時だ。睡眠中にこれが交互に繰り返すと本に書いてあったが、どっちが先かはすっかり忘れた。
「あの丘の少年、結局誰だったんだろ………」
私は最近、よく夢を見る。大体が切ない夢や怖い夢だから、いい夢なんてそうそう見ない。忘れないでって言われたり、猫がどこかに行った後に世界がぶっ壊れたり。今日はどんな夢を見るんだろうと思って、小さな筋が連なった天井を見つめる。2段ベッドから見つめる天井は、手が届きそうな程近く感じられ、今にも迫ってきそうだった。
……夢を見るって事は眠りが浅くなるんだよね、早く休んだほうが身のためかな。それに、さっさと寝て成長ホルモン出さなくちゃ。一矢には身長を抜かれたくないから、せめて来年までは持ちこたえてみせようではないか。
長年愛用している目覚まし時計は、朝起きる時刻にセット完了したので、鳴らないことなんて絶対にないはず。その音量もうるさくなりすぎないから、寝起きの怠い頭にとっては丁度いい。
「……眠れぬ」
今更思い出したが、もう一つ大きな問題が残っていたようだ。




