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勿忘草の丘  作者: 中さん
第1章 魔女の目覚め
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31話 L.S.天気予報のお時間です


実は山育ち、ルシア気象予報士の予報は的中。下校前の現在は台風並の激しさではないが、それなりに強い雨が降っている。こんな事になるなら、交差点で一矢に遭遇した時の護身の役割も含めて、折り畳み傘を鞄に刺しておけばよかったなと後悔した。

傘は普通に職員室まで行って借りればいいのだが、私には職員室まで傘を借りに行くような勇気がない。職員室に入り、多くの先生の視線を浴びながら傘を借りに行くようなことは、私にとっては自分から死にに行くような危険なもので、個人的にはとっても危険な行為なのである。

だって、その後に返すのも面倒だし、変なイメージで覚えられるのも嫌だし、それ以上に視線が痛いし。そんなに嫌なら友達に借りればいいのだが、生憎下校前の私がまともに会話できるのは、我が3班の超人達だけである。


これはまずい、今から帰るっていう時に。


ルシアと勇助はどこの道を通って帰るのか知らないし、アレンが傘代わりの物を作れるとはとても思えないし(本当にごめん)、杖を傘に変形させる時に魔法を見られたら大変だし、そもそも杖自体を忘れたし、だったら濡れて帰ればいいんだけど後々困るだろうし…… しょうがない、やっぱり一矢に頼んでみるか。



「一矢」

「なんだよ雪菜、さっさと帰ろうぜ」

「……傘を忘れたから、一緒に入れてほしい」

「えっ、べ、別にいいけど…… 何故に俺?」

「3班の人ならなんとなく信じられる気がして…… それに、同じ道なのは一矢しかいないから」

「あ、うん。要するにコミュ障ってことだな」



いつの間に私が、このチビにコミュ障と呼ばれる程の、ちっぽけな人間になってしまったのかは分からない。貴方の傘に入れてほしいと言った時点で、特にコミュ障というわけではないと思うけど。でも、人見知りならまだ言えるかもな……

一矢と共に、ボロボロになっても使われている下駄箱に来た。なんかここの学校、古いうえに貧しいというか、そもそもこの町全体のお金が足りないから凄く脆い。そんな校舎をいつまでも使い続ける人々もまた凄いが、いつか崩れたりするんじゃないか…… このオンボロ校舎。


いっそのこと、今日の雨で崩れてくれ。


昇降口の外では、さっきよりも弱くなった雨が降っている。しかし、台風に近い雨風がほんの少し弱まっただけなので、歩きづらいことに変わりはない。でこぼこのアスファルトを叩きつけるように降っていたはずの土砂降りの雨は、滴が手に当たっても痛みを感じない程度の強さになっていた。

どちらにしろ、美しい水滴はまるで私達をただでは帰らせないかのように、外の世界を遮断していた。



「雪菜、早く来いよ」

「……ごめん、私が天気予報を確認し忘れたせいでこうなって」

「別にいいし。俺は別に迷惑じゃないからさ」

「Thanks」

「You're welcome」

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