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勿忘草の丘  作者: 中さん
第1章 魔女の目覚め
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22話 春とは何か

午後1時28分、男子2人も荒沢中央小学校に到着。勇助はここに来るのは初めてなので、少し落ち着きがない様子だった。澪を見た瞬間、「あ、勇助っていいます」と一言だけ話した後、すぐに一矢の影に隠れてしまう。勇助の方が一矢よりも背が高いのだが、彼はその事に気づいているのだろうか。後で一矢に悔しそうなジト目で見られるんだろうな…… 勇助が嘘をついていなければ、確か彼は157cmで、147cmの一矢とは丁度10cm差。絶対言われるな、その身長よこせって。

でも、知らない場所に知らない人がいるとなれば、緊張するのはよく分かる。私だってそうだ、知らない先生に声を掛けられた時とかは、しばらくその先生と距離を置くし。

さて、今の彼の問題はこの状態にどう対応するかだ。後で拗ねた一矢の対処法を伝授しなければ。



「それじゃ、全員集まったし行くぞー」

「うん、行こうか。繋木さん達、先に行ってるね!」



ちょっとせっかちな一矢は、勇助と一緒に住宅の方へずるずると自転車を引いて行った。ヒビ割れたアスファルトは日に当たって温度が上がっており、今でも僅かに足元が暖かい。私達が一矢と勇助を追いかけている途中、花粉症で死にかけている澪が話しかけてきた。



「どうしよう雪菜。今日やる事、全然考えてないや。ヘックシ……」

「勇助はゲームをあんまりやらない真面目人間だから、私達がいつもやってる格闘ゲームは難しいだろうけど、一昨日データが消えたゲームならできるかも。 でも格闘ゲームだって操作は簡単だし、勇助もすぐに慣れてくれるかなーと」

「森野くん、頭良さそうだもんねー…… ハクショーイ」

「とりあえず耐えるんだ澪、花粉症はいつか救われる時が来る」



やる事が無いなら何もしなければいいと言いたいが、今はそんな事を言う訳にはいかない。それならゲームがあるではないかと、私はわざわざゲームの本体も持ち出してきたのだ。

澪が悩んでいるうちに住宅街の林につき、そばの神社の木陰で涼むのが終わり、ようやく澪の家に着いた。深い青緑のドアに茶色い取っ手、これが黒田澪の家のドアなのだ。玄関ではいつの間にか飾られていた、可愛い黒猫の置物が出迎える。こちらを見つめる深紅の瞳には、生き物とはまた違う冷たい輝きがあった。何故か203号室の白猫と似た形状のペンダントが、その黒い首にかけられており、違っているのは色彩のみ。鎖は金でできており、宝石の色は瞳と同じ赤色。

ふと、鞄の中のアレンを見ると、その黒猫の置物を警戒している様だった。


その後、結局ゲームをやる事になり、勇助に操作方法を一から教えるハメになった。私や澪が大好きな格闘ゲームを最初にやることになったのだが、元はと言えば男子向けのゲームとして開発されたんだし、恐らく勇助もすぐにハマってくれることだろう。ルールを変更すればストレス発散にもなるので、攻撃がヒットした時の爽快感が半端ないのだ。ただ、昔の私は防御をほとんどしないのでよく死んでいた。最近はきちんと防御も取り入れてはいるが、どちらにしろ攻撃した後の防御のタイミングが遅くなってしまうので、今の私の課題は防御を極めることである。

実はこのゲーム、女子は意外と知らない人が多く、気軽に共感できる人が少なくて寂しいというのが現状なのだ。



「うぇーい、男子チームの勝ち~」

「我ら女子チームが負けてしまっただと……!? 雪菜、次は勝つ!」

「どちらも滅茶苦茶だからなぁ。それに勇助、あんた何回自滅してるの」

「いやぁ、想像以上に難しくて…… ね?」



ルーキーの勇助の珍妙な行動に翻弄され、1回戦目は何故かボロ負けしてしまった女子チーム。その後も互角の対決を続け、結局引き分けで終わってしまった。

その後は例のゲームを起動し、みんなで謎解きを開始。それぞれの観察眼をフル活用し、なんとか第1章を終わらせる事ができた。

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