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勿忘草の丘  作者: 中さん
第3章 僕は君が好き、君はあの子が好き。
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105話 見た目年齢と実年齢

この前紗羅に教えてもらった知識を絞り出し、桜さんがどんな人だったのかを、日之影家の家系図で構成していく私。桜さんといえば、今の日之影家の1代前の魔法使いだ。そして、人間と魔法使いのハーフである百合亜さんと知里花さんの母親でもある。この間紗羅に聞いた桜さんの知識の中で、思い出せるものはたったこれだけである。



「それから数年後に桜は(ミチル)さんと結婚してね~、本当に懐かしいわ。……今生きてたら、40歳はいってるかしら」



ご機嫌で友人の自慢をするクラーレさんから、いくつか情報を仕入れることができた。クラーレさんは桜さんの古くからの友達で、度々医者の両親に連れられ、今の百合亜さん達が住む街の人々の診療に行き、待ち時間に2人でよく遊んでいたという。

百合亜さん達のお母さんが、今はもう生きていないという事実に、しんみりと切なさを感じた私達。しかし、それ以上にクラーレさんが30代後半に差し掛かり、桜さんも生きていたら40歳という事に驚いた。

本当にあのクラーレさんが30代なのだろうかと、私はとろんとしたたれ目の顔をまじまじと見つめる。瞳の色がよく見えないな…… でも見た感じは深い色だし、ルピナスも彼女のことは先生と呼んでいたから、2人には血縁関係がなさそう。

それにしても本当に整った顔立ちだなぁ、叔母さんも数年後にはこんな感じになってもらいたいところだ。早朝のだらしない姿は見逃すとして、せめて彼氏ぐらいは作ってもらわないと、天国で兄(私の父親)が心配するんじゃないかー?

あー、私も段々心配になってきた。叔母さんも1回でいいから見てみなよ、この人のサラサラ髪やすべすべほっぺ、なんという美貌ですか。アナタが本物の魔女サンですか…… あ、元から医学の魔女サンですわ。

それに、叔母さんよりちょっと年上じゃありませんか! 何度でも言うよ叔母さん、この人目指して頑張ってみようね、私も魔法使いの誇りを持って頑張るから。

でも私、これから叔母さんをどう励ましていけばいいの。私のことを含めると、若さはどうにもならないから…… 叔母さんの趣味である編み物とかガーデニングとか?



「あぁー、もう勝ち目ナシじゃないですか」

「あはは、本当だよな。雪菜も色々気にしてるのかよ?」

「私自身は別にどうでもいいんですよ、ただただ叔母さんが心配で…… まさか、雷華さんも身長より胸がほしかっ」

「いーやー、私の場合はこのくらいまっさらじゃないと戦闘に支障がでるんだよ。それに、女は外見が全てじゃないんだぜ、な?」

「しょ、承知の上でございます……!」



謎のショックを受けていた私の元に、苦笑いの雷華さんが来た後、元凶のクラーレさんが歩み寄ってくる。恐ろしい程に色っぽいとはいえ、クラーレさんに対して苦手意識は持っていなかった。逆に、優しくておしとやかで、思わず甘えたくなるような雰囲気を漂わせるこの人は、表ではなんだかんだひとりでいたいと望む私にとって、惑わされそうになる様な何か…… 私が嫌ったはずの"大人"という存在を、自然と受け入れさせてしまう、何処か懐かしいその薬の正体は、未熟な私にはまだ分からない。



「あ、そうだわ。世羅くんの怪我の治癒魔法が効き終わったら、みんなと一緒に行きたい所があるのよ」

「……もしかして、湖付近の城に行くんですか?」

「あの魔物だらけの城跡? ふふ、そんな危ない所には行かないわよ~。街でちょっとお買い物してから、百合亜ちゃん達の所に行くだけ」

「それならよかったです」



もうあの危険な城は行ったりしないのだと安堵していると、治療が終わったらしい世羅が帰って来た。その凄まじい回復力には思わず感心してしまうが、同時に染み付いた違和感は拭えないまま。兄が帰って来たと一番に気づいたにゃんこ寅くんが、愛する兄の足元に擦り寄ったので、私の疑問は塵となって吹き飛んだのだが。

はぁぁ、その姿と言ったらもう本当に可愛い。特に猫派の私にとっては、それはそれはもう最高。クラーレさんの家を出る前に、数分だけ癒された私達だった。

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