今日の予定は…私が決めよう(名咲15歳 夢30歳)
これは10月31日のハロウィンに書いたものです
(名咲15歳 夢30歳)
1
あの事件から5年が過ぎた、5年間で変わったことといえば名咲の包丁が、子供包丁から大人の包丁に変わったこと位だ。そして今日も…
「主人〜起きてください、今日は会社が休みですけど、もう10時ですよー」
名咲に起こされて朝が始まる。
「あぁ…名咲おはよう」
目を開ける、今日も美しい彼女の顔が目に…入らない?
「名咲…髪いつから切ってないっけ?」
「主人と出会ってから一度も切ってません!」この一言で今日の予定が決まった。
2
「やだ〜切りたくないですー」「子供か!」
「まだ子供です〜 大人になんかなりたくないです〜」
私が髪を切りに行こうと提案した瞬間から、この態度である。
「行かないなら、13際の時に見たあの映画見せるよ、目の前で!」
「嫌です…あの映画だけは勘弁して下さい」
震えながら答える名咲、あの映画とは名咲がテレビを点けた時に、偶然やっていたホラー映画である。何をやっているのか、興味を持って見た名咲は、ホラーシーンを直視してしまったのである。
勿論その時は泣き叫びながら、私の元に駆け寄ってきた。名咲は過去にそんなトラウマがある「分かりました…主人行きます…」
不満そうに言う、表情は分からない前見えてるのか? そう思った時、丁度名咲が壁にぶつかった。
3
「名咲そんな不満そうな顔しないの、ほら着いたよ」
私の家から美容院までは、5分位で着く 扉を開けると顔の見慣れた店員さんが、暇そうに雑誌を読んでいたが、私と目が合うと直ぐに雑誌を閉じた。
「あ、水谷さん あれ その子は?」
「親戚の子供、名咲って言うんだ、今日はこの子の髪を切ってあげて」
「了解、じゃあ名咲さんここに座って下さい」前が見えないのか何回も髪を上げながら席に座った。
「じゃあ私は切り終わるまでその辺歩いてるから、終わりそうな時間位にはまた戻るから」「了解っす」
(謎の声)それから20分後
「水谷さんー、丁度よかった今終わりましたよ」
私の元に腰くらいまであった金髪を、肩まで切った少女が歩いてくる、
「名咲、前より綺麗になったじゃん」
「主人…前がとってもよく見えます」
「そりゃね…」「主人〜 我慢したご褒美下さい!」ペチっと名咲の頭を軽く叩いた。
4
その帰り道「主人!今日は確かハロウィンです、ご褒美を貰う権利が私にあるはずです」自身満々に言う名咲、そういえば今日は10月31日だったな…
「通信教育しか受けてないのに、何処でそんなこと覚えてるの?」「テレビで見ました!確か…トマトリートって言えば、貰えるんでしたよね?」「トリックアートリートね、じゃあ意味を答えれたらお菓子あげる」と言うと名咲は悩みに悩み、その日の夜まで考えていた。
「主人!分かりました、お菓子かいたずらかですね」(調べたのかな?)そんなことを思いながらも、正解は正解なので私は奥の部屋にあるお菓子を取りに行った。「はい、ご褒美 名咲が前にテレビ見て食べたいって言ってた、ハロウィン限定のカボチャのドーナツ」見た目は可愛らしく、聞いた話によると味もかなり美味しいらしい。
「やったー!主人ありがとうございます!」とお礼を言う前にドーナツを食べる名咲、数年前も思ったが食べる事に関しては、早いもんだ。「カボチャの甘さとしっとりとした生地が絶妙にマッチしていて。いくらでも、食べれそうです〜」
1時間位並んだ甲斐があったもんだ… 髪を切った少女の表情は、分かりやすい 私をこんな風に思わせるほどに…
5
その晩、寝る支度をしている時に声をかけられた、「主人〜隣で寝ていいですか?」
名咲はどういった目的かは、分からないが何か私に嬉しいことをして貰う度に、私の横で寝る(お礼のつもりなのか?)1年前もう体が大きいからと断ったら
「主人は…名咲のことが…嫌いになったんですか…」と言われ泣かれた…、
そんな思い出がある。
「いいよ、ほら隣に入りな」
(やっぱり2人で寝ると暖かい…)
そう思っていると、名咲が話し始めた。
「主人、ハロウィンってどうゆう行事なんですか?」と真面目な顔で聞いてきた
「え…知らなかったの?けどハロウィンだからお菓子くれって言ってたじゃん」
「本当のハロウィンってどんなことするんですか?お菓子貰うだけなんですか?」
そうゆうことか
「話せば長くなるからかなり省略するけど、元々は悪魔を追い払う行事だったんだ。それが今では子供達がお化けに変装して、お菓子を貰うのに変わったんだ」
と言うと何故か名咲が震え始めた、
「悪魔…お化け…いや…」「あ…」私は今更だが私は名咲が見た映画のシーンを思い出した。確か内容は、お化けと悪魔が合体して家の住民をどんどん食べていく、そんなシーンだったはず…「悪魔…お化け…ぐすん…」
(やべ…名咲が泣きそうだ…)
「名咲〜♩泣かないで…今はお菓子を貰う行事だから悪魔なんてこないよ、大丈夫…って顔お腹に埋めんの早!」
あの頃からやっぱり、変わってないなーと思いながらも、
「明日には大人になってね…名咲」
そんな願いを込めて、私は名咲を抱きしめて寝たのだった。
ホラー映画ってトラウマになりますよね…