今でも疑問に思う名咲は誰の子?
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唖然としていると、玄関のベルがなった。ドアを開けると若そうな警察官が2人立っていた。
「夜遅くにすいません〜警察と申します、事件のことでお聞きしたいことがあるので署までご同行願います」
「主人は何もしてない ずっと私と一緒に居たもん!連れてかないで」
奥から名咲が飛び出してきた。
「あれ?大変失礼なことを申し上げますが水谷さんは一人暮らしだと聞いておりますが…しかも名前を呼ばずに主人と…君 名前は?」
「名咲です!」
「貴方もご同行願います」
そう言われ断れる訳もなく私と名咲は、警察署に連行されることになった。
今思えば名咲は誰の子供なんだろか…
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それから3日後犯人が見つかったらしく私は無事に警察署を出ることが出来た。
しかし、
名咲はまだ出てこない…、今でも
取り調べ室で言われたことを思い出す。
「あの子は誰の子供なんですか?」「知りません」
「DNAが普通の人と一致しませんし、ましてや誘拐事件の被害者でもない、何処で出会ったんです?」
(DNAが普通の人と一致しない…?
名咲は人間だし…)
「家の前でずぶれになっていて可哀想だったから家に入れました。行くあてがないと言われたのでそのまま一緒に住んでいます」
私はまた嘘をついた… 2日後殺人事件の犯人が見つかって私の疑いは晴れ… 、重い気持を抱きながら家に帰った。
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ここは何処?確か私は家で寝てたはず…また夢かいや、夢じゃない思い出だ。
いつの時代かと周りを見渡せば高校時代の私がいた…。
「〜ってゆうねアプリが最高に面白いのよー」
「そうなんだ」
4人で話している中1人だけ会話に入れない子が居た、それが私だ。
人は1人の為に話を合わせてはくれない、興味がないことは話さない。
悲しかった、友達であるはずなのに会話に入れない、友達が居るのに孤独を感じる、それが嫌だった…。
私は私に近寄りいつも通り囁く
「仕方ないんだよ、会話に入るには興味がないことでも覚えなきゃいけない、やらなきゃいけない。
それが現実なんだそんなことも学ばないのか私?」
私は何も答えない、そこで目が覚めた。
いつも通り…いつも通り!時間を見ると朝の11時だった。
私を主人と呼んで慕ってくれる彼女はまだ帰って来ない…、 さっき見た夢の中と同じ気分だ…。
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私の疑いが晴れてから2日後名咲が帰ってきた、警察官と一緒にだ
「この子ね、ずっと 主人の元に帰りたいって泣き喚くんです。
DNAも一致しませんし、調べた所誘拐事件でもなさそうです。
ましてや本人がここに居たいと言いますし、 一緒に暮らしてあげて下さい」
5日ぶりに名咲を見ることが出来た…目は赤く腫れており髪はボサボサだった。私を見ると何も言わずすぐに抱きついてきた。
「名咲寂しかったの?」「…」
少女は何も答えない、泣いてるから答えないのか?
私には気持ちが分からない、ただ少女は私を抱きしめて離さない。
ただ一つ私でもわかることがある、
警察が名咲の為を思ってやったことは、名咲に愛する人が近くにいない寂しさと孤独感を存分に味合わせ、無垢な少女の心に深い傷を残しただけだった…。
「名咲、泣かないの…」
少女は何も答えない…
私は何も出来ない…
撫でること位しか出来ない…
抱きしめてあげること位しかできない…
無力だ…
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名咲はあれからずっと私から離れない、離れようとすると直ぐに私に抱きつく、
「もうしょうがないな〜 甘えん坊さん♪」「…」
私は名咲を抱っこしながら料理や家事を全てこなした。
今日は会社がある日だが事件の捜査で会社はしばらく休みになっている幸運だった。
すべの家事を終えた私は名咲をお風呂に入れ肩まである髪をといてあげた、ボサボサだった髪は綺麗になった。
「名咲は美しいね」「…」
やはり彼女は何も喋らないずっと私を抱きしめている…。
その夜私は名咲を横に寝かせ話をすることにした。
「名咲こっち向いて…お話しましょ」
「…」
「名咲は私がまた離れ離れになりそうで怖いんでしょ?」「…」
名咲は何も答えない。
「名咲がね、帰って来てない時に夢を見たんだ…本当の高校時代の思い出さ、その時に思い出したことがあってね。
私の学校は中高一貫でね、中学の頃は話す人が沢山いたんだ、けど高校に上がった時には、殆ど話せる人が居なくなっていた…」「…」
「中学に話していた皆んなとは、殆ど話さなくなったんだ。
理由はね、皆んな新しい友達を沢山見つけたんだ、私より面白い人を沢山ね…。
自分より上の人を見つけると皆んな何処かにいっちゃう…、それが私には今の名咲と同じ位怖いんだ…。 私に出会った人は、 皆んな何処かに行っちゃうのかな?ってね… でもね、その怖さを感じないのが名咲なんだ
私のことを主人と慕ってくれて
私が苦しいことを話したら甘えていいと慰めてくれた
そんな名咲といつまで一緒にいたいそれが 今の私の夢なんだ!
だからね私は名咲を置いて何処かに行ったりなんかしない!」
私は名咲の目を、しっかり見ながら話す。
名咲はまた泣いている 泣き虫だなぁ… 。
「主人…名咲を…置いて…何処かに…行ったりしない?」
「しないよ!」「本当…に?」
「本当に」
と言うと私は彼女のほっぺにキスをした…。
「主人…?」
「ほっぺににキスするのは親しみの意味を表すんだ、キスの意味の通り私はずっと名咲と一緒に居たいんだ、こんなダメダメな主人だけどついて来てくれる?」
「はい…!」
彼女は私の服に顔を当てながら頷いた。
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「主人〜朝ですよー起きてください」
あの事件から3日後お互いの気持ちを話し合った私達にはもう、心配ごとなんて無くなっていた。
相変わらず名咲が何故家に送られてきたのか
彼女は何処の家の子供なのかは分からないが
私は今名咲がいることでとっても幸せだ…。
今日も名咲の起きてくださいから
1日が始まる毎日の繰り返しではない1日が…
名咲 10代編 完
今回でかなり夢と名咲の仲が深まった気がします… 読んで下さった方ありがとうございます