目が覚めると青空があった。
hatutoukoudesu.
目が覚めると青空があった。
雲が三割、空が7割という、天気予報では晴天とまではいかないが、十分に晴れといえるような天気だった。
「やっと目が覚めたかい、正義君。」
自分の見ていた青空に女性の顔が侵入してきた。
今の割合は雲が2割、空が3割、顔が5割ということかと下らない考えを頭の中に思い浮かべながら、俺はクロに返事をした。
「とっくに目が覚めてるよ。でもどうせだったら眠気覚ましにコーヒーの一杯でも欲しいところだがね。」
「泥水だったら作れるけどいる?」
「いらねーよ、昔のイギリス人かよお前。」
そういいながら立ち上がるとここはたぶん丘なのだろう、そこから美しい風景が見えた。
そよ風に揺れる草、タイルなどで舗装されてない道、そして遠くに小さく見える町。
わかりやすく言うと、RPGの序盤のフィールドマップみたいだった。
そこで俺は異世界に来たんだと思う高揚感と、異世界にきてしまったと思う不安感が入り混じった感覚を味わった。
「初異世界デビューの感想は?どうだい、たいへん興奮しないか。」
「ああ、大興奮さ。この言葉で満足かい?」
「満足、でも興奮する時間はもう終わりさ。私たちの目的のために歩き出そう。」
そういうとクロは道に向かって歩き出した。
俺はおいてかれないように彼女のあとをついてった。
道に沿って歩いていると彼女の変化に気づいた。
「クロ、お前服変わってないか?」
さっきまで黒いスーツだったのが今は黒いでっかいコートみたいなのになっており、はたから見れば魔法使いのような見た目だった。
「逆によく気づいていなかったね、君の眼は節穴だったのかい。その様子じゃ自分の服の変化にも気が付いていないようだけど。」
また煽られたけどスルーする。だが言われてみると自分の姿を見ていなかった。そう思い、自分の服の袖やズボンを見てみる。
・・・何と言ったらいいんだろう。自分の見えている範囲からの想像に過ぎないが、あれだ村人Dの服って感じだ。
「感謝したまえ、さっきまでの服だったら私たちは目立ちすぎる。そのために新しい服を用意したんだから。村人なのは我慢したまえ、君に似合う服はそれしかなかったからね。」
理由はわかるが納得しない。