表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/11

嵐の前の静けさ


 コンクリートがむき出しの薄暗い室内。蛍光灯の灯りがチカチカと点滅している。充満する煙草の煙。新品の赤いL字型のソファとローテーブルが不釣り合いだ。


 室内には2人の男と1人の女がいた。


2人の男のうち、1人は壁に背を凭れさせて立っている。長い黒髪を項の辺りで無造作に結っており、スラッとした体形をしている。もう1人はソファに腰かけ、煙草を吹かしている。スキンヘッドにガタイの良い厳つい男だ。


 そして、1人の女はソファに足を投げ出し手元の銃を弄っている。前髪をおでこの真ん中辺りで真っ直ぐにカットし、金色に染め上げた髪を短く揃えている。


「ほんとあの組織ムカつくわぁ」


 女が気怠そうに言葉を発した。


「この業界でも1,2を争う規模の組織だ。仕方ないだろう」


 スキンヘッドの男が返す。


「サツに尻尾振って大きくなっただけじゃなぁい」

「その件だが」


長髪の男が女の話に割って入る。


「どうやらそこの2代目の孫娘が大学に通い始めたらしい」

「うそでしょお?殺し屋が大学ぅ?」


 女はおかしそうに笑う。


「それってぇ、わたしたちに喧嘩売ってるんだけどぉ」

「何かの任務なのか?」


 スキンヘッドの男が問いかける。


「いや、そんな情報は入っていない。どうやら正規の手続きを踏んで入学したようだ」

「意味が分からないな」

「どうでもいいじゃなあい?とにかくそこにその女がいるんでしょお?」


 女は立ち上がると持っていた銃を壁に向けた。


「確かに。そんなことをされては黙っていられない」


 スキンヘッドの男が言う。


「我ら《クロコダイル》が殺し屋のあり方を教えてやろう」


 長髪の男が鋭い眼光で壁を睨む。


「んふっ」


 女は壁に向かって引き金を引いた。


「ばーん」


 壁には園神玄造そのかみげんぞう園神舞そのかみまいの写った写真が貼ってあった。


 女の放った弾丸は舞の顔面を撃ち抜き、写真に丸い穴をあけた。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ