おぼろげに見えるもの
どんな思い出もいつかは記憶の彼方にとけてゆく。
とけさるまでのわずかな時間に、おぼろげに見えるものがある。
眼鏡をかけていたとしても
見えるものは減ってゆく
眼鏡をかけていなければ
見えないものは増えてゆく
見える方がいいものと
見えない方がいいものと
もうひとつのいいものは
ただおぼろげに見えるもの
遠い遠い記憶ばかり
今もおぼろげに見えるもの
はっきり覚えていなくても
まだおぼろげに見えるもの
はるかなあなたの面影が
記憶の彼方にとけてゆく
わずかなあなたの思い出が
記録もされずに遠くなる
こころに残る笑顔だけが
今もおぼろげに見えるもの
言葉は消えてしまっても
まだおぼろげに見えるもの
忘れかけている思いさえ
今もおぼろげに見えるもの
わたしの中にうもれてゆく
まだおぼろげに見えるもの
ただおぼろげに見えるもの
16/11/8 Tue.