初めまして、瞬間移動(テレポート)
お久しぶりです、憂宮です。
楽しんで書いたので、頑張って読んで下さると嬉しいです。
『厨二病』という言葉が、僕の頭をよぎる。
この子くらいの子がなりがちな精神病である。
さて、どうしたものか。
このままここに居させるわけにもいかない。
やっぱり警察に突き出すしかないようだ。こんな小さい子(見た目中学生くらい)を警察に渡すなんて、多少抵抗はあるが、このままだと僕の未来があぶない。近々この辺で変な事案が配られてしまうかもしれない。
それは勘弁してほしい。
「……家出?どうやって家に入ったのかは知らないけど……」
大方、僕が鍵をかけ忘れて行っただけだろう。まあ、空き巣なんかよりはよほどマシだ。
「あ、鍵は開いていませんでしたよ?」
「は?」
少女はフリルのついたスカートを揺らして言う。
そういえば、部屋の鍵はかかっていたけど…。
いやいや、鍵なんて中に入ってからかけることもできるし、なぁ。
「私、瞬間移動してきたんです。」
はぁ?
「あ、信じてませんね?」
いやいや、信じないのが当然だろ。
「なるほど、貴方の口癖はズバリ『いやいや』ですね?」
なんで心が読めるんだよ!
久しぶりに本気で突っ込みたくなってしまう。平凡な日々にツッコミなど不要だったからなぁ……。
「言ったでしょう、私は勇者ですから。」
勇者って何でもありなんだな……。
「……本当に勇者だって言うなら、今、瞬間移動やらなんやらをして見せてよ。」
どうせできないだろう、僕は彼女を見下すような表情で、そう言う。
できないだろう、さあ、全てを白状しろ!
「いいですよ?」
少女は、「それで気が済むなら」と、しれっと言って見せる。
どうせ、出来ない、というと思っていた僕は、しばしの間あっけにとられた。
はったりか?いや……
「じゃ、やりますよ。」
次の瞬間、少女は消えた。
「……は?」
……嘘、だろ。
「お、おい、手品かなんかなんだろ?出てこいよ。」
だって、そんな
「おいっ」
【非現実的なことが、あるわけない】。
瞬きすると、少女はまた先程の場所に立っていた。
「どうです?信じていただけました?」
少女は朗らかな笑顔で聞いてくる。
何も、答えられなかった。
「非現実的?世の中の怪奇現象はどう説明するおつもりですか?」
「これが貴方の、知っていそうで知らなかった、世の中の事実ですよ。」
僕は茫然と、ただ立ちつくすことしかできなかった。
2話目となりました。
まだ自分の中でもこの作品がどうなっていくかは決まっていないのですが、まあ、ハッピーエンドになってくれればいいかな、とは思っています。
それでは、拙作ですが、末長くお付き合いいただけると幸いです。
またお会いしましょう。