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第四話

 謎の光に呑まれたときに頭を殴られたような衝撃を感じ意識を失っていたようだ。

 意識を取り戻した際に頭に痛みが走った。

 思わず頭を押さえてしまう。

 どうも本当に殴られたわけではないらしく、血は出ていないようだ。

 痛む頭を押さえつつ起き上がり周りを見渡してみる。


「???」


 スマートフォンを触っていたのは自分の部屋のはずなのに違和感を感じる。

 視界がぼやけていてはっきりとしない。

 目を凝らしてみる。

 意識がはっきりとしてきたらしく視界が見えて来た。

 それは更なる混乱になった。

 テーブルもパソコンもテレビも台所も何もない部屋。


「一体どこなんだよ・・・。」


 頭痛によりパニックにはならなかったそれでも混乱している。

 自分の部屋でユウと雑談をして帰った後、スマートフォンを操作していた。

 その時はまだ自分の部屋だった。

 その後、気を失ったときに連れてられたことになる。

 だとしたらそう離れているとは思えないのだが・・・。


「少なくともこんな建物なんて見覚えがないのだがな。」


 壁を見ればきれいだった。

 汚れが全く見当たらないほどだ。

 ともかく部屋を出れば何か分かるかもしれない。

 ワザとなのかは分からないが扉もある。

 近づいてみたが鍵がかかっている様子もなかった。

 頭痛が治まるのを待ってから出ることにした。



 扉を少し開けて外の様子を見てみる。

 外に直接繋がっているわけもなく、通路だった。

 結構大きい建物らしく端までけっこう距離がある。

 見てみても危険な物、監視カメラのような物も見当たらない。


「・・・大丈夫そうだな。」


 確認をしてみたが見張りの人間もいない。

 とりあえず部屋から出て通路を適当に進んで行く。

 曲がり角は少し顔だけ出して誰もいない事を確認をする。

 慎重かもしれないが得体のしれない場所である以上、やり過ぎるても問題はないだろう。

 そんなことをやっていると不意に後ろから変な音が聞えて来た。


「?何の音だ?」


 耳を澄ませてみるとはっきりと聞こえてくる。


 ギュイイイィィィン。


「なんかまるでモーターとタイヤのような物が動いているような音に聞こえるのだが・・・。」


 嫌な予感がする。

 ここまで来るのに誰にも会わなかった理由と同じなのかもしれない。

 音のする方向が気になるのだがこちらから向かう理由わけにはいかない。

 どうやら向こう側から近づいているようなのだ。


「ははは、まさかな・・・。」


 自然と足が速まる。

 口から少し笑い声が出ているかもしれないが、内心ではかなり焦っている。

 顔からは冷や汗が噴き出す。

 もし、もしそうなら・・・。


「いったい、どこなんだよ。」


 10分くらい歩いているはずなのだが出口にたどり着けていない。

 その事実がさらに焦らせる。

 後ろから近づいてくる音、見えない出口。

 まるで出口ない迷路の中を追手に追いかけられている気分だった。


「ッ!!!」


 後ろから追いかけて来ていた音がかなり近くまで来ている。

 思わず振り返ってしまう。

 曲がり角を曲がってきたら見える。

 それが何なのか。

 ついに見えるという好奇心と不安がある。

 予想が外れている事を願っている。

 もし予想通りなら・・・。


 かなり危険な状況に巻き込まれているという事実になってしまう。


 曲がり角から影が飛び出してきた!

 それはある程度予想していた通りのロボットだった。

 ドラム缶のような形でそこに球体型のタイヤが付いている。

 だが問題の部分は他にあった。

 見たところアームがついているようだ。

 その先には、


 火花は強く、大きく走っていた。


 どう見ても触れたら気絶ではすまない物にしか見えかった。

 思わず後ずさる。


「ッ、なんの冗談だよ、それは‼」


 さらに上部に何かが取り付けられている。

 それが何か判断する前に乾いた音と同時に何かが飛び出してきた。


 パンッ


 飛び出たものが頬をかすった。

 そこから一筋の血が流れる。

 認識した時にはすでに走り始めていた。


「警備ロボットじゃねえのかよッ!」


 ロボットだろうとは予測していた。

 だが、良い方で警告してくるロボット、悪い意味で警備ロボットだった。

 だがこのロボットはただの警備目的ではないだろう。

 どう考えても装備が目的を越えている。

 人を殺せるほどの装備を持つロボットが警備用ロボットであるはずがない!

 警備ロボットの多くは侵入者を捕らえる、もしくは施設を破壊しない装備になっていなければならないのに銃や出力がおかしいスタンガンはおかしい。

 断じて警備ロボットとは認めない!


「どうなってるんだよ!ここは!」


 追いかけてくるロボットから必死なってに逃げる!

 ロボットの速度は思った以上に速くはないが・・・。


「・・・くそッ!離せないッ!」


 自分と同じぐらい速度で走っているみたいだ。


「これだけのロボットだ!操作している連中がいるはずだろ!だとしたら目指すはコントロールルームだッ!」


 どこにあるか分からないが探す価値はあるはずだ。

 もし見つけられたらここの施設の全貌が分かる。

 その中には当然出口もある。


「って増えているうううぅぅぅぅ‼」


 先ほどまで追いかけていたロボットがいつの間にか3体に増えていた。

 装備もそれぞれ変わっている。


「おかしいだろッ!どれだけの数とバリエーションがあるんだ!」


 数が増えた分攻撃も過剰になる。

 実際単発で撃って来ていたのが今では連続で何発も撃って来ていた。

 当たらない事を祈りながら走り続けるしかなかった。



 おかしい。おかしすぎる。

 逃げ続け始めてから少し経ったが未だに捕まっていない。

 そう逃げ続けれている。

 そのことに不審を感じた。

 人間とロボットでは身体が違いすぎる。

 人間は体力に限界があるし、走る速度も一定というわけでもない。

 ロボットはエネルギーが切れるまで走り続けるし、速度もほぼ一定のはずだ。

 さらにこんな平らな道ではタイヤであるロボットの方が速いはずだ

 もうすでに捕まっていてもおかしくない。

 それにここは向こう側、追いかけている連中の施設だ。

 施設の構造を一番理解しているのなら先回りしていてもおかしくない。

 先回りしない事情があるのかもしくは、


「・・・楽しんでいるのか?」


 見て楽しむ連中なのかもしれない。

 だとしたら趣味の悪い連中だ。


「くそッ!」


 腹が立つがともかく逃げ切らないといけない。

 コントロールルームを見つけたら絶対ぶん殴る。

 そう心に決める。

 ともかく扉を見つけるまで逃げ続ける。

 もし見つけたのが出口に繋がるものなら出る。

 そう考えつつ逃げ続けていると目の前に通路の壁が途切れていることに気が付いた。

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