第三話
「はぁ、やっと終わった~。」
京間は授業が全て終わった途端に机に突っ伏した。
授業中は眠気と戦いながら受けていた。
たまにチラッと横目でユウの席をみたりしていたが、どうも真面目に受けていたようだ。
京間はユウみたいに授業中に眠ってしまった時間もあったがそれでも10分にも満たない時間だった。
いくら休憩時間があるといっても移動等で潰れてしまうこともある。
はっきり言うと寝不足が否めない感じだった。
「でも、これでゆっくり眠れる。さっさと帰宅しよう。」
「そうだね。さすがに今日はきつい。このまま帰らせてもらおう。」
ユウもさっさと寝たいようだ。
いつもだったら先生方の手伝いから生徒会の仕事など行っているはずなのだが、例の件で疲れ果てているのが分かる。
だから帰宅するのだろう。
だが京間は周りを警戒しながら帰宅を始めた。
「なんで警戒をしているの?」
「こういう時に限っていろいろと面倒事が向こうから来るからだ。」
ユウはため息をついていた。
「それ、問題児としての自覚はあって言っているの?」
「なんのことだ?」
ユウが言っている意味が分からず聞き返す。
確かに京間はいろいろと行っている身だが、別に問題を起こしているとは思っていない。
ゆえに気がつかないわけだが。
「別に気にしなくてかまわないよ。それほど大した話ではないから。」
「?そうか。それなら別に構わないけど。少し気になるな。」
気にはするが無理に聞き出すつもりもなかった。
特に気にせず教室から出たところに。
「ユウ!京間!ちょうど良かった!」
「僕も疲れたし京間の所で食べて帰っても良いかな?」
「別にかまわないが、晩飯は何が良いんだ?」
出た瞬間に面倒事を持ってくる元凶が目に入ったので無視して帰ると2人は一瞬に決めた。
「こら~!無視をするなー!」
響子が走り始めるのと同時に京間たちも走り始める。
ユウの目がこれ以上のことはさすがに今日は勘弁してほしいと語っていた。
「そして逃げるなー!」
「副会長!俺たち疲れているので失礼させていただきます!」
「生徒会役員が廊下を走ってかまわないのですか?」
少しでも逃げれるように気を逸らしかかる。
だがそれでも速度を弱める様子が見られなかった。
「私は!2人に用事があるのよ!走るなと言うなら大人しく捕まりなさい!」
「これ以上!僕たちに何をさせるつもりなんですか!」
「誰だって逃げると思いますけどー!」
全速力で逃げているのだが響子も足が速い方で差が広がることはなかった。
何かしらの作戦を立てなければ逃げ切れるとは思えなかった。
簡単な方法があるのだがそれは最終としておく。
「貴方たちが昨日行った作業の件よ!」
「それなら確認だけで良いはずだろ!頼まれるほどではない!」
「あれだけの量をしておいてよく言うわ!」
「五分の一と言っておいて全て押し付けた奴に言われたくない!」
「僕に至っては巻き込まれたんですけど!」
走りながら会話を行うと無駄に体力を消耗するはずなのだが、三人とも(京間も含めて)マラソン大会ではトップ争いを行うほどの体力があった。
不本意な会話ではあるのだが聞くだけ聞いて反論しておく。
「あれはミスよ!それよりも確認を手伝いなさい!」
「なんでだよ!俺はあの時前回の事を話して減らすって聞いたから引き受けたんだぞ!そのうえでちゃんと終わらしたんだ!とやかく言われたくない!」
「それに自業自得でしょう!それ!」
どうも響子は引く気が無いらしい。
こうなれば最終手段を使うことにする。
ユウに目線を向けると同じ事を考えていたらしく頷いて返事をした。
「ユウ、俺の家に先に着いたほうが晩飯を作るということで!」
「分かった!運が悪かったということで!」
京間たちは階段で二手に分かれた。
響子が1人である以上どちらかを諦めないといけないのだが・・・。
「なんで俺の方に来るんだよ!ユウの方に行けよ!」
「私はあんたに頼んだのよ!だとしたらあんたの方に行くわ!」
何故か俺の方に来てしまった。
この後、響子を撒くために約一時間ほど校内を走り周ることになった。
「ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁ。」
「お帰り。晩飯出来てるよ。僕は先に食べさせてもらったよ。」
無事に帰宅することが出来た京間は玄関で大の字で倒れる。
逃げるために走りまわったのだが、徹夜したばかりに全力疾走はきつい。
息が整うのを待つ。
「はぁ、はぁ、はぁ。響子の奴ここまで追いかけまわす必要はなかっただろう!」
「はっはっはっ。ご苦労様。」
ユウは苦笑いで言っているが自分の方には来ないだろうと確信していたはずだ。
でなければもう食べているはずがない!
「お前はどうするんだ?」
「これから帰るよ。今日は早い目に寝たいしね。」
京間は立ち上がり冷蔵庫から冷水を取り出し飲む。
「ふぅ。生き返る。そうか、気をつけてな。」
「うん。お休み。」
そう言ってユウは帰って行った。
その後、皿に盛りつけて晩飯を食べた。
ユウはそれなりに料理が出来るのでなかなかうまかった。
「明日、ユウに感想を伝えておこう。」
呟きつつ後かたずけを終わらせて一休みを入れる。
ふっとスマートフォンを見てみると見たことがないアプリが在った。
「なんだこれ・・・!」
なんとも思わず起動させてみると強い光が出て来て包み込んだ。
納まったころには誰もいなくなっていた。