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第10話

「で、何があったの?」

「えっと……」


 響子に聞かれたがとても言えるような話ではない。

 どのような人が言ってもおそらく夢物語である。

こちらにとって事実なのだが、相手にとっては冗談を言っているか、馬鹿にされているかのどちらかでしかない。

はっきり言ってどう答えた物か悩んでしまう。


「実は昨日急いで帰ったので階段から落ちてしまって……」

「先生が言っている怪我は何か大きな物で後ろからの打撲、それもかなりの威力だったらしいわ。一体どこの階段で落ちたらそんな怪我になるのかしら?」

「それに帰宅途中って言っていたけど、京間の家で晩ご飯を作って食べたあとのはず。食器等も洗われていたから食べた後になるけど学園から帰ったわけでもない。」


 そこに何故かユウも加わって来た。

 どうやら気になっているみたいだ。

 それよりもユウが言っている内容から違和感を感じた。


「なぁ、ユウ。もしかして俺を見つけてここへ運んだのか?」

「そうだよ。いつも通りに朝早くに京間の所に行ったんだ。呼び鈴を鳴らしても、電話を掛けても全く出なかったから悪いとは思ったけど合鍵を使って中に入ったんだ。そしたら倒れていたんで焦ったよ。どうしたら良いのか分からなかったから先生に連絡とったらすぐに行くってことで待って来てから運んだんだ」

「そうだったのか。ユウ、迷惑かけたな。ありがとう」


 あの時考えていた事になっていた。


「で、どうなの?」

「……あの後、ちょっと出かけたんだ。その時少し不良に絡まれてたんだ。その時にちょっと、ね」

「京間らしくないね。いつもだったら暴れるのに」

「そもそもなんで不良なんかとそんな事になっているのかな」


 どうもこの2人は信用していないようだ。

 目線が本当の事を言えと訴えて来ている。


「とっとと吐きなさい」

「言った方が京間の身のためだよ」


 ユウは引き攣った顔で響子から少し離れていく。

 京間も思わず後退って離れようとするのだが、その分近づいてきている。


「はぁ、言っても信じないだろ」

「それは聞いてみてから判断するから」

「と言っても話せることはわずかしかないからな」


 それだけは理解してほしいところだ。

 自分も分からない事が多すぎる。


 こんな事があり、何があったか説明をしたのだがそれを聞いていた2人が微妙な顔をしていた。

 ユウは何を言ったらいいか分からない様子で苦笑いをしていた。

 響子は難しい顔で何かを考えていてなにかブツブツ独り言を言っていた。

 ただ何を言っていたかまでは分からない。

 考えがまとまったのか、2人揃って言い出したのだ。


『スマートフォンを見さしてほしい』


 別に問題がなかったので大人しく渡して見てもらった。

 おそらく2人とも京間の言った通りかを確認するために見たのだろうと思う。

 ただ気になったのはこの時の2人の様子がおかしかった気がする。

 なにか焦っているような気がしたのだ。

 だが、言った通りのアプリが入っていない事を確認すると安堵した様子を見せていた。

 2人とも冗談であのときは済ませたのだが何か知っているかも知れない。

 聞く気にはなれなかった。

 帰るときに2人があまり踏み込まないでほしいと言われたのだ。

 京間としては大人しくするわけにもいかない。

 例の女性についていろいろと調べないと行けないのだ。

 なぜ、京間の事を知っていたのか?

 彼女が何者なのか?

 京間としてもどこかで見た事があるような気がしてならないのだ。

 ユウたちに聞いても何も答えてくれないだろう。

 それなら自分で調べるしかない。

 と思ったのだがどこで何を調べればたどり着くことが出来るのか分からない。

 何か手がかりをと考えていたのだがあることに気がついた。

 もし何かしらの力で自分の部屋から消えることが出来るのであれば噂になっていてもおかしくないのだろうか?

 それならオカルト関係か都市伝説について調べればおそらく出てくるだろう。

 簡単な噂なら学園で聞いた方が良いのだがもうすでに部活が終わって帰っている時間になっていた。

 調べるのは明日にして帰ることにしたというわけだった。


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