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予の顔を見忘れたか!

 って言われてもねぇ……世の中の99.99%の人は将軍の顔なんて知らないから、そりゃ、むちゃっすよ!


 旗本は御目見得以上、御目見得以下は御家人ってよく言いますけど、よほどの大身ならまだしも、ほとんどの旗本は、御小姓や御小納戸にでもならないかぎり、将軍の顔、見られる機会チャンスなんてないんですよ?


 家督相続のときの初御目見得だって、廊下で数人平伏してる前を将軍さまが通行して、はい、御目見得終了でしょ?


 それで、いつ、顔見ろって?


 お互い見れっこないよね?


 なのにさぁ、三十六見附もとっくに閉まった時刻ころ、いきなり旗本屋敷おれんちの庭に現れて、

「予の顔を見忘れたか!」なんて……。


 見たこともないやつに、そう叫ばれたら、ふつう頭イッちゃってる不審者だと思うでしょ?


 うちだって、それなりの警備体制取ってるわけだし、こいつ、そこを突破して来てるんだよ?


 アヤシサ2000%だろ!?


 それとも、なに、いちおう周囲から「殿様」とよばれてる身分のこの俺が、丸腰で謎の侵入者と面会すればよかったの?


 そりゃ、ないわ。


 で、斬っちゃったあと、のこのこ出てきた自称・御庭番とか言うこいつが、


「なんてことしてくれたんだーっ! 謀反だー! 謀反だー!」とかギャーギャーギャーギャー。


 ねぇ、俺が悪いの? 俺のせいなの?


 肝心なときいなかった御庭番こいつに責任はないの?


 そう突っこんだら、

「買い食いした屋台のお稲荷さんに当たって腹くだして、ここの厠にこもってたんだもん」?


 ……おい。

 おめ-がしっかり護衛してたら、こんなことにはならなかったんだよ。


 俺だって……俺だって……相手が公方さまだって知ってたら、絶対斬らなかったっ!


 斬っちゃったあとで、どーしろって言うんだよー?


 もう取り返しつかないじゃねーかー!


 ってか、公方さまはどの御門から出てきたんだ?


 御城の御門はそれぞれ万石以上の大名家がきっちり警備してるだろ?


 なにかミスがあったら改易につながるから、あっちだって必死で守ってるはずなんだけどね?


 そんな気軽にちょろちょろ抜け出せるほど、チェックもゆるくないと思うけどね?


 うちの屋敷にだって門番もいるし、この時間なら全出入口、閉まってるんだけどね?


 壁抜けでもできるのかよ、将軍あんたはー!?



……でも、この血まみれの肉塊、どう処理したらいいんだろ?



(以上、うっかり大罪を犯してしまったらしい某旗本のモノローグでした)

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