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第十三代彦根藩主・井伊直弼

今回は……佐幕派応援……なんだろうか?

 またもや井伊さまネタでございます。



 最近ご登場なさいませんが、この方抜きに幕末史は語れないという超VIP大名・井伊掃部頭直弼公。


 拙作初登場時の掃部頭カモンさんは、


『はっきり字幕の出た直弼公。

 歳は四十くらい。

 大柄なメタボタイプ。

 髪は薄め、赤味がかった健康そうな顔』

 という設定でした。


 でも、これ、ワタクシがテキトーにでっち上げたものではなく、カモンさんをじかに見た人の証言にのっとり、(プラスちょこっと味つけして)描写したんです。


 では、それはだれなのかといいますと、幸田成延しげのぶという元・幕臣です。


 シゲさんは当時、江戸城内で表坊主をしていました。

 表坊主とは、江戸城に登城した諸侯の案内・世話係で、つまりシゲさんは日本史に登場するビッグネームたちを、日々間近で見られるお仕事をしていたわけです。

(う、うらやましい!)


 そして、このシゲさんの息子こそ、かの有名な幸田露伴(本名:成行しげゆき)なのです!


 露伴はパパが見聞きした大名・幕臣ネタをいただき、『幕末の政治家』(露伴全集第五巻収録)という短編を書きました。

 これが、写真に残っていないビッグネームの容姿を知る貴重な資料となっているのです。


(シゲさん&露伴さん、ホントありがとねっ!)


 さて、ここで取り上げられているのは、カモンさんはじめ十六人の大名・幕臣で、中にはなんと松平容保さまも!

(容さまはお写真が残っているので今回はパスね)


 では、問題のカモンさんはどう書かれているかというと、


《幕末第一のすぐれ人、うち見たるところ、でっぷりしたる大柄の人にて頸筋くびすじなんど普通の人より太く……》


 なんでいきなりノッケから『首筋』?


 やっぱ、あの事件を意識してる?


 で、このあと、


《地腫れのしたるようなる顎の張りたる赤ら顔》


《頭髪濃からず、髷のハケやや細く》


《声太くして、みたる気味あり》といった描写がつづくわけです。



 ところで、じつは井伊さまの記述の最後に意外な一文があるのです。


《ここに奇なるは、長州の毛利大膳太夫の容貌風采の掃部頭にたることにて、同じようなる人のここにかしこにありしは作り物語にもなきことなるべし》


 えええーーーっ???


 カモンさんとチョーシューの殿さまが、同一人物と見まちがえるくらい似てる!?


 ち、ちょっ……待て!


 だって、この毛利さんといえば、常識派(世間では『俗論派』というらしい)とイッちゃってる派(同じく『正義派』なんぞというふざけた名で通っている)がすさまじい藩内抗争をくりかえし、殺し合いをつづけているのに、家臣たちを押さえるでも仲裁するでもなく、毎回主導権を握った方につくコウモリ的日和見主義の「トップとしてそれでいいのかっ!?」な超ヘタレ大名・毛利慶親さんのことですよね!?


 家臣の意見に絶対「NO」といわないんで、ついたアダ名が『そうせい侯』の、倒幕側雄藩で唯一四賢侯に入れてもらえないアノ毛利さんですよねー!?


 その倒幕側藩主ヘタレさん幕府に殉じた譜代筆頭カモンさんがうりふたつー???


 ……不思議なこともあるものよ……。



 しかし、理解不能・共感できる部分さっぱりのチョーシュー侯ですが、よく考えてみれば、ひとつだけいいところもありました。


 ヘタレさんは明治四年までご存命で、後世に写真を残しておいてくれたのです。

 だからこれを参考にすれば、ヘタレさんにソックリだというカモンさんの雰囲気がなんとなくわかるではありませんか!


 ってことで、うちのカモンさんは、シゲさん・露伴さん親子とヘタレさんのご協力のもと、無事誕生したのです。

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