終末惑星アイ
掲載日:2013/11/16
「もうこの星には住めない」
あれからいくつ月が満ちた?
キミは月に。遠い月に。
いつか会う日まで。
星は捨てられた。
ボクたちは今も捨てられたまま。
月は生きていた。
キミは今も生きている?
この星の最後の船にキミは乗せられた。
「いつか迎えにくるから。それまで待っていて、“ ”」
キミの最後の会話が今も残ってる。
ボクたちは、ヒトじゃないから、置いていかれた。
ヒトじゃない“モノ”を乗せる場所なんてないって。
キミは泣いていた。
キミは来ない。
キミはボクを覚えてる?
ボクはキミを覚えてる。
月が百回満ちても、千回満ちても、キミは来ない。
「“ ”のこと、絶対忘れないから」
名前ももうない。
ボクたちは、番号で呼びあう。
みんな、星が捨てられたときに、名前を捨ててしまった。
ボクはまだ、キミの名前を覚えてる。
ボクの名前はもうないのに。
月からは誰も来ない。
キミも、誰も。
三千回は月が満ちただろうか。
みんな、動かなくなっていった。
ボクももう、動けない。
滲んだ視界に、キミが映った。
最期にキミに会えてよかった……
ボクは、最期にボクの名前を聞いた。




