四話のようだ。
「詠唱とか嫌なんですけど」
「あ、詠唱はいりませんよ?」
「え?マジで?」
てっきり『我―』とかそういうのをやるかと思ってたぜ。
「マジです。
そもそも詠唱は陣無しで術を使うときに使用します。
ほら、契約したときには陣が無かったでしょう?」
「そういえば…」
無かった気がする。
「それに詠唱は人にはできません。」
「どうして?」
「どうしてといわれましても…
う~ん……。文章を読むのと理解するのでは違う。見たいな事ですかね」
「まあ、多分分かった」
情けは人のためならず。
この文を読めても正しく理解できないといけない。
そういうことなんだろ……多分。
人じゃ正しく理解できない。
そういうことなんだろ………多分。
「陣を使えば魔術が発動しますが、発動させるためにはイメージと魔力が必要になります」
「こういうのはテンプレというのか?」
「いや、知りませんが…
とりあえず最初は私が補助しますので、水をイメージしてください」
「OK。分かった」
水か…
ヒュン…
「おお…!」
紙に書いた陣が光って紙ごと消えた。
そしてそこには…
「黒いな…」
「黒いですね…」
黒い液体が用意していたコップに入っている。
湯気が出ている。
ふむ…この香りは…
「コーヒーだな」
「いやいやいや!!
何でですか!?!?」
「いや、コーヒーが飲みたいなと思って…サーセン」
「そういうことじゃないんですよ!!
ありえません!!コーヒーが出てくるとかありえません!!」
え?
「普通発動しないか水が出るかですよ!?」
「 」
「いや、何が言いたいか分かりませんよ!?」
「すまん。俺ってなんか変だから…」
「変だからなるものじゃないんです!!
とりあえずもう一回くわしく調べてみます…」
「出ました」
すごい間があったと思うだろうが、実は三秒くらいである。
「結果……魔力属性が水ではなく『液体』でした」
「なんか、卑猥な感じがするな…」
「何でですか!?
とりあえず『液体』ですが、水の進化みたいなものですね。
液体であればどんなものでも操れますし、作ることができます。
たとえば、コーヒーだけでなくお茶も作れます。
もっといえばお茶の雨を作り出せると思いますよ?
とてつもない量の魔力を消費すると思いますが…
まあ、あなたの魔力量でしたら全体量の半分といったところでしょうか?」
「降らせるならお茶よりコーラだな。
相手はべたべたして戦いに集中できなくなる」
「地味な嫌がらせですね」
たしかに地味すぎる。
それに…
「降らせるよりも降っている雨をコーラに変えたほうがいいんじゃね?」
「いや、そうですけど…
この時期は雪ですよ?」
「ですよね~」
「あ…忘れてた…」
「いきなり何なんだ!?」
怖い!
何を忘れてるんだよ!?
なんかいやな予感………
…………は、しないな。