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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

見おサメ(短編)完結

作者: あさいらむーん
掲載日:2026/11/05



惑星サルビアBe-1の探査が完了した


探査チームは撤収となる


個人的な荷物と膨大なサンプルを持ってこの長期間住み慣れた宇宙ステーションを離れるのだ


ビルの解体工事のように解体業者が後からやって来るわけではない

施設はこのまま放棄される


明日からはそれぞれ部屋にこもり、荷物の整理とサンプルをシャトルに移動させる


今夜はさよならパーティー

ブン太は酔っ払いながらもチラリと展望ルームにたたずむケイラを見つめていた


このミッションの数年間、彼はいつの間にかケイランのことが気になっていた


だが、チームは家族のようでありその調和を崩すような勇気は無かった


そうこうしているうちに科学主任のピーターがケイラに近づき、ふたりは長い間談笑していた


学生時代からこうだった


ブン太には先に進む勇気がない


落ち込んでいるブン太をよそにテーブルでは恒例の言葉遊びのゲームが始まり一段と騒がしくなる


ひとりでチェアに座っていたブン太に“仲間に入れよ”と声がかかった


だがブン太は気が乗らず誘いを断り、少し酔いを覚ましてくると言い、部屋を出た


ステーション本体と実験ユニットを繋げている透明チューブの中を、ふわっと身体を浮かせながら移動していく


透明チューブから見下ろす惑星サルビアBe-1はとても壮大な光景だ


青い大気の層と赤いメタンの層の雲が渦を巻いている

青い雲と赤い雲は相反して、決して交わらない


その幻想的な光景を眺めながら

「ひとと交われないのは、まるでボクのようだ」とぽそりとつぶやいた


「……なにが“ボク”なの?」

と唐突に声を掛けられた



あたりに誰も居ないと思っていたブン太はかなり驚いた

「ごめんごめん、脅かすつもりはなかったんだよ」

笑っているのは先程まで展望ルームでピーターと談笑していた筈のケイラだった…



「け、ケイラッッッ!?どうしてここに??」



「私のほうを見ていたから何か話したいことがあるのかなと思って…、


 ここの接続チューブってこんなにパノラマビューで見れるんだね、わたしは実験ユニットにはほとんど行かないから今までこんな絶景ポイントがあるのを知らなかったよ」


ケイラは小さな女の子のように足下に広がる惑星サルビアBe-1の光景に圧倒されていた





「実験ユニットはステーションの真下にあるからね、展望ルームもよく見えるけど、ここの迫力もなかなか見応えがあるだろう?

 なんせ足下全体にサルビアBe-1が広がっているからね」


「ええ、すごいわ!展望ルームからの景色も悪くは無かったけど、ここは床すべてが透明なのね!」



「ピーターはどうしたの?」


「巻いてきちゃったわ、あの人しつこいんだもの」

ケイラはいたずらっ子のように舌を出した


「ブン太の実験室を案内してよ?

 もう見納めでしょ?」


「別にいいけど……、ほぼ処分しちゃったから特に何も残ってないよ?」


ふたりは透明チューブを通り抜けて巨大な実験ユニットまでやって来た


大きな水溶液カプセルがいくつも立ち並んでいる

本来はそれぞれに様々な生物が閉じ込められて、研究されているはずであった


「この中に居た生物たちは廃棄されたの?

 仕方ないとは言え、可哀想ね」


カプセル内は惑星サルビアBe-1の海に似せた水溶液で満たされ、数年間に及ぶ生物の変化を数値化させてきた

結果、この惑星は開発に適していないということが結論づけられ、計画は終了

 貴重なサンプルを提供してくれた彼らに敬意を評して睡眠薬を投与してからステーション内の原子炉にて焼却処分された


「可哀想かもしれないけど、餓死させるわけにはいかないからね」


「あら、まだ奥の方に稼働中のカプセルがあるわね?」


ケイラの視線の先にはひときわ大きなカプセルがあった


中に何かが漂っているようだが、ここからではよくわからない

ふたりが近づく


「えッ!?ヤダ!!サメじゃない!?」


広めのカプセルにはサメが一匹入っているのだ


「コイツだけ睡眠薬がなかなか効かなくてね、

 今朝から量を増やしていってるんだ

 眠ってくれたらようやくここを閉鎖出来るんだけど」


ケイラが近づくと動きはしないものの目がギョロリと反応する


「……まだ眠りは浅そうね」


「コイツは薬がゆっくりしか効かないんだ」


「惑星の海洋成分が適さないのは少量のアルコール成分が含有しているんだったわよね?

 この子は酔っ払っているの?」


「そう、感覚が麻痺して酒に酔ったような状態なんだよ、だから余計に薬が効かないんだよね」


「じゃあこのカプセルに入ると酔っ払っちゃうわけ???」


ケイラはブン太に怪しげな笑みを浮かべた




「惑星に似せてあるからね、海だけじゃなく大気にも含有されてたよ、少量だけどね」


「いちどはお酒のお風呂に入ってみるのが夢だったけど、本当にこういうのがあるなんて!」


「ボクはこっそり何度か入ってみたことがあるよ?主任には内緒でね!たしかに一時的にほろ酔いになるから仕事が出来なくてね、あのときは困ったよ」とブン太は笑った



ブン太は笑っていたが、ケイラは逆に本気の顔つきになっていた


「……仕事は昨日で終わったわ、今ならちょっとくらい酔ってもいいんじゃない?

 どうせみんなも向こうで酔いつぶれてるし」


ケイラは不敵な笑みを浮かべて、首元のファスナーを下ろしていった


「け、ケイラ!?」


ケイラは真っすぐブン太のほうを見据えながらファスナーをおろしきり、タイトなパンツもおろしていく

肌着姿のケイラは迷わずタンクトップも投げ捨てた

呆気にとられているブン太を前に残された下着も取り去って、ケイラは何も身に着けないまま彼に見せつけるように立ち尽くす


「さぁ、あなたも一緒に酔いつぶれるのよ、

 どう、わたしの身体?

 見たかったんじゃない?

 いつも見てくるブン太の視線が痛かったわよ

 地球に戻ればこんな事は出来ないから今夜だけの見納めよ、ふふふ」


ふたりは陸生動物用の呼吸器をマウスピースのように挟み、ジャポン!と隣のカプセルに入った


骨振動マイクで直接言葉が脳に伝わる


「たしかにすぐに酔えそう」


「ケイラとこうしてるなんて、夢みたいだ」


「あなたがなかなか声を掛けてこないからいけないのよ、待ち疲れちゃった!」


ケイラは自分マウスピース越しにブン太に口づけをする


「はしたなく思わないで、今夜が最後の夜でしょう?酔った勢いよ」


ふたりの身体が密着するのを隣のカプセルからサメが見ていた


エサやり用に使われていた隣のカプセルがこちらと連結されていることをサメは知っていた……





終わり




※※※あとがき※※※

2025.05.04.

ここからはあとがきです



最期まで読了ありがとうございました


復帰 第5弾になります

江戸時代や、昭和初期といった時代劇モノから

いっきに飛んで、未来世界になりました


そしてこれまでがファンタジー要素×ホラーな雰囲気が多かったのですが、今回は「SF」です


ラストもSF色味が強くて、個人的に楽しく書けました


やっぱりSFがいいなぁ!


情景が頭に浮かびやすいです




創作秘話としまして、、、


書いてる時の企画は


「最期の夜に想い人と結ばれる」

くらいにしか考えていませんでした


ちくしょう、今回はサメが出ねぇなぁぁ!


と思いながら中盤の「透明チューブのシーン」を書いていました


とりあえず女性を脱がせるシーンまでは考えていたので、SF的な「混浴」で終わらせるつもりでした



けど、


なんとなくカプセルで眠るサメのイメージが浮かんでからはラスト一気にオチまで持っていけたので、綺麗にまとまってくれてひと安心


最期の1行でホラー要素も足し込めたので、今まで書いてきた中ではぴったりパズルのピースがうまくハマって書き終えたような印象があります


よかった、よかった



ちなみに


企画下書き〜本編書く〜非公開を公開にする


のはかなりたいむらぐがあります


なんとなく「毎週一本新作」にしてみたかったので、事前に書き貯めストックしています


今このあとがきを書いてる時点ではGW真っ最中でして、第3弾の「はるさめ」(温泉宿のお話し)を公開したばかり


で、今は第5弾の本作「見おサメ」のあとがき


現時点で次の下書きが第6弾と第7弾が済んでいて、


今は第8弾以降のネタを何にしようかなぁ〜?

って練りまくっているところ



シチュエーションはいくつも思い浮かぶんですが、なかなかサメを絡めるのが面倒くさくて!



ちなみに


サメとは関係なくゾンビものを一本書き上げたので、サメのネタが無くなったらゾンビを出します(笑)保険です


もうそろそろサメを絡めるのは辞めたい


縛りがキツすぎる……



なんなんだよ、サメが出る状況ってさ?



書きにくいったらありゃしない!



最期までお付き合いくださりありがとうございました


次回もご期待ください





追記


前ページは5/4

今は5/11


前ページのあとがきから1週間経って、ようやくこの「見おサメ」を公開



あれから第8弾まで書き上げました


が、もう本当に内容が薄くなってきた気がする


(泣)


振り返ると、この「見おサメ」は気に入っています


なんとなく宇宙ステーションから見下ろす青と赤の不思議な惑星の壮大な景色、というのがいかにもSF映画っぽいなぁ



昨日、休眠していた「クローン人間は同じ夢を見るのか」の続きを少しだけ書いてみる


短編と違い、長編のほうは誰も読んでいないと思うので完全に自己満足


だらだら終わりもなく書いてるのがいい


短編はすぐにオチまでたどり着かせる制約とか、読む人を考えながら作ってるつもりですが


長編のほうは終わりのないテレビシリーズを延々と書いてるイメージ


やる気が出たら続きを書いて、

集中力が切れたら平気で中断させられる


たまに更新欄に出てしまうかもしれませんが、長編のほうはきっとつまらないと思うので、無視してスルーして下さい


そりゃあ読んでくれたり、レビューくれたら嬉しいけど、きっと感想も書きにくいと思う


短編のほうはさっと読み終えられるので、こちらをおすすめいたします(笑)


ちなみに長編のほうも非公開で書き出しているものがいくつかある


でもこれらは復帰する前に「お話しを書く練習」みたいなものだったから、多分続きは書かないだろうし、公開もしないだろうな


ちなみに内容はSFミステリーみたいなもので


「クローン人間」に出てくるキャラクターの過去編、みたいなイメージで書き始めたものの、 


本編と整合性が取れなくなってきたので多分もう書かない



ちなみに「クローン人間」は「月のウサギ」に続く“カタストロフィブレイカー”シリーズ3部作の2弾目にあたります


そしてこの3部作そのものは、何年か前に書いた「浮遊空母」というものの続編にあたります


この「浮遊空母」から“3部作”が出来て


「浮遊空母」からサメ映画風小説の「シャーク×サルベージ」がスピンオフで作って


「浮遊空母」からサメ第2弾の「みにくいケイト〜シャーク×ロストコロニー」を作った


その「みにくいケイト」の対となるのが

「エクソシスト†ロストコロニー」



誰も読んでいないのをいいことに、どんどんマルチバースになっています(笑)

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