希望の光
「戦況はどうか……?」
会議室にて行われている対策会議において王と重臣たちの顔色は暗い。
「陛下、芳しくはありません……」
「そうであろうな……」
そしてオルフェリア皇国に侵攻されている国の王は家臣の報告に嘆く。
「私の代でヴィレスも終わりか……」
「……」
その言葉に誰しもが口を閉ざした。
すると、
「陛下!」
突然会議室の扉が勢いよく開かれた。
「今は会議中だぞ!」
「よい……それでどうした?」
一人の家臣が乱入してきた兵士を諌めるが王はそれを制止する。
兵士は息を整えると、書簡を掲げた。
「スイレース王国からの書簡であります!」
「なにっ!?早くそれを持って参れ!」
「はっ!」
兵士はガチャガチャと鎧を揺らしながら王のもとへとたどり着く。
「おお!まさにスイレース王国の印璽で封されている!」
受け取った王はすぐさま封を開くと、その中に入っている書を読んでいく。
「……」
その間、誰一人喋ることはなくただひたすらに王の反応を待った。
「皆のもの!」
「「「はっ!!!」」」
「スイレース王国から参戦の申し出があった!彼の国はオルフェリアの皇都と急襲するとある!そうなれば今現在我らを攻め立てている軍勢は退くであろう!その際に全軍を持ってオルフェリアを追撃をすれば相当な打撃を与えられるとの言葉だ!」
「「「おぉっ!!!」」」
「ついにスイレース王国が動いてくれたか!」
「これで我らにも光明が!」
「我が国は助かるかもしれん!」
「そうだ!我が国は助かるのだ!諸君よ!大いに宣伝するがいい!スイレース王国参戦!そして今一度耐えてくれと!」
「「「かしこまりました!!!」」」
この知らせはほぼ同一時間にオルフェリアが攻め立てている三カ国に届けられた。
その効果は抜群であり、絶え絶えだった各国の軍の士気は大いに湧き上がった。
それを実感したのは、ベクアール率いるオルフェリア軍である。
───オルフェリア野営基地───
大型テントの下、部下らとともに会議を行うベクアールたち。その顔には困惑と取れるものが浮かんでいる。
「ここ数日、随分と抵抗が強まったように感じるな」
「はい。ですがろうそくの最後の灯火でしょう。すぐに消え去るはずです」
「ふむ……」
ベクアールは考えた。
そんな単純なものか?
ろうそくはそうかもしれんが、人はそこまでして耐えられるだろうか?
ベクアールの直感が働く。
嫌な予感がする、と。
「先ほどの戦いで捕らえた者を連れてこい!」
「はっ!」
こうして一人の兵士がベクアールの前に引き連れられてきた。
その姿は下着を残して裸であり、息も絶え絶えな様子だ。
「貴様、何か知っているな?」
「……」
「おい。痛めつけろ」
「はっ!」
一人の側近が立ち上がるとすぐさま裸の男のもとに向かい、その腹を蹴った。
「ぐふっ!」
「さっさと吐けば、楽になれるぞ?」
ニヤニヤと笑うベクアールと配下たち。
だが、男は何もしゃべらない。
「この!殿下の慈悲を無下にするつもりか!」
そんな男にさらに追撃を加えていくが、男は黙って耐えている。
そんな時に、テントに入ってくるものがあった。
「殿下!」
「なんだ?騒々しい」
「スイレースが、我が国に宣戦布告しました!」
「なんだと!?」
「十万に及ぶ大軍が皇都に進軍中です!」
「なぜだ!?ディフェルナが嫁いで盟約を結んだはずだ!」
「それがディフェルナ様が先陣に立ってスイレースの軍を率いているようでありまして……」
「バカな!あの平和ボケしたディフェルナが!?」
ベクアールは思った。
もしや私は騙されていたのか?
あいつは戦争が嫌いだったはず、なのに自らが軍を率いてやってくるだと!?
「はははははは!そうだ!スイレースは我らについた!侵略中の貴様らに手薄な皇都が守れるかな!さっさと帰れ!この野蛮な侵略者どもが!」
「ええい!黙らせろ!」
「はっ!」
その言葉で男の首は宙に舞った。
「すぐに引き返すぞ!」
「「「かしこまりました!!!」」」
やはり出国の際に殺しておくべきだったか……
そう後悔するベクアールだったが、その思いは一瞬で消し去る。
過ぎたことを悔いても変わらない。
ならば今は一刻でも早く、帰還すること。
オルフェリアは私のものだ!
ディフェルナ、貴様には譲らんぞ!
ベクアールは愛馬に乗ると騎馬部隊を率いて、皇都へと戻っていくのだった。




